大田区議会 2018-02-23
平成30年 第1回 定例会−02月23日-03号
平成30年 第1回 定例会−02月23日-03号平成30年 第1回 定例会
平成30年第1回定例会 大田区議会会議録 第3号
2月23日(金曜日)
出席議員(48名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 安藤 充 5 番 岸田哲治 6 番 大森昭彦
7 番 松原茂登樹 8 番 伊藤和弘 9 番 塩野目正樹
10 番 押見隆太 11 番 鈴木隆之 12 番 伊佐治 剛
13 番 深川幹祐 14 番 長野元祐 15 番 渡司 幸
16 番 高山雄一 17 番 松本洋之 18 番 岡元由美
19 番 勝亦 聡 20 番 広川恵美子 21 番 秋成 靖
22 番 玉川英俊 23 番 田村英樹 24 番 大橋武司
25 番 小峰由枝 26 番 椿 真一 27 番 田島和雄
28 番 末安広明 29 番 大竹辰治 30 番 清水菊美
31 番 藤原幸雄 33 番 菅谷郁恵 34 番 黒沼良光
35 番 金子悦子 36 番 福井亮二 37 番 荒尾大介
38 番 山崎勝広 39 番 黒川 仁 41 番 松原 元
42 番 岡 高志 43 番 荻野 稔 44 番 三沢清太郎
45 番 犬伏秀一 46 番 野呂恵子 47 番 奈須利江
48 番 湯本良太郎 49 番 北澤潤子 50 番 馬橋靖世
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○岡元 副議長 昨日に引き続き質問を行います。
まず、22番玉川英俊議員。
〔22番玉川英俊議員登壇〕(拍手)
◆22番(玉川英俊 議員) おはようございます。大田区議会公明党の玉川英俊でございます。毎回恒例となっておりますが、一般質問のトップバッターとして元気いっぱい質問させていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
本年、2018年は明治維新150年ということで、NHK大河ドラマでは、西郷隆盛を描いた「西郷どん」の放送が始まり、既に第7話までが進みました。私も録画予約をして、毎週楽しみに見ております。この西郷隆盛に大きな影響を与えた人物として外せないのが勝海舟であり、本区では、全国初となる勝海舟の記念館の整備に向け、周辺の環境整備が進んでおります。洗足池公園内のバリアフリー化やベンチの設置をはじめ、平成29年度は大森第六中学校の擁壁の改修や道路の拡幅が行われ、今後は旧管理事務所を公園利用者の休憩所として整備する計画もあります。ご存じのとおり、洗足池は勝海舟がそのほとりに別邸を構えるほど愛したという魅力のある景勝地であり、本年、生誕135年を迎える版画家の川瀬巴水もこの洗足池の風景を描いており、様々な整備により地域の名所としての魅力がさらに増していくこととなり、大変感謝しております。
さて、この洗足池を囲った形となる洗足池公園ですが、早朝はラジオ体操で多くの人が集まり、朝からランニングや散歩をする人たちが訪れ、読書をしたり、ランチをしたり。週末は洗足池のグラウンドで少年野球チームの子どもたちの元気なかけ声が飛び交います。先日の日曜日も、地域の小学生を対象とした洗足池マラソンが第30回として開催され、500名近くの子どもたちが参加され、にぎやかな1日となりました。
春は満開の桜で花見の名所となり、ゴールデンウィークにはガーデンパーティー、5月には池月橋で春宵の響が開催され、夏は灯ろう流し、ほたるのゆうべ、秋はお祭りでにぎわい、紅葉が終わり、冬を迎え、梅の花が咲き始め、野鳥の撮影が盛んな季節となります。樹木の葉がなくなり、野鳥の姿が見つけやすくなるからだそうです。現在、洗足池駅前、中原通り沿いにある洗足風致協会事務所のテラスでは、野鳥写真展として、地元住民の野鳥愛好家の方が長年にわたって公園内で撮影されてきた野鳥の写真の数々が展示されています。確認された野鳥は94種類にもなり、洗足池には様々な野鳥が訪れています。
その中で一番の人気の野鳥は、水辺の青い宝石と呼ばれるカワセミであります。まさに今この時期には、洗足池公園の水生植物園に野鳥愛好家の方たちが集まり、三脚を立てて望遠レンズのついたカメラを構え、カワセミがあらわれるのを待っています。カワセミがあらわれると、水辺の木の枝にとまり、餌となる池の中の小魚を探します。小魚を見つけると、ホバリングから水面に向かってダイブして、池の中の小魚をキャッチし、口にくわえたまま、また木の枝に戻ります。そのダイビングをするときの姿、美しい青色に輝く体が水面に映えるシーンを撮影しようと、多くの野鳥愛好家が集まるわけです。そこに集まる方たちから多く耳にするのが、「野鳥の姿が年々減ってきている」との声であります。さらに、「野鳥の餌となる小魚などがいなくなっているのが原因ではないか」との声も聞きます。
そこでお伺いしますが、このような洗足池の自然環境の変化を本区はどのように認識していますでしょうか、お聞かせください。
カワセミはきれいな水辺を好んで生息する鳥なので、カワセミの姿があるかないかが一つの環境のバロメーターにもなるようです。カワセミは野鳥なので、鳥獣保護法により飼育することはできませんが、壁などに巣穴を掘って、そこにすみつくようです。かつては巣穴に蛇があらわれて、カワセミのひなが食べられてしまうことがあり、その巣穴を保護する柵を本区で設置したことがあるようですが、現在のカワセミの保護対策の状況についてお聞かせください。
野鳥がいなくなってきているのは、餌となる小魚などがいなくなっているからだとすると、その小魚たちはどうしていなくなってきているのか。「外来種などによって食べられてしまっているのではないか」といった声も聞きます。今年の1月3日、正月3時間スペシャルで「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」といったテレビ番組が放送されたこともあり、「1度、洗足池の水を全部抜いてみて、生態系を回復させたらいいのではないか」との声もいただくようになりました。このテレビ番組は昨年1月から様々な自治体が協力して、今まで6回放送されており、視聴率も2桁を超え、今では多くの地域から応募が寄せられているとのことです。このかい掘りと呼ばれる池の水を抜く大まかな手順は、排水装置で池の水を下水道や池に接続されている用水に流して、魚や水の生物を動けなくする。次に、本来その土地に住んでいない外来種の動物や生物を食い荒らす特定外来生物を捕獲、駆除する。そして数日間、池を干上がらせてヘドロから窒素を排出し、きれいな水を入れて完了するといったものであります。
そこでお伺いしますが、この池の水を抜くかい掘りを洗足池で行うことは、予算的なものではなく、池の構造や技術的なものとして可能なものでしょうか。また、かい掘りを行った場合、どのようなメリット、デメリットが考えられるでしょうか、お聞かせください。
仮に洗足池で、このかい掘りが実現した場合には、多くのボランティアの手が必要になることと思いますが、地元の子どもたちを中心に多くのボランティアを集めることで、大田区民に洗足池への愛着をさらに深めていくことができると思います。記念館が建つ勝海舟が愛した洗足池をきれいにすることにかかわったということが、将来、大きな誇りになるのではないでしょうか。このようなロマンを持ちつつも、現実的にできるものなのかどうか、しっかり分析して見極めていかれることをお願いしておきます。
さて、洗足池の自然環境に続いて、周辺の環境について伺ってまいります。
洗足池駅前の中原街道にかかっていた歩道橋が撤去され、早くも1年以上が経過しました。洗足池駅をおりて、中原街道を渡ってスムーズに洗足池に行くことができ、非常に便利になったと感じています。昨年の花見の時期や、10月9日の池上線開通90周年記念イベントのフリー乗車デーのときなど、歩行者の信号が赤になっても中原街道を渡り切れないぐらいに数多くの人たちが横断歩道を渡る姿を目にいたしました。しかし、その反面、洗足池の反対側となる商店街や洗足流れの方向へ向かう人たちが、狭い歩道を往来する姿が対照的でした。改札を出てから一旦線路の下をくぐっていかなければならず、洗足流れ側の自転車駐輪場のあたりに改札口があれば便利なのになと感じました。現在、東急池上線の池上駅では、駅舎改良や構内踏切の解消などを目的とした駅ビル開発が進められておりますが、洗足池駅及び駅周辺の将来像について、大田区はどのような形を描かれていきますでしょうか、お聞かせください。
今後、勝海舟の記念館をはじめ、遠方から洗足池を訪れる人たちは、東急池上線やバスを利用して、洗足池駅を下車してアクセスするのは当たり前のことと思いますが、ここだけではなく、洗足池を中心にエリアを広げて大岡山、北千束、長原、石川台の四つの駅からも洗足池にアクセスできることを考えてみてはいかがでしょうか。それぞれ商店街や緩やかな坂道などもあり、洗足池まで歩いて行くことは散歩道として魅力があるものと感じています。
そこでお伺いいたしますが、それぞれの駅から洗足池へ向かうサイン表示や、途中に休憩できるベンチの設置など検討してみてはいかがでしょうか、大田区の考えをお聞かせください。
続きまして、スポーツについて質問いたします。
平成24年6月30日に
スポーツ健康都市宣言を行ってから5年半がたちました。「する」スポーツ、「みる」スポーツ、「支える」スポーツとうたわれていますが、健康になるには、スポーツをみる、支えるのではなく、スポーツをすることになるのではないでしょうか。
昨年7月に実施された大田区政に関する世論調査におきまして、この1年間の運動・スポーツ活動の頻度の回答で「週に1回以上」と答えた方が41.1%とのことでしたが、昨年3月に文部科学省で策定された第2期スポーツ基本計画では、スポーツ実施率65%程度までの引き上げ目標が掲げられています。新たな競技スポーツをするといったハードルの高いものではなく、身体の機能強化へとつながるラジオ体操やウォーキング、ランニング、筋力トレーニング、ダンス、ヨガなどがイメージされますが、このスポーツ実施率を現在の40%台から1.5倍以上となる65%に引き上げるために具体的にどのような取り組みをされるのでしょうか、お聞かせください。
「体育館、区民センター、文化センターの体育室、学校施設など、新たなスポーツ活動で使用したくてもなかなか会場を借りることができない」、「午前、午後、夜と分かれていて、朝から夕方までかかる大会などを開きたくても終日会場を借りることができない、困難である」といった声をいただきます。また、地域的な偏りもあったりします。うぐいすネットの
スポーツ施設予約システムを見ますと、野球場は38面、少年野球場は15面、庭球場は25面あります。それに対してサッカー場は6面、フットサル1面といった状況です。それぞれ競技人口や歴史が異なるスポーツではありますが、サッカーの競技人口に対して非常に少なく、バランスの悪さを感じます。今後、昭和島二丁目公園や森ケ崎公園の改良工事が行われ、少しずつ整備されていくようですが、このスポーツのできる施設の地域的な偏りや稼働状況の効率化についてどのように考え、どのような手を打たれていきますでしょうか。
より多くの区民がスポーツ健康都市の名にふさわしいスポーツ環境に恵まれるようになることを願っております。
次に、「する」スポーツに続きまして、「みる」スポーツとして、大田区総合体育館の活用についてお伺いいたします。
昨年3月12日、大田区制70周年記念式典にて、ボクシング世界王者の田口良一選手が大田区民栄誉賞を受賞されました。田口選手は、昨年大みそかも大田区総合体育館での世界戦で勝利をおさめ、
世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)という二つの団体の
世界ライトフライ級統一王者となり、WBAで歴代8位となる7度目の世界王座防衛にも成功しました。本年は日本初の統一王者として防衛戦を行う予定とのことですが、今まで田口選手が行ってきた数々の
世界戦タイトルマッチの模様や試合結果は、様々なメディアで全世界に配信されています。その際、試合がどの国のどこで行われたのか、ワールドレコードとして会場の名前も必ず伝えられるので、大田区総合体育館(Ota−City General Gymnasium)の名前が世界中に伝わっていることとなります。これは大変にすばらしいことではないでしょうか。
また、選手ではなく「KNOCK OUT」というキックボクシングのイベント団体になりますが、主要な大きな大会を大田区総合体育館で開催し、スポンサーがテレビ局の枠も持っており、「TOKYO MX」では毎週金曜日の23時から、その他、曜日は異なりますが、神奈川や岐阜、三重など全国8局にて毎週テレビで放送され、試合の模様や大会の開催案内などで格闘技の聖地として大田区総合体育館の名前が何度も紹介されています。つい先日の2月12日にも、大田区総合体育館において4000枚の前売り券が完売し、超満員の興行が開催され、ペリスコープと呼ばれるリアルタイムで視聴可能な動画配信サービスも行われ、世界中で約17万人の方が視聴されていたとのことです。
そこでお伺いしますが、プロスポーツやトップレベルの競技大会の誘致、開催できる仕組みづくりとして、より集客ができ、より大田区の知名度向上に貢献できる選手や団体に対して積極的な誘致を図るとともに、周辺地域の経済波及効果も狙っていってはいかがでしょうか。本区の考えをお聞かせください。
大田区でものづくりの工業技術を活かした下町ボブスレーや
車椅子バスケットボール用車椅子の製品開発などが伝えられていますが、それらは「する」スポーツに対してのものであると思います。それに対して、「支える」スポーツに関連した産業振興も考えてみたいと思います。「みる」スポーツとして、チームや選手の応援で、そろいの服装で、鳴り物やタオルなどのグッズを身につけて声援を送る姿は容易にイメージできます。チーム名のロゴや選手名の入ったTシャツやタオル、フラッグ、そしてそれらを印刷する技術をはじめ、応援グッズなどの作成、サポーターを意味する身につけるアクセサリー、フェイスペイント、そして食べ物など、これらのスポーツ観戦に関連するものを大田区の産業で賄うことはできないものでしょうか。
「スポーツ健康都市おおた」として、大田区の産業にはまだまだスポーツに関連できる可能性が秘められているのではないかと思います。
続きまして、福祉の分野の質問に移ります。
まずは、発達障がい児・者家族への支援について質問いたします。
実際に発達障がい児のお子さんを持つご家族の方々から相談を受けて、お話を聞く中で、「私たちのことを理解してもらえることが一番の支援です」といった声をいただきます。その一方、中には自分の子どもが発達障害であるといったことを認めたくないという人もいるとのことです。小中学生の15人に1人にその可能性があると言われている発達障害でありますが、関心がなかったり、認めたくない人には情報が伝わりにくいもので、早期発見から遠ざかっていってしまっているのではないかと感じるとのことです。
今回、厚生労働省による平成30年度予算案におきまして、
発達障害者支援関係施策として、発達障害児者及び家族等支援事業が新規事業として組み込まれました。発達障がい児・者の家族同士の支援を推進するため、同じ悩みを持つ本人同士や発達障がい児・者の家族に対するピアサポート等の支援を充実させ、家族だけではなく本人の生活の質の向上を図るといったものでありますが、発達障がい児・者及び家族への支援につきまして、大田区はどのような取り組み、展開をされていきますでしょうか、お聞かせください。
最後に、医療的ケア児に対する支援について質問いたします。
昨年の第3回定例会決算特別委員会におきましても、我が会派の椿議員が取り上げていましたが、厚生労働省の調べでは、平成27年の医療的ケア児は全国で1万7078人と、10年前と比べて約1.8倍に増えております。大田区でも約80名程度いるのではないかと推定されています。実際に生まれてくる子どもの数は年々減ってきているにもかかわらず、医療的ケア児の数は増えていることとなりますが、これは、病気や障害で以前は生まれたときに救えなかった命が新生児医療の進歩で救えるようになり、医療機器を使用することで日常生活が送れるようになってきたということです。私の身近なところにも医療的ケアのお子さんがいますが、1日の食事は4回、1回の食事は15分置きに5回に分けて食べ物を注入しなくてはならないとのことです。大田区における来年度の予算案の中にも、医療的ケア児に対する支援として五つの取り組みが新規重点項目として掲げられました。ありがとうございます。
医療的ケア児の割合もこれから年々増えていくことが予想されますので、その支援も早急に多角的に展開していかなければならないと思いますが、大田区は、医療的ケア児・者に対する支援において、どのようなことを重点的に取り組んでいきますでしょうか。また、現場のニーズをどのように吸い上げていきますでしょうか、お聞かせください。
以上、大田区の隅々まで区民の満足のいくサービスが行き届くことを願いまして、大田区議会公明党、玉川英俊の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎町田 スポーツ・文化担当部長 玉川議員のスポーツに関する三つのご質問にお答えをいたします。
まず、スポーツの実施率を引き上げる取り組みについてのご質問ですが、平成29年の「大田区政に関する世論調査」では、議員お話しのとおり、区民のスポーツ実施率は41.1%でした。年代別の内訳を見ますと、男性は10・20歳代の若い層が16%と最も低く、次に40歳代が37.7%となっております。女性は40歳代が29%と、他の年代に比べて著しく低い結果となっております。こうした実施率の低い年齢層に対して、スポーツ実施の意識醸成、機会の提供、継続実施に向けた環境づくりを行っていくことが実施率向上に向けて有効になると考えております。
若い世代の方々へは、まず興味・関心を持ってもらうため、スポーツと音楽、ファッション、アニメなど他分野との融合による興味の喚起、意識啓発を行い、次に、仕事や子育てなどに忙しい40歳代の方々へは短時間で気軽にできる運動を積極的に発信し、スポーツに取り組む機会を創出してまいります。さらに、「総合型地域スポーツクラブ」や「スポーツ推進委員」、「体育協会に加盟する団体」などとのさらなる連携のもと、より多くの区民の皆様がスポーツに触れ、その楽しさを体感していただける機会の充実と継続してスポーツのできる環境を構築してまいります。
次に、スポーツ施設や稼働状況についてのご質問でございますが、スポーツ施設につきましては、区施設だけでなく民間のスポーツジムや区内の企業、大学、私立学校などにも働きかけ、スポーツのできる環境を官民連携のもと活用し、より多くの区民の皆様が身近な場所で気軽にスポーツに親しむことができるように工夫してまいります。また、地域の特性を踏まえ、臨海部では、新スポーツ健康ゾーンを中心に、ウォーキング、あるいはジョギングコースの設置、内陸部でも公園施設のスポーツの場としての活用などを図ってまいります。加えて、スポーツ施設や学校施設などにつきまして、議員お話しのとおり、現在の利用実態を把握し、利用時間や運営方法などの研究を関係部局とともに進め、区民の皆様の利用拡大につなげてまいりたいと考えてございます。
最後に、大田区総合体育館におけるプロスポーツ大会等の誘致と周辺への経済波及効果についてのご質問でございますが、区では、平成24年に「
スポーツ健康都市宣言」を行い、スポーツを通じた健康で豊かな暮らしの実現とともに、まちがにぎわいと活力を増していくことを目指しております。プロスポーツやトップレベルの競技大会の誘致は、観戦を通じ、区民の皆様のスポーツへの興味・関心を喚起するだけでなく、大会に出場する選手から観戦者まで非常に多くの方が大田区に集まるため、区の魅力を知っていただく絶好の機会になるものと捉えております。現在、総合体育館でVリーグ主催のバレーボール大会などが行われる際に、体育館の近隣の商店街が主催者と連携し、観客への飲食物の販売や試合後に商店街へ誘導する割引チケットの配布など、スポーツの大会をきっかけとした経済波及効果の創出に取り組んでいるところでございます。引き続き、大会の戦略的な誘致について検討を進めるとともに、大会開催時の区内商店街や宿泊事業者との連携、観光スポットへの回遊の仕掛けづくりなど、さらなる国内経済の活性化に取り組んでまいります。私からは以上でございます。
◎川上 産業経済部長 私からは、スポーツ観戦における区内産業の対応に関するご質問につきましてお答えいたします。
「みる」スポーツを楽しむ方にとりまして、応援するチームや所属選手のユニホーム、Tシャツ、鳴り物などのグッズは、チームや選手との一体感を醸成し、応援気分を高揚させる貴重なアイテムであると考えております。こうした物品の製造、販売等において区内産業の力を活用することは、新たなスポーツサービス業を創出し、ひいては区内産業の活性化につながるものと考えております。区内で開催されているイベントにおいて、区内企業が作製している缶バッジを配布し、イベントを盛り上げている例もございます。
また、区内のプロバスケットチームで、既にグッズの一部を区内企業で作製しております。さらに、商店会と連携し、試合会場にて地元商品を販売するなど、来場者を消費者として取り込む動きもございます。このような取り組みも参考にしながら、今後、関係部局と連携を図り、スポーツ観戦に来られる人を対象にした物品の製造・販売等を一つのビジネスチャンスと捉え、区内の産業振興に結びつけられるよう検討を重ねてまいります。私からは以上でございます。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、玉川議員の福祉分野の二つの質問に順次お答えしてまいります。
まず、発達障がい児・者及び家族への支援の取り組みと展開についてのご質問ですが、発達障害は見えにくい障害と言われており、人とのかかわり方や行動などにおいて、親のしつけや本人の怠け等の問題と誤った捉え方をされることがあります。そのため、本人、家族のつらい思いに寄り添い、周りの人の正しい理解を促す必要があります。
現在、区は、ピアカウンセリング・専門相談、教育センターでのペアレントトレーニングを実施しているほか、発達障がいシンポジウム、発達支援応援フェアの開催等、発達障害の理解、啓発も進めております。また、障がい者総合サポートセンターの二期工事において、学齢期の発達障がい児の支援施設を平成31年3月に開設予定であり、相談、診察、療育のほか、地域支援事業などを実施してまいります。今後、福祉分野のみならず、保健・医療、子育て、教育などの関係部局の連携が重要となってまいります。本人が日常生活を送る場においても、本人やご家族の不安や悩みを受け止め、適切な支援が行き届くよう取り組んで、周囲の正しい理解を広めてまいります。
続きまして、医療的ケア児・者に対する支援についてのご質問ですが、平成28年3月の厚生労働省資料では、医療的ケア児は対象児の増加に加え、家族の介護・見守り時間的拘束の負担感が大きいと述べています。区は現在、家族や事業者などの関係者の想いやご意見などをお聴きしながら、平成30年度から3か年を計画期間とする「おおた障がい施策推進プラン」を策定しております。当該プランには、新たに医療的ケア児を含む障害児福祉計画の内容も包含しております。具体的には、平成30年度予算案において、障がい者総合サポートセンターで、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児・者の利用を中心とした短期入所事業をはじめ、(仮称)医療的ケア児・者支援機関関係会議の設置、区立保育園における医療的ケア児の受け入れ等、新たな事業を推進してまいります。区は引き続き、医療的ケア児の支援に関して、生涯を通じた切れ目のない支援の充実に努めてまいります。私からは以上でございます。
◎黒澤
まちづくり推進部長 私からは、洗足池及び駅周辺の将来像についてのご質問にお答えいたします。
洗足池周辺は、水と緑の豊かな自然環境と(仮称)勝海舟記念館として開館予定の歴史的建造物や歴史的記念碑など、自然と歴史の豊かな地域資源を有するエリアでございます。区はこの間、洗足池周辺のすぐれた景観を保全し、さらに景観づくりを推進するために大田区景観計画における「景観形成重点地区」の指定に向けて取り組んでまいりました。また、「おおた都市づくりビジョン」では、洗足池周辺と馬込、池上を含めた「まいせん」地区のまちの将来像として「歴史・文化・自然の回遊が楽しめる、区民や来街者を惹きつけるまち」としております。さらにビジョンでは、洗足池駅周辺の今後対応すべき課題として「洗足池駅周辺と洗足池公園の一体的整備」を掲げており、地域特性を踏まえた駅周辺の魅力あるまちづくりが求められております。駅及び周辺の整備は、地域住民、事業者の方々との連携・合意が重要であり、区はビジョンで掲げたまちづくりの方向性を踏まえ、今後、関係者・関係機関と協力し、それぞれの果たすべき役割に応じて取り組んでまいります。以上です。
◎齋藤 都市基盤整備部長 私からは、洗足池の環境改善に関する三つのご質問についてお答えをいたします。
まず、現在のカワセミの保護対策の状況についてのご質問でございますが、洗足池は、平成元年度に東京都から大田区に移管されるころまでは、市街化の進展や下水道の普及に伴う池への流入水の減少、それに伴うアオコの発生などによりまして水環境が悪化し、生き物の少ない池でございました。そこで、平成3年には区で池の浄化施設を整備し、その後、継続的に池の浄化対策や池への流入水を増やす取り組みを進めてまいりました。その結果、水質等の水環境は改善され、多くの野鳥が集うようになりまして、十数年前からは水辺の鳥のシンボルとも言えるカワセミが頻繁に見られるようになってございます。
議員のお話にありました巣穴の保護対策は、数年前に区民からのご要望を受けて、池東側の水生植物園付近にあった巣穴を守るために、公園管理の一環で行ったものでございます。区といたしましては、洗足池を水辺の野鳥の宝庫として守り育てていくためには、さらなる池周辺の環境改善に取り組んでいく必要があると考えておりまして、そのことがカワセミの保護対策につながると考えてございます。そのために、今年度は池の水質や水量などの池全体の水環境を把握するための基礎調査をまず実施しております。さらに来年度は、野鳥を含めた池の生物詳細調査を予定するなど、今後の池周辺の環境改善を見据え、具体策検討に向けた基礎データの収集に努めているところでございます。
続いて、洗足池でかい掘りを行うことが可能かどうか、そして、どのようなメリット・デメリットがあるかというご質問についてでございます。洗足池は、これまでの公園整備の中で池周囲の護岸や水門の改修整備を進めた結果、池の構造的には一時的に水を抜くことは可能であると考えております。しかし、洗足池は面積約4ヘクタール、水量約6万立方メートルの規模の大きな池でございます。このため、池のかい掘りを実際行うには、その手法を含めて、平成19年度に小池公園で実施した実績を踏まえたさらなる構造的な検証や技術的な検討が必要であると考えます。
また、かい掘りを行った場合のメリットとしましては、池の水質改善効果はもとより、洗足池公園全体の生物環境の改善が期待できること、特に、ブラックバスやミシシッピーアカミミガメなど、池の生態系を乱していると思われる外来種の淘汰によりまして、池本来の生物環境が取り戻せることが考えられます。そして、デメリットとしましては、池の水の復元に時間を要することにより、ボートなどの公園機能やイベントへの影響が考えられます。さらに、水を抜く期間が長かった場合には、周囲の地盤への影響や池内の生物への影響なども想定されます。
最後に、周辺の駅から洗足池へ向かうサイン表示や、途中で休憩できるベンチの設置についてのご質問でございます。洗足池公園では、(仮称)勝海舟記念館の整備を契機としまして、新たに観光の観点も含めた水と緑を活かしたさらなる公園の魅力アップに向けた取り組みを進めてございます。そのためにも、議員ご提案のような洗足池公園を中心としたエリアでの回遊性を高めていくためのサイン整備や、散策休憩スポットの整備なども今後の重要な検討課題であると考えています。
サイン整備については、現在、洗足池を含めた桜のプロムナードの散策路サイン整備に向けた取り組みを進めていますが、平成31年に予定している(仮称)勝海舟記念館の開設を見据えて、駅周辺の観光案内サイン整備などについても、今後関係部局と連携した取り組みを進めていく予定です。また、それぞれの駅からのアクセスルート途上におけるベンチ設置については、既定の水と緑のネットワーク構想を踏まえて、途中にある公園などを活用した設置の可能性について今後検討してまいります。私からは以上でございます。
◎畑元 環境清掃部長 私からは、洗足池の自然環境の変化についてのご質問にお答えさせていただきます。
区内の貴重な自然環境を保全し、その変化を把握していくことが重要であると認識しております。区は、毎年、区内の主要なポイントの水質を調査し、3年に一度の水生生物調査において鳥類や魚類等の確認を行っております。洗足池については、年間を通じて水質の大きな変化はなく、平成25年度から28年度にかけて、野鳥全体の確認数が若干増えておりました。また、洗足池は区の自然観察路「池のみち」のコースの一部となっており、今年度はNPOや区民の皆様とともに、洗足池の生物調査を行いました。調査結果は、来年度以降に区のホームページにも掲載してまいります。今後もこれらの調査を継続し、自然環境の変化の把握に努めてまいります。私からは以上でございます。
○岡元 副議長 次に、25番小峰由枝議員。
〔25番小峰由枝議員登壇〕(拍手)
◆25番(小峰由枝 議員) 大田区議会公明党の小峰由枝です。
昨年、本区は区制70周年を迎えました。区制100周年に向かう大きな一歩が本年であると認識しております。「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」を実現するために、地域力、区民力のさらなる開花を目指し、まずは商店街の活性化について質問をいたします。
大田区は現在143の商店街があり、地域に密着した交流の場として大きな役割を果たしています。商店街における対面販売は、人間関係が希薄になっている現代社会において見直されているコミュニティ機能を維持でき、区民の交流の温かさが現存する安心の場所でもあると思います。しかし、店の継承ができずに廃業に追い込まれたり、大型店と価格競争の苦しい課題を抱えるなど、商店街存続が危惧されている現実は避けては通れません。全国的に見ても、商店街がにぎわったのは1980年代がピークと言われています。80年代後半になると郊外への人口移動や女性の社会進出が進み、買い物にも効率性、利便性が求められ、商店街から人が遠のく傾向が強くなったようです。本区の店舗数も減少をたどっていると伺いました。
そのような中、山形県長井市の中学校の修学旅行の受け入れを本区の梅屋敷商店街、蒲田西口商店街が行い、長井市の中学生が郷土名産品を二つの商店街の場所を借りて販売するという画期的な取り組みを続けてきました。これは平成23年度、岸田委員長を中心に、こども文教委員会で山形県長井市を視察し、そこから交流が深まり、発展したと伺いました。今年は長井市の中学生が商店街のそれぞれの店舗に入り、その商店の物品を一生懸命PRする姿に店主が感動し、販売終了後には別れを惜しむ姿が各所で見られ、次の上京の折には再会しようと心と心の交流が生まれたそうです。そして、この温かい交流が反響を呼び、大きな波及効果を生み出したと聞いております。生徒たちのいきいきとした明るい表情は、未来を予言するかのように輝いていました。
山形県の生徒のみならず、若い人たちが商店街を行き来し、商店街のよさを肌で感じることができれば、買い物もするようになると思います。店舗の後継ぎの課題さえも期待できるほど、若い人たちとの交流はたくさんの可能性にあふれていると感じます。本区の商店街の現状と、生徒や若い人たちとの交流を区はどのように考えるか、お聞かせください。
ほかにも、大岡山駅周辺の四つの商店街が大岡山さくらまつりを開催し、大森第六中学校が出店を出し、また、鵜の木商店連合会の全国鵜の木まつりに大森第七中学校の生徒の有志がボランティアで参加するなど、活動が続いています。南蒲田の日の出銀座商店街には、地元蒲田女子高等学校とタッグを組んだ丼フェスタが大好評で、商店街が活気づいていました。蒲田女子高が地方で育てたお米を炊いて丼によそい、お店を回って好きなおかずをチョイスできるというユニークなイベントです。大森学園高等学校の生徒は清掃活動に力を入れ、通学路である商店街の清掃を喜々として取り組んでいました。また、青少対はリーダー講習会などで地域のリーダーを担うべく、様々なことに対応できる子どもたちの育成に地域ぐるみで活動を続けてくださっています。
子どもたちのコミュニケーションの希薄化が叫ばれている中で、このような積極的なボランティア活動は、小黒教育長が力強く所信表明で訴えていらした意欲を育てる教育に、ひいては地域力を活かした教育につながるのではないかと考えます。「一生懸命に取り組む子どもたちがかわいい」、「子どもたちからたくさんの元気をもらった」と喜びの声が商店街のあちらこちらから上がっており、生徒たちが商店街と交流することの効果の大きさを感じています。
今後の商店街の発展には、「商店街は買い物の場だけではなく、買い物機能プラスアルファの力」が重要だという考え方もあります。本区が誇る商店街、存続問題ではたくさんの課題を抱えておりますが、人材という社会資源を発掘する意味でも、商店街において、商店街の情報交換や交流会、ボランティアの募集の仕方などを充実させたマッチング事業に取り組むべきと思いますが、本区のお考えをお聞かせください。
商店街は地域社会とのつながりを強めれば、相乗的な活性化が望めると考えます。部局連携を密にしていただきながら、地域コミュニティ力がさらに発揮できるよう要望いたします。
次に、子育て支援について質問します。
本区は「おおた未来プラン10年(後期)」の教育振興基本計画により、おおた教育振興プラン、おおた教育振興プラン2014を策定し、総合的に教育施策に取り組み、子どもたちに学力や体力の向上が見られ、評価に値します。特に、全中学校でのアンケート式質問調査のhyper−QUなどの自己肯定感を高める取り組みは着目すべきで、即効性はなくても「意欲を持って自ら学び、考え、行動する人」などを目標とする本区教育委員会教育目標に近づく取り組みであると考え、今後の成果を期待します。
一方、小中学校の不登校児童・生徒数は横ばいではあるものの、高い水準で推移しています。不登校は「友人との関係」、「生活リズムの乱れ」、「勉強がわからない」、「先生との関係」、「クラブや部活動の友人・先輩との関係」、「家族関係」等々、複数重複して起こるものと認識しています。本区の平成28年度の不登校の現状は、小学校0.44%、中学校3.52%で、中学校の平均不登校者数を見ると、1クラス1名から2名の割合と伺っています。また、東京都の調査では、支援機関などの相談・指導を受けていない不登校児童・生徒は小学校9.4%、中学校15.6%となっています。同調査に「不登校児童・生徒が登校できるようになった状況の変化」という項目があり、そこの上位は「保護者の対応が改善」、「生活習慣が改善」と示され、子どもに対する保護者のかかわりの深さが読み取れます。例えば、学校で取り組む自己肯定感を高める学習も、家庭での肯定的な環境をもって大きく前進できると考えます。いわば車の両輪のように、学校の環境だけでなく家庭の環境も重要であり、保護者の悩みを聞く教育相談の窓口の重要性は時代的に見ても大きな役割を果たしていると思います。
本区教育センターでは、臨床心理士などの専門員が教育相談を積極的に取り組んでいます。共働きで時間の制約がある保護者も多くなった現状に対応しようと、仕事帰りにでも寄れるようにウィークデーは19時まで、また土曜日だけでなく、日曜日も相談体制を崩さず取り組んでいます。この相談の時間帯の枠を広げる取り組みは、23区では大田区だけであり、保護者に寄り添う取り組みは大いに評価するところです。
我が会派の田村議員が提案した「はねぴょん」キーホルダーのこども電話相談は好評で、保護者からも相談が寄せられたと伺いました。本区には、心の輪メール相談があります。メールを含めた保護者からの相談の現状と相談の必要性を本区としてどう捉えるかを伺います。
区民相談の一例をご紹介します。離婚をし、地方から転居してきたAさんは、新しい転地で頑張ろうと親子二人三脚で新生活をスタートしましたが、なかなか地域になじめず、お子さんの病気がもとで不登校になるとますます孤立、母子家庭の負い目もあり、お母さん自身も落ち込む日々が続き、負のスパイラルから抜け出せなくなりました。担任の先生をはじめ民生委員の方に対しても、日を追うごとに心を閉ざしていき、孤立していきました。このような実例はほかにもあるかと思います。
児童・生徒が不登校になると、その保護者も孤立しがちになり、必要な支援が行き届きにくいと聞いております。また、不登校児をもとに教育的な連鎖を見れば、保護者も同じ経験、同じような境遇で育っていることが多いと言われ、そして、今でも一人苦しんでいる保護者も少なくないと思います。
電話で相談できる保護者は発信力がありますが、みずから発信できないままでいる保護者へのアウトリーチが今後さらに必要になってくるとも思います。うまく話はできないけれど、メールを打つことはできるという傾向が見られる昨今、誰に相談していいか悩んでいる保護者の方が、手持ちのスマートフォンからメール相談へつながることができれば、相談員が寄り添う環境へと広がります。保護者が気軽にメール相談ができるようにし、電話相談などへつなげる取り組みを伊丹市や厚木市などは既に行っているようです。子どもに対して困っていても「何をすればいいかわからず、何もできなかった」と答えた保護者の方々の現状を受け、本区として保護者に向けたメール相談の拡充を提案いたします。メール相談から電話相談、訪問へとつなげられる相談体制を構築し、区民への周知を明確化していくべきと考えますが、見解をお聞かせください。
次に、福祉施策の肢体不自由児の放課後等デイサービスについて質問いたします。
障がい者は、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者に分かれ、身体障害者手帳を本区で持っていらっしゃる方は、平成29年3月現在、2万574人で、ほかの障害手帳発行と比べると身体障がい者が一番多く、そのうち18歳未満の肢体不自由児数を見ると227人となっています。この227人の中には愛の手帳重複所持者も含まれますが、放課後デイサービスに通われている利用率を見ると、227人のうち約50人と2割弱の利用率であります。愛の手帳重複所持者を含まない純粋な肢体不自由児の放課後デイサービス通所数は13人と、1割にも満たない利用率となっています。
肢体不自由とは、上肢、下肢、体幹機能のいずれかに何らかの障害を持ち、その原因としては、脳、脊髄・末梢神経、筋肉、骨の四つが挙げられ、脳性麻痺、インフルエンザ脳症、染色体異常、筋ジストロフィー、骨の形成不全などを患っていらっしゃいます。整形外科的治療やリハビリを行いながら特別支援学校へ通う生活ですが、子どもの成長と同時に、車椅子の移乗、食事介助、排せつ介助などの保護者の負担は大きくなり、学習支援も含め、充実した支援サービスが必要と考えます。
大田区障害者計画・第4期障害福祉計画には、「障がいのある人が『自分らしく』『安心して』暮らせるまちの実現を目標に障がい者施策を推進」とうたってあります。今後、肢体不自由の子どもに対して、放課後等デイサービスの療育の拡充を図る必要があると思いますが、本区の現状と、策定中の次期「おおた障がい施策推進プラン」における施策をお聞かせください。
放課後等デイサービスの定義は、学童期の児童が学校終了後や学校休業日に通う療育機能・居場所機能を備えた福祉のサービスで、生活能力向上のための必要な訓練をし、社会との交流の促進を図るとされています。現在、肢体不自由児に特化した放課後等デイサービスは本区にはなく、知的障害の児童と一緒のデイが多く見受けられます。デイサービスで車椅子に座っている肢体不自由児に他の活発な児童が走ってぶつかってくると、肢体不自由児は車椅子ごと倒れ、骨折の危険性があると複数の保護者の方から声が上がっています。「転倒したら骨折です。リハビリも限度があり、そうそうできません。生きてきた中での獲得したものをあっという間に失うのです」、「悪気はないと思っても親としてみたら、つらいことです」、「心配しながら施設に送り出すのなら、家で見ていたほうがいい」、「デイサービスに行っても車椅子に座ってじっとしているので放っておかれる」、「脳障害のない肢体不自由児もいるので、子どもに合わせた訓練だけでなく学習もやってほしい」、「ようやく肢体不自由児も通えるデイサービスを見つけても、2階でエレベーターがない施設は、うちの子は車椅子なので断られたんです」などのご意見をいただきました。
先日、世田谷区の肢体不自由児が主に通う放課後デイサービスを視察させていただきました。決して広いとは思えない空間に車椅子10台が置けるように工夫して施設を使っていました。近くに都立光明特別支援学校があり、夏休みなどは光明の先生方が様子を見に来てくれ、刺激を与えてくださることもあったそうで、保護者の方も積極的にかかわり、皆さんの意見を取り入れながらつくられたデイサービスという印象を受けました。車椅子に座らせたままではなく、寝返り抱きや特化した運動なども取り入れていました。
肢体不自由児も、知的障がい児も、健常児も同じ場所で教育・保育をしていこうというインテグレーションの考え方がありますが、安全面、療育面などを鑑みると、この理想に向けての課題は多いと思います。適切な支援をするには、児童支援発達地域ネットワーク会議などにより、事業者やスタッフのさらなる充実・向上を図るとともに、開設予定の事業所に本区内の情報提供を積極的に行うことや、また、都立城南特別支援学校等とも連携し、障害施策を進めていきたいと考えていますが、本区のお考えをお聞かせください。
今回は肢体不自由児放課後等デイサービスに焦点を当てましたが、ほかの障がい児の方々も同じように、自分らしく安心して過ごせる施策がさらに拡充することを期待し、次の成年後見制度の理解促進についての質問に移ります。
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断力が不十分と見られる方の財産や生活を守る制度です。成年後見制度を締結すれば、本人のために適切な財産管理ができ、本人にとってよい環境であるように配慮してもらえる身上監護も保障できる権利擁護の大切な制度ですので、この制度のメリットや有効性を区民の皆様が理解していただくことが重要であると思います。
Bさんは、成年後見制度と死後事務委任を締結されました。締結に至るまでには本人の理解と納得が必要で時間はかかりましたが、締結後は納得した分、安心していらっしゃいました。本人がご病気で亡くなった後は、遺産も遺品整理も本人の意思が見事に貫かれており、改めてこの制度の理解促進の必要性を感じた次第です。
大田区実施計画によりますと、成年後見制度を知っている区民の割合は平成28年度で32.9%であり、未来プラン10年(後期)策定時の27.4%と比較すると5.5ポイント増えましたが、目標値である36%に向け、さらなる取り組みが必要だと思います。まずは、高齢者に向けたインパクトのあるポスターやチラシ作成、展示コーナーの設置などで興味を持っていただくことから始め、当事者の家族にも、スマホ対応のアプリや動画などの活用で周知を広げることも大切かと考えます。
平成29年決算特別委員会での総括質疑で、我が会派の秋成議員における答弁で、本区のこれまでの理解啓発の取り組みを伺いましたが、今後さらなる普及啓発に向けた見解をお聞かせください。
私が受ける区民相談でも成年後見制度の内容が増えておりますので、今後、区民の成年後見制度の相談が全体的にも増加していくことが推測できます。そのときの窓口は、直接高齢者などにかかわる方々、地域包括支援センター、大田区社会福祉協議会の成年後見センターなどが成年後見の支援者として大きな役割を担っていくと認識しています。成年後見制度には、法定と任意がありますが、この違いから理解することはなかなか難しく、支援者も理解していないことが散見されます。区民お一人お一人の大切な財産を預けるための相談に対し、支援者は的確な判断が求められます。成年後見制度の充実には、支援者のスキル習得が必須になると思われます。相談者が適切な制度利用へつなげるためには、支援者自身の正確な制度理解の促進と連携、専門性の向上が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。
区民への周知と並行して、支援者の制度理解のスキルアップが整った次は、成年後見制度のわかりやすいセミナーを行い、区民の皆様に広く理解浸透していくことが必要と考えます。また、本庁舎内に成年後見制度の窓口やコーナーを設け、気軽に相談に立ち寄れるように区民に門戸を広げていただきたいことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎川上 産業経済部長 私からは、商店街に関する2問にお答えいたします。
まず、本区の商店街の現状と、商店街と生徒たちとの交流を区はどのように考えるかとのご質問でございます。最初に、商店街の現状でございますが、かつては158の商店街がございました。しかし、経営者の高齢化や後継者不足、購買方法の多様化の中で活力の低下が見られており、本区において、現在では143商店街となっております。このような現状の中で、地域に魅力を感じ、商店街に出店することで人が集まり、にぎわいの創出につながっていくことは、商店街の活性化や再生のために欠かせないことと考えております。区では、区立中学校の2年生が職場体験として商店街の店舗で販売活動を行う生徒たちも多くいます。また、山形県長井市から中学校修学旅行生の受け入れを行っている商店街もあり、この修学旅行生受け入れは、山形県の近隣市町村や
福井県にも伝わり、大田区の商店街に受け入れてほしいとの相談も寄せられております。いずれにいたしましても、商店街活性化には若い力が不可欠でありますので、このような交流を含め、若い人たちの力で商店街全体で活性化していくよう取り組んでまいります。
次に、商店街におけるマッチング事業に関するご質問でございますが、区は、これまでも商店街の存続とさらなる発展に向けて、商店街や個店の魅力、にぎわいの向上に取り組んでまいりました。国内各地でも商店街の存続が危ぶまれる地域も数多くございますが、中には商店街の活性化に成功している例も見受けられます。このような商店街では、様々なプレーヤーが集まり、地域の活性化や暮らしやすいまちづくりのため、連携して商店街のにぎわいの向上に取り組まれております。
梅屋敷商店街と梅屋敷東通り商店街では、様々な立場の人たちの協力をいただき、事業を実施いたしました。地域や年齢の垣根を越え、商店街の今後のあり方を深く考える場となりました。区におきましては、やる気と情熱のあるプレーヤーをマッチングし、サポートしながら商店街の魅力向上や活性化に取り組んでまいりたいと考えております。また、今後は、空き店舗の活用やイベントの実施などにつきましても、部局間で連携し、地域住民や学生、ボランティアなどの参画、協力を支援し、地域コミュニティの核として、にぎわいあふれる商店街づくりに取り組んでまいりたいと思います。私からは以上でございます。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、福祉分野四つの質問に順次お答えしてまいります。
まず、肢体不自由の子どもたちに対する療育の拡充についてのご質問ですが、区は、障害が多様化している現状を踏まえ、放課後等デイサービス事業所に対して、障害の状況にかかわらず、積極的に受け入れるよう働きかけております。また、個別支援計画を作成し、自立支援と日常生活の充実のための活動等療育を実施すること、家族の子育ての悩みの相談に乗ることなど、本人に寄り添った支援をするよう指導しております。
現在策定中の「おおた障がい施策推進プラン」では、主に重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所を新たに1か所以上整備する予定でございます。今後とも、肢体不自由の子どもたちが適切な支援を受けることができるよう取り組んでまいります。
次に、適切な支援のための事業所の質の向上等に関するご質問ですが、放課後等デイサービスは療育の場であり、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことが重要と考えております。区は事業所に、区の現状を伝え、障害の状況にかかわらず受け入れること、適切な療育を提供するよう指導しております。また、事業所において放課後等デイサービスガイドラインに沿った運営がされるよう、訪問等による指導を行っております。今後、ケース会議等の実施を通じて、事業所と学校をはじめとする関係機関が支援内容を共有し、支援の方向性を一致させるよう、区として連携強化を事業者に求めてまいります。
次に、成年後見制度の普及啓発についてのご質問ですが、今後、認知症高齢者等権利擁護支援を必要とする方の増加が予想される中、自分らしい尊厳のある暮らしを支えていくための仕組みとして、より一層普及していくことが望まれます。また、適切な支援に結びつけていくためには、本人や家族が身近なところで、成年後見制度に関する情報に接する機会をさらに増やしていくことが求められています。区は、大田区社会福祉協議会成年後見センターと連携し、制度を案内した資料や講演会等を開催し、普及啓発に努めてまいりました。今後は、実例も紹介したパンフレットを作成するなど、誰にもわかりやすい制度の周知を図るとともに、民生委員児童委員や認知症サポーターなどと連携し、成年後見制度を地域に広めてまいります。
最後となりますが、成年後見制度における支援者の専門性向上についてのご質問ですが、本制度の利用促進に向けては、支援者が利用者に寄り添いながら、本人の意思決定を支援し、適切なサービスの利用につなげていくことが重要であると考えます。そのためには、成年後見制度の利用が必要となる方に日常的に接する機会の多い区職員や民間の事業所職員のスキルの向上を積極的に図る必要があります。区は、職員や地域包括支援センター職員等を対象に、成年後見制度や虐待対応など権利擁護支援をテーマとした研修を実施するほか、成年後見センター等とも連携して民間の事業所を対象とした研修会等を開催しております。今後も人材の育成に努め、権利擁護支援の充実を図ってまいります。私からは以上でございます。
◎水井 教育総務部長 私からは、保護者を対象とした教育相談についてのご質問にお答えいたします。
まず初めに、メール相談も含めた保護者からの相談の現状と必要性についてのご質問ですが、平成28年度、教育センターで受けた5813件の相談のうち、保護者からの相談は3522件で60.5%を占めております。核家族化や地域のつながりが希薄化する中で、保護者が子育てについて相談する相手が少なくなっていることや、発達障害など専門家の助言が必要なケースが増えていることなどの理由により、保護者を対象とした相談の必要性が高まっているものと分析しております。
また、心の輪メール相談は、主に子どもを対象としておりますが、平成28年度は5件のうち1件が保護者からと推測されるものでした。今年度は、「はねぴょん」キーホルダーを小中学生全員に配布し、PRに努めたこともあり、メール相談は、1月末の時点で72件と大幅に増加しておりますが、このうち保護者からと推測されるものが5件ございました。主に子どもを対象とするメール相談に保護者からと推測されるものが含まれていることから、保護者向けのメール相談の必要性を感じているところでございます。
次に、メール相談の拡充についてのご質問ですが、メール相談は相談時間に縛られず、気軽に相談できる方法である反面、声の様子や表情などを見ながら、相談者の微妙な心の状態を推しはかることが必要なケースへの対応が難しいというデメリットもございます。しかしながら、スマートフォンなどの普及が進んでいる現在、メールの特性を十分踏まえたうえで、その利便性を活用していくことは極めて重要でございます。メール相談を拡充し、これを入り口として来所相談に誘導していくなど、それぞれの手法の利点を活かした相談者の悩みにしっかりと応えていける体制を整備してまいります。
○岡元 副議長 次に、47番奈須利江議員。
〔47番奈須利江議員登壇〕(拍手)
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
サッチャリズムに象徴される民営化で小さな政府を目指してきたイギリスが、再公営化にかじを切っています。フランスのパリ市が民営化した水道を再公営化するなど、世界では民営化の失敗から再公営化の流れが既に始まっています。一方の我が国は、本国会で、地方議会の議決なく民営化できるようPFI法を改正しようとしているなど、民営化をさらに加速させようとしています。こうした日本の状況は、世界が再公営化している流れから見れば、何周も遅れて、その失敗を繰り返そうとしているように見えます。
今日は公共サービスの民営化により、株式会社の参入を許したことで、どのような影響が出てきているのかについて問題提起したいと思います。
それまで行政と社会福祉法人、学校法人など非営利法人が担ってきた子育てや介護などの社会保障ですが、2000年に営利目的の株式会社の参入が許されるようになりました。株式会社の参入による民営化は、ここに来て目に見える形での心配や影響が出始めています。今年の私立幼稚園の新年会で、幼稚園の先生が集まらなくて園を継続できないかもしれず、大変に困っているというお話を伺い、大変なことが起きていると思いました。非営利団体の幼稚園は、運営を継続できなければ資産を国に没収されることになりかねないからです。
戦後復興の中、国は財源不足もあり、公だけでなく、非営利法人と呼ばれる学校法人、社会福祉法人、医療法人などの力も借りながら、教育や福祉や医療などを整備してきました。誰もが生きていくうえで欠かせない子育てや介護や教育や医療などを担う法人は、そこで個人の利益や資産を得てはならないという原則から、剰余金の分配や解散の際の持ち分、残余財産の取り扱いなど、厳しい制限をかけられてきました。株式会社は、売り上げから人件費などの費用を差し引いた税引き後の利益を株主に配当する、つまり利益を上げることが法人の目的ですが、例えば幼稚園を運営する学校法人の場合、たとえ剰余金という利益が出ても理事などで分配してはならず、教育など法人の目的に使うよう制限をかけられています。また、株式会社が事業をやめて解散する場合、残余財産、資産が残れば、株主で分配することができますが、学校法人の場合、これも許されず、他の学校法人など教育事業を行う法人のものになるか、それでも処分されない財産は国のものになってしまいます。国に没収されるかもしれないというのは、こういう縛りがあるからです。最近できた一般社団法人などは、余剰金の分配ができないため、非営利と呼ばれることがありますが、解散後の残余財産は総会で社員に分配することが可能です。
戦後日本の教育や社会保障などを担ってきた非営利法人は、厳しい縛りのもとで地域の教育や福祉を担ってきているのです。学校法人や社会福祉法人などが私財をなげうってと言われることがあるのは、こうした縛りの中で教育や福祉を担ってきたからです。補助金でつくった株式会社の保育園は株主のものですが、学校法人の幼稚園や社会福祉法人の特別養護老人ホームは、社会インフラと呼ぶべき地域の財産で、大きな違いがあります。こうした違いのある非営利の幼稚園と営利の保育園ですが、就労のために認可保育園を選ぶ家庭が増えていて、幼稚園は保育園と競合し、競争する状況にあります。幼稚園の先生が集まらないのも、保育園のほうが給料がよいので、保育園にとられてしまうからです。
こうした競合関係にある幼稚園と認可保育園ですが、大田区は、保育園には正規保育士1人454万円で雇えるだけの単価で算定されている公定価格と呼ばれる補助金を支払っています。ところが、補助金を受けている認可保育園の中に保育士に十分な給与を支払わない事業者があるため、社会問題になっています。保育士の低賃金は、支給された手厚い補助金から適正な賃金を支払わない事業者の問題ですが、国はここに処遇改善費用と呼ばれる上乗せ支給を行い、さらに大田区では、家賃補助、加えて保育士応援手当として月1万円を保育士に直接振り込んでいます。今、民間保育園に国や大田区が行っている財政支援や給与補助は、市場経済に委ねて競争させることで価格が下がり、サービスが向上すると説明していた民営化でしょうか。これではまるで幼稚園と保育園を競合させ、国が補助金で株式会社に幼児教育市場を独占させようとしていて、それに大田区も加担しているように見えます。
保育園が選ばれる背景には、高まる女性の就労意欲や子育て中も働かないと生活できない賃金、高い学費、老後の不安など、政治が決めてきた予算や施策が影響している部分も少なくありません。しかし、私はそれだけでなく、民営化で株式会社が認可保育園に参入したこと、加えて、国の施策も大きく関係していると考えています。例えば、保育に欠けるではなく、理由を問わず入園できるようにしたことも、幼稚園と認可保育園を競合させることになっています。区立保育園だけであれば、区立幼稚園を廃園したように、定員を調整することで幼稚園とのすみ分けをすることも可能ですが、民間保育園の定員を大田区が減らすことは困難です。しかも、大田区が認証保育所の保育料を補助し、負担が軽くなったことで、幼稚園は認証保育所とも競合しています。認可保育園には社会福祉法人があるではないかというご指摘もあるかもしれませんが、国は社会福祉法人改革で余剰利益の使い道まで定め、地域貢献で吐き出させようとしていますから、社会福祉法人保育園も不安要因があります。
区長はこうした幼稚園と保育園の状況を知り得る立場にあって、私立幼稚園を守ると言っています。それではこれは、保育園のように幼稚園の先生に給与補助すれば済む問題でしょうか。私は、課題もないとは言えませんが、学校法人、社会福祉法人、医療法人など、元来の非営利法人が教育や福祉や医療に果たしてきた意義は大きいと考えています。
そこで伺います。大田区はどのように幼稚園を守るのでしょうか。
行政の持つ情報やつくる仕組みが個人の権利を制限し、不正な利益をもたらすことになる可能性があり、心配なのが成年後見制度です。自分では意思決定できないとされた認知症の方、精神や身体に障がいを持たれた方などにかわり意思決定するのが成年後見制度ですが、国会の審議においても、本人の意思決定権を奪うことや、後見人が本人の意思に反した決定を行う危険性、後見人による着服、横領などの問題が指摘されています。それだけでなく、後見人の判断で延命治療の停止、安楽死への道を開く可能性、また逆に後見人による過剰治療を招くことや、後見人による精神病院への強制入院や老人ホームへの強制収容などもあり得るのではないかという懸念の声もあります。世界では、全ての人の自己決定を認める方向になっていて、国連障害者権利条約が生まれた背景にも、こうした流れがあります。日本は判断能力の有無をあまりにも簡単に決めてしまうという評価もあるそうです。
こうした問題点が指摘される中、国が成年後見制度の利用の促進に関する法律を制定したことで、自治体に中核機関の設置や地域連携ネットワークの整備等が求められています。成年後見制度は、利用はなかなか進んでいません。費用もかかり、一旦行ったらやめることはほぼできないなど、課題も少なくありません。後見人にとっては料金の発生する仕事になることでもあり、利用促進がひとり歩きすれば、指摘されている権利擁護の視点や不正の問題はなくなるどころか、さらに大きくなるのではないかと心配です。
中核機関や地域連携ネットワークの構築は、被後見人になり得る可能性のある本人の個人情報と後見人とをつなぐということでもあり、公平中立な立場の大田区の存在なしには成り立ちません。大田区がどうかかわり、設置し、運用していくのかは非常に重要です。
そこで伺います。中核機関の設置や地域連携ネットワークと呼ばれる協議会の整備などに際しては、行政や関係機関が持つ個人情報が地域連携ネットワーク大田区を介して、利用促進という名のもと、不適切に利用されることのないよう、当事者の声を聞くこと、広く関係者が参加し、意見を述べられる公開な場で議論が行われること、本人の意思決定権が尊重されることほか、当事者の権利擁護と不正の防止策が必要であると考えますが、大田区はどのような姿勢で地域ネットワークの構築に当たりますか。
先日、民営化した水道を再公営化したときのパリ市の元副市長アン・ル・ストラ氏をお招きし、講演していただきました。再公営化して、事業者が7%と言っていた利益が15から20%くらいだったのではないかということがわかったそうです。そうした事業者の利益がなくなったことで、パリ市では、再公営化により水道料金を8%も引き下げることができました。以前にも議会で取り上げましたが、ソウル市では、民営化した事業を直接雇用にすることで賃金を16%引き上げ、総経費を5%引き下げています。事業者の利益が大幅に削減されたためです。
パリ市元副市長の、「水は公共財。民営化したら料金に民間の利益が含まれ、経営内容も不透明になる。民間の事業者を使うメリットが見えてこない」という発言が非常に印象的で、水だけでなく、社会保障をはじめとした公共分野の民営化の議論の際にも、これを踏まえた議論が必要であると考えました。株主配当や内部留保といった直営であれば必要のないコストを負担しなければならないのが株式会社に委ねる民営化です。区立保育園の土地や建物は私たち区民の財産ですが、株式会社が認可保育園をつくれば、区民の税金で買った土地と建物が株主の資産になってしまいます。
大田区は、保育園の民営化で区民の負担が安くなったと答弁できませんでした。日本では、当初格差は拡大するものの、社会保障サービスにより、その格差が何とか是正されていると説明されています。ところが、厚生労働省にも、また、元厚生労働省の福祉・援護局長で内閣官房社会保障改革担当室長も務めた中村秀一氏にも確認したのですが、社会保障サービスを株式会社が供給した場合、直営であれば必要のない株主配当や内部留保や株主の資産になる保育園の土地や建物の購入費のような費用まで含め、社会保障サービスが供給されたことになって、格差是正の金額として計上されるのだそうです。株式会社が社会保障を提供すると、直営の場合より株主配当や内部留保などの分、格差是正の効果が薄くなっているとは言えないでしょうか。しかも、株式会社に社会保障を担わせると、現場の労働者は低賃金になりますが、利益が上がれば株主配当するので格差を拡大させることになります。
そこで伺います。大田区は、保育園の民営化をはじめ、公の施設の指定管理者制度やPFIを導入するなど、株式会社の参入を許し、民営化を進めてきました。しかし、コスト削減効果についての厳密な効果検証も行われず、特に社会保障分野に営利企業を参入させたことによる影響についての検証も行われていません。小さな政府と呼ばれる民営化ですが、日本の民営化は、認可保育園にも見られるように、公定価格が上がり続けていて、競争原理も働いていません。
そこで伺います。民営化の効果について、透明性の確保、経費削減効果、財政への影響、サービスの向上、格差の拡大などの視点から検証すべきときに来ていると考えます。大田区は、非営利分野に営利企業株式会社の参入を許したことについて、どう評価していますか。(拍手)
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎市野 企画経営部長 私からは、民営化に関するご質問についてお答えをさせていただきます。
区民ニーズが多様化する中、さらなる区民サービスの向上を図っていくため、区では、アウトソーシング指針に基づきまして、「民間にできることは民間に委ねる」ことを基本として、行政、事業者、NPO団体などの様々な主体がそれぞれの強みを活かして区民ニーズに応える仕組みの一つとして、アウトソーシング手法を導入してございます。区が実施する事務事業を民間に全面的に移譲する民営化につきましては、区では、現在、保育園、特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンターの一部で導入をしてございます。民営化した事業につきましては、福祉サービス第三者評価、モニタリング、法人監査、指導検査などにより、区が民間事業者の事業の実施状況や経営状況等を把握し、サービス水準の検証を行うとともに、一定の関与をすることで透明性が確保されてございます。
また、経費や財政面におきましては、民営化して民立民営となった保育園で、国、東京都からの給付費があるため、区直営と比べ区の負担額が縮減されることや、特別養護老人ホーム及び高齢者在宅サービスセンターにつきましても、民営化した3施設の管理運営費等が縮減されていることから、民営化による効果的なサービス提供が行われてございます。格差拡大の懸念に対しましては、公共サービスの提供に従事する従業員の適正な労働条件の確保に向け、民間事業者に指導助言等を行うとともに、保育士の処遇改善などにも取り組んでいるところでございます。民営化した事業におきまして、こうした検証や取り組みを行うことにより、安定した質の高い公共サービスの提供を確保してございます。私からは以上でございます。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、成年後見制度のご質問にお答えしてまいります。
成年後見制度における地域連携ネットワークの構築についてのご質問ですが、国の成年後見制度利用促進基本計画では、三つの基本理念としまして、「利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善」、二つ目として、「権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」、三つ目としまして、「不正防止の徹底と利用しやすさとの調和」が示されています。区市町村における当面の取り組みとして、地域における成年後見制度のニーズの把握の方法や、地域の専門職との連携のあり方などの検討が求められています。現在、弁護士会、司法書士会や社会福祉士会が合同で各自治体と連携の意向を示しており、区におきましても、この3専門職団体と情報を交換しているところでございます。区は、成年後見制度の重要性に鑑みまして、利用促進に取り組んでまいります。私からは以上でございます。
◎水井 教育総務部長 私からは、私立幼稚園の経営支援に関するご質問にお答えいたします。
区内私立幼稚園は、長年にわたり大田区の幼児教育における中心的な役割を担ってまいりました。区として幼児教育の重要性に鑑み、私立幼稚園の振興に関する経費補助をはじめ、園児の健康増進に要する補助、あるいは特別支援教育の充実に要する補助などを行っており、その補助額は23区の中でも手厚いものとなっております。
一方、共働き世帯の増加等により長時間の保育に対するニーズが高まっており、保育園の待機児対策が重要な課題となっているところでございます。区内私立幼稚園の多くは、園児数がわずかに減少する傾向が見られることから、私立幼稚園の保育時間が保育園並みになれば、質の高い幼児教育の魅力から保護者の人気をさらに集めるようになると考えております。区は、このような視点に立ち、保育園並みの長時間預かりを行う際の人件費を補助する区独自の長時間預かり保育事業を昨年度から開始し、私立幼稚園の経営の安定に向けた取り組みを強化しているところでございます。なお、現在までのところでございます。以上でございます。
○岡元 副議長 奈須議員、再質問ですか。奈須議員、演壇にて再質問を許可します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) 民営化についての効果なのですけれども、今では不十分なので検証すべきと思うのですけれども、検証するつもりはないのでしょうか、お伺いいたします。
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎市野 企画経営部長 民営化に関するただいまのご質問でございますけれども、先ほどもご答弁を申し上げましたとおり、民営化をいたしました施設につきましては、様々な角度から検証を行っているところでございます。私からは以上でございます。
○岡元 副議長 次に、41番松原 元議員。
〔41番松原 元議員登壇〕(拍手)
◆41番(松原元 議員) 大田区議会民進党、松原 元でございます。質問通告に従いまして、お伺いをいたします。
まず、待機児童問題解決のため、保育所等の確保についてお伺いをいたしたく存じます。
この数年来、大田区は待機児童対策を進めてきておりますが、現在もその解消には至っていないことは、本年の平成30年度予算案にあります保育士等の整備に41億円余りを計上、また保育の質の確保に11億円余りを計上、保育サービス定員を1000人増やすとする目標からも明らかであると存じます。核家族化が進み、共働きが当然となった今、子どもを預け、働きに出ることは家族の暮らしを維持するためにはいたし方ないことであり、子どもは母親が家で見るべきとする、いわゆる3歳神話なる価値観は、今の時代には合致しない認識であるのではないでしょうか。
では伺います。本問題が叫ばれてから、大田区は保育サービス定員の拡大に努めてまいりましたが、各地域の需要状況をどのように分析をされてきたのでしょうか。現状、調布地区、特に田園調布近隣地域における供給が甚だ手薄であると考えます。大田区はどのようにお考えでしょうか。今後の整備計画時に特段の処置を希望するところであります。
また現在、大田区は保育所等の整備促進とともに、保育人材への手当を行い、その確保に努めようとされております。昨年より区独自の財源にて実施をしている保育士応援手当の支給もそのあらわれであります。しかし、現場の方々からは、保育士確保が困難な状況に変わりはないとする声が聞かれております。現在行われている財政上の支援だけでは、これから先も大田区の保育サービス定員の需要を満たすことはおぼつかないと私は考えております。
さて、厚生労働省は平成28年に保育士配置の特例を施行しております。全文をご説明する時間はありませんので、一部概略を申し上げますと、「保育士最低2人配置要件について、朝夕など児童が少数となる時間帯においては、保育士2名のうち1名は子育て支援員研修を修了した者に代替可能とする。また、保育士と近接する職種である幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭を保育士にかえて活用可能とする。保育所等を8時間を超えて開所していることなどにより、認可の際に最低基準上必要となる保育士数を上回って必要とする保育士数については、子育て支援員研修を修了した者等に代替可能とする」であります。
現在、大田区は、保育の質の維持を鑑み、この特例処置を実施していないということでありますが、私は、子育て支援員研修を修了された方、その他の保育士と近接する職種の方々との代替が、すなわち保育の質の低下につながるものではないと考えます。大田区において、この保育士配置の特例導入についてのお考えをお聞かせください。
次に、環境上不良な状態の住宅についてお伺いをいたします。
環境上不良な状態の住宅については、会派を問わず、多くの議員各位がこの議場にて取り上げてまいりました。私も一昨年の9月、決算特別委員会時に、この環境上不良な状態の住宅に対しては、環境面から早急な行動が求められる場合には、清潔で美しい大田区をつくる条例に則り、代執行も含めた対応が必要ではないかと質問をさせていただきました。しかし、大田区としては、福祉的なアプローチも重要であるとのご答弁でありました。あれから1年半ほどの期間がたちましたが、この間、その福祉的なアプローチをもって解決に至ったケースなどはございますでしょうか。平成28年6月時点で、環境上不良な状態の住宅として認知されている件数は8件とのことでありました。
昨年、国際都市おおた宣言を行い、さらに来るべき2020オリンピック・パラリンピックにおいて、国内外の多くの方々を区内に誘致をせんとする大田区においては、迅速な対応が求められると考える次第であります。今後、福祉的なケアを優先的に行うにせよ、ある程度の期日を設け、それを過ぎたならば、代執行も辞さないというめり張りをつけた対応が求められると存じますが、大田区のお考えをお示しください。
最後に、先月催された大田成人のつどいについてお伺いをいたします。
この場にご参集の多くの方々が、この成人のつどいにご参加をされているかと存じます。今年のテーマは「CANVAS 真似できない“彩”」とのことで、新成人で構成された運営委員が企画をいたしました。6197人の対象者のうち、おおよそ半数に当たる3000人あまりの新成人が参加をし、その中には、私の弟も含まれていたわけであります。
式終了後、弟をはじめ、その竹馬の友らに成人のつどいの感想を聞いたところ、様々意見が出ました。その中で一つ共通したものとしては、できるならば大田区にちなんだ記念品などをもらいたかったという点であります。なるほどと思い、調べてみますと、大田区と同様に記念品を設けていない自治体も多々ある一方で、図書券やマグカップ、USBメモリーなど実用的な物品から、紅白まんじゅう、手づくりクッキーなどの食品、人によっては使用をちゅうちょするような物品、そして、地元ゆかりの物品を新成人に記念品として配布する自治体も多数あることが確認できました。大田区においても十数年前までは配布等をしていたとのことでありますが、他自治体の事例を見る限りでは、受け取る側の賛否は様々あるものの、少なくとも新成人に対して行政として強いメッセージを否応なく与えることには成功しているようでありました。ソーシャルメディアサービスが発展した今、数千人の若者に対してメッセージ性を込めた記念品を配布すれば、その波及性、PR効果は、広告換算値からしてもはかり知れないものであると私は考えます。ものづくりのまちを公称する大田区が、そのような機会を活用しないということはいささか残念に感じる次第であります。
大田成人のつどいは新成人の運営委員会が企画運営するというものであり、大田区側から頭ごなしに記念品の企画をすべきと言うべきではないかもしれませんが、その予算面における選択肢の確保はなされるべきではないかと思います。大田区としてのお考えをお聞かせください。
最後に、運営面に関してお伺いをいたします。大田成人のつどいは、近年、改修工事時などを除き、大田総合体育館にて行われております。また、参加者数もほぼ例年横ばいであり、この傾向は続くと考えられております。その中で懸念されているのは、新成人らへの統制が不十分であるという点であります。例年多くの新成人らがアトラクションを観覧せず、地上階にあふれ、交通の妨げとなっております。一部の新成人は過激な行動を行い、注目を集めようともしております。シャンパンとおぼしきアルコールをかけられ、コートと背広をクリーニング送りにされた私といたしましては、これから先、大田総合体育館にて同様の状況が繰り返されることはいささか理解に苦しむところであります。今後の運営のあり方といたしましては、例えば、8000人規模の新成人を抱える世田谷区や江戸川区のように、複数回の開催を会場の内外の混雑緩和のために検討することはできませんでしょうか。
以上、ご答弁のほどよろしくお願いいたします。(拍手)
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎鴨志田 地域力推進部長 私からは、成人のつどいに関するご質問にお答えいたします。
まず、成人のつどいの記念品についてでございます。価値観が多様化している昨今、区は成人のつどいについて、ステージアトラクションなどの催し物や新成人が旧交を温める場の提供などをもって、新成人を祝福する機会としております。さらに、成人を迎える方々で実行委員会を組織し、成人のつどいを若者の価値観に沿った内容としております。記念品につきましては、成人のつどいのあり方を踏まえ、研究してまいります。
次に、成人のつどいの開催方法に関するご質問です。開催当日は、会場内外に民間警備会社や警察、職員が参加者の誘導や案内、警備に当たっており、式典等の進行管理に加え、新成人のマナーや安全への注意を促しております。区としては、開催を1会場とすることにより区内全域の新成人がそろって門出を祝い合うことができると考えております。今後も警備会社などと協力し、新成人に対しマナーの遵守を呼びかけるとともに、会場内外の安全確保など成人のつどいの円滑な開催に努めてまいります。私からは以上です。
◎後藤 こども家庭部長 私からは、保育に関する二つのご質問にお答えいたします。
初めに、保育の需要分析と調布地区における整備についてのご質問です。区では、前年度の申請状況や地域別の出生数、妊娠時における保護者の就労状況などを踏まえ、待機児童の多い地区を重点的に整備計画を立てております。お話の調布地区の六つの特別出張所管内におきましては、今年度、計8施設を整備いたしましたが、唯一、田園調布管内での整備には至りませんでした。田園調布地区など住居専用地域におきましては、依然、用地確保が大変困難な状況にあります。引き続き、特別出張所の地域力推進会議などの場を借りて、地域の方々に保育所整備の必要性をご説明するとともに、地域の遊休地や空き家など、情報収集に努めてまいります。あわせて、都有地や区の施設活用につきましても、関係部局と連携し、検討してまいります。
次に、保育士の配置基準の特例についてのご質問ですが、議員お話しのとおり、待機児童の解消と受け皿拡大が一段落するまでの緊急的・時限的な対応として、国が保育士配置にかかわる特例を設けていることは承知しております。しかしながら、区では、従前より、安全で質の高い保育サービスを提供することを目的に、国基準を上回る配置基準を設け、保育士の加配をしております。そのため、保育の質の低下が懸念される特例制度の活用は予定しておりません。なお、待機児童解消に向けた保育施設の整備に当たっては、保育人材の確保が大きな課題であると認識しております。引き続き、保育士応援手当や宿舎借上げ補助金などの財政的支援を行うほか、保育士資格取得支援制度の充実や、潜在保育士をターゲットにした保育人材の掘り起こし策の検討を進め、私立保育園の保育士確保と定着支援に努めてまいります。私からは以上です。
◎畑元 環境清掃部長 私からは、環境上不良な状態の住宅についてのご質問にお答えさせていただきます。
こうした住宅については、人の健康を阻害するおそれや火災の予防上危険となるなど、環境上不良な状態を放置はできないと考えております。28年6月時点の8件については、1件が解消し、それ以降3件が加わり、現在、認知している住宅件数は10件です。不良な状態の改善には、財産権だけでなく様々な問題が複雑に絡み合っていることもあり、状況により多様なアプローチが必要となります。あるケースでは、地域福祉課や地域包括支援センターなどを主体としたチームでのアプローチにより、ご本人の身体的、精神的な状態に寄り添い、生活支援を行いながら信頼関係を築き、ご本人やご家族に働きかけを行いました。そのうえで、特別出張所を含め地域の協力を得て、整理や廃棄を行い、状況が少しずつ改善しております。
環境上不良な住宅については、代執行という方法はありますが、まずは、ご本人やその関係者が継続的に整理や片づけを行えるように、関係部局が連携して個々に寄り添い、原因となる課題を一つ一つ改善することが必要でございます。区といたしましては、ご本人やその関係者の生活基盤の維持や支援を複合的に行うことで、地域の環境美化に粘り強く取り組んでまいります。以上でございます。
○岡元 副議長 次に、45番犬伏秀一議員。
〔45番犬伏秀一議員登壇〕(拍手)
◆45番(犬伏秀一 議員) たちあがれ・維新・無印の会の犬伏秀一です。
私は、初当選以来、区市町村のような基礎自治体であっても、常に国家観を持ちながら行政運営を行うべきであると訴え続けてまいりました。国旗、国歌に対し敬意を払う、国の歴史に誇りを持つ、近隣諸国に対し卑屈にならないなど、本来、国家として当たり前のことが、戦後のGHQの政策と日教組教育、朝日新聞の偏向記事などによりゆがめられ、地方自治体まで及んでいることはまことに危惧すべきことであります。そして、国際化や多文化共生という言葉にごまかされ、本来、自国民のためにあるべき社会保障制度が外国人にまで広げられている実態があります。そこで今回は、外国人の国民健康保険、生活保護について本区の問題点をお伺いすることにいたしました。
在日外国人は、企業に雇用されている場合、その企業の健康保険組合もしくは全国健康保険協会のいわゆる協会けんぽに加入する必要があります。また、雇用されていないけれど3か月以上の在留資格がある場合は、居住地の国民健康保険に加入しなければなりません。特に、国民健康保険に外国人特有の問題が内在しているとの指摘は以前からございました。平成24年、外国人登録法が廃止されてからは、国民健康保険の加入要件が在留1年から3か月以上に緩和され、それがさらに顕在化してきたのであります。
本年2月1日現在、大田区には2万2903名の外国人が住民登録をしており、うち45%に当たる1万278名が大田区の国民健康保険に加入しています。
そこで伺います。平成28年度国保会計における収入未済額、不納欠損における外国人の割合、金額はいかほどでしょうか。
さらに、特別永住者以外の外国人被保険者が国保料未納のまま本国に帰国した場合にはどうされるのでしょうか。
次に、外国人被保険者の国保給付について伺います。国民健康保険には様々な給付がありますが、今回は虚偽申請が可能と思われる三つの給付につき実態を伺います。
被保険者が出産したとき、または妊娠85日以上で死産、流産をした場合、出産育児一時金42万円が支給されます。昨年度、710件の支給がありました。そのうち21%、154件が外国人被保険者でした。さらに、そのうちの55%が中国籍、18%がネパール国籍、12%がフィリピンと、一部の国に偏っていることがわかります。日本人の被保険者に占める出産育児一時金申請割合は0.3%、外国人は1.5%と乖離があるのも気になるところです。さらに気になることは、外国人被保険者が海外で出産した件数が35件もあることであります。日本人でも里帰り出産をしますから同じことでしょうが、果たして中国やネパールにおける出産が、本当に出産の事実があるのかすら疑ってしまいます。残念ながら、運転免許証や出産証明書なども有料で購入できるとも言われている国であります。厳正な審査が求められます。
外国人被保険者の海外における出産について、出産一時金の支給審査はどのように行われているのか、また、出産の事実を確認するために、生まれた子どもの住民登録は確認しているのかお伺いいたします。
次に、海外療養費について質問いたします。国保被保険者が海外渡航中に自費で診療を受けた場合には、帰国後、保険基準で計算した金額の7割、または所得により8割、9割が支給されます。昨年度は250件の海外療養費の支給があり、うち46%の116件、664万9197円が外国人被保険者、さらには外国人のうち68%の79件が中国国籍の被保険者に支給されています。この海外療養費の支給審査はいかなる書類で、どのように行っているのでしょうか。また、昨年度、外国人被保険者の高額医療費の請求は何件あり、いくらだったでしょうか。
本来、日本人や特別永住者を想定し、性善説に立つ国民皆保険制度は、制度的に急激な国際化に対応できないと感じています。いよいよ来年度から国民健康保険が東京都に移管されます。ますます確認がしにくくなるのではと危惧していますが、今後、外国人被保険者の不正請求防止にはどう取り組んでいくのかお示しください。
次に、外国人の生活保護について質問いたします。
厚生労働省の調査によれば、平成27年度の外国人の生活保護世帯数は4万4965世帯で年々増加傾向にありますし、年額1500億円もの生活保護費が外国人に支払われています。大田区でも446世帯、700人以上の外国人が生活保護費を支給されています。
平成26年7月18日、最高裁判所第二小法廷は「外国人は生活保護法の対象ではなく受給権もない」との判決を下しました。憲法第25条にも「すべての国民は」と書かれており、また、生活保護法第1条は「国が生活に困窮するすべての国民に対し」とあります。それなのに、なぜ外国人に生活保護費が支給されるのでしょうか。それは、昭和29年5月8日付けの「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」とする厚生省社会局長名の通知が根拠となっているのであります。そこには「生活保護法第1条により、外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて必要と認める保護を行う」とあります。憲法にも、法律にもない外国人への生活保護費支給が厚生省局長の「当分の間」という言葉で何と67年間も続いているのですから、我が国は恐るべき中央集権官僚国家と言わざるを得ません。
さて、そこで伺います。最終審である最高裁判所が外国人に受給権がないと判決したにもかかわらず、大田区の外国人に生活保護費を支給する法的根拠は何でありましょうか。また、特別永住者は別にして、外国籍の方々の生活の安定は我が国がすべきことではなく、母国政府が責任を持つべきであり、生活困窮外国人はどうぞ帰国していただいたらよいと考えますが、どうお考えになりますか。
全ての外国人がそうとは言いませんが、日本人と結婚して永住資格さえ取得してしまえば、日本人と別れて生活保護で暮らす外国人女性の実態を大田区内でも見聞きいたします。外国人の生活保護審査はどのようにしているのでありましょうか。
大田区の国籍別外国人保護世帯数を見ると、最多は韓国または北朝鮮の方でありますが、これは歴史的に特別永住者と思われます。次に多いのがフィリピン国籍で突出し、次いで中国籍となっています。国の調査によると、この2か国の世帯別特徴は、フィリピンが母子家庭主体、中国が家族世帯主体であることがわかります。これら外国人被保護世代の中には、日本に住民登録だけ残しておいて、生活保護費だけ搾取する事例もあると聞き及びます。外国人被保護世帯の居住実態調査はどのように行っているのでありましょうか。
社会保障費の急激な増加が国や地方自治体の財政を圧迫していることは、ご案内のとおりであります。本来、日本国民のためにある生活保護制度が外国人にまで広がり、国保の制度を悪用しているのではと疑われる外国人被保険者の実例は、我が国における外国人に対する社会保障をどうするのか、いま一度考えるべきとの警鐘でもあります。
67年前の厚生省局長通知を後生大切に使っているようでは、国際化の今日、適正な社会保障運営を行うことはできません。大田区においては、国際化だ、観光だと浮かれていることなく、粛々と常に国家観を内在しながら、基礎自治体のすべき事業を執行し、めり張りと持続可能な社会保障を行うことが求められています。大田区各級職員のさらなる努力をお願いして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○岡元 副議長 理事者の答弁を求めます。
◎木田 区民部長 私からは、外国人の国保について順次お答えをいたします。
まず、国保会計における収入未済額、不納欠損における外国人被保険者の割合、金額についてでございますが、国保特別会計の収入未済額、不納欠損額については、外国人を区別して管理をしておりませんので、外国人被保険者の割合と金額につきましては算出ができません。
次に、外国人被保険者の方が国保料を未納のまま出国した場合の取り扱いについてのご質問でございますが、外国人の被保険者の方が国外転出の届けを出す際には、国保料の精算を行いまして、保険料の納付をしていただいております。国外転出する被保険者の世帯主が日本に滞在する場合は、世帯主の方に精算後の保険料を支払っていただいております。国外転出により、外国人の被保険者の方の住民票が消除されれば、地方税法の規定に基づきまして、国保料の滞納処分については執行停止になってございます。
次に、外国人被保険者が海外出産した場合の出産育児一時金の申請とその内容確認についてのご質問でございますが、出産された被保険者が日本に帰国をした後、申請に基づき、出産育児一時金の支給を行います。申請の際には、被保険者証、パスポート、海外医療機関の出生証明書・原本、領収書・原本、母子手帳について、訳文をつけて提出をしていただいております。申請を受け付けする際には、出産された方の住民登録、出入国についてはパスポートで確認を行い、また、お子さんの住民登録の確認も行っております。ただし、お子さんが日本にいないことを理由に申請の拒否はしておりません。
次に、海外療養費の支給申請とその審査についてのご質問でございます。
海外療養費の支給申請の際には、被保険者証、パスポートのほか、医療機関の診療内容明細書・原本、領収書明細書・原本につきまして、やはり訳文をつけていただきまして、さらに海外療養費の調査についての同意書を一緒に提出をしていただいております。支給申請の審査は、東京都国保連合会に委託をして行っておりまして、国保連合会の審査の後、保険者である区が審査結果を確認いたしまして、受給の可否を判断しております。内容などに疑義があった場合は、調査会社へ依頼しまして、その調査結果に基づいて支給をしております。
平成28年度の外国人の被保険者の高額療養費の請求件数と金額についてでございますが、外国人の被保険者の高額療養費の請求件数は337件で、国保全体の0.36%、高額療養費の支給金額は約879万円で、国保全体約54億円でございますので、0.16%となってございます。
最後に、外国人被保険者の不正請求の対応についてのご質問ですが、国保の被保険者であれば、日本人・外国人の区別なく、審査のうえで支給を判断しております。来年度から国保制度は新しい仕組みになりますが、保険給付の決定は区で行っております。区は、平成29年度から、申請内容について疑義が生じた場合は、海外の医療機関を専門とする調査会社に依頼しまして、その調査結果を踏まえて支給の可否を判断をしております。不正請求を防止するには、支給申請の内容及び医療機関による証明書、領収書など関係書類に基づく事実確認を徹底する必要があると思いますが、審査の厳格化については、今後の状況の変化に応じまして費用対効果の観点から充分に検討してまいります。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、生活保護に関する四つの質問に順次お答えしてまいります。
外国人の生活保護の法的根拠に関するご質問でございますが、生活保護法では、その適用対象として日本国民を想定しており、日本国籍を有しない者に対しては原則として生活保護は適用できないとされております。
ただし在留資格を有するなど一定の要件を満たす外国人が保護を要する状態にある場合には、旧厚生省社会局長通知に基づき、生活保護法により保護に準じた取り扱いをすることとされております。
次に、外国籍の方々の生活の安定に関するご質問ですが、一定の在留資格を有する外国人が生活に困窮し、保護を要する状態にある場合には、生活保護法や国の関連通知等に基づき、生活保護法を準用し、保護を実施しております。
次に、生活保護の要件審査に関するご質問ですが、外国人に対する保護の準用に当たっては、保護決定に必要な各種調査を行うほか、在留資格等の確認をしております。生活保護の要件となる資産の保有状況や稼働能力の有無、扶養義務者の確認等、生活の困窮状況を把握するとともに、在留の資格などを把握しまして、保護の要件を満たしているかどうか、確認しております。
○岡元 副議長 福祉支援担当部長、答弁が残っておりますが、所定の時間が参りましたので、終了願います。
会議が長くなりましたので、しばらく休憩といたします。
午後0時休憩
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――――――――――――――――――
午後1時開議
○大森 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続けます。15番渡司 幸議員。
〔15番渡司 幸議員登壇〕(拍手)
◆15番(渡司幸 議員) 自由民主党大田区民連合、渡司 幸でございます。
子育て支援について伺います。
平成30年第1回定例会の開会に際し、松原区長のご挨拶の中におきまして、児童相談所の開設準備、子どもと保護者の自立を支援する取り組みなど、子育て支援に関して真っ先に触れていただき、子どもたちへの支援に関する区長の決意を感じさせていただいたところでございます。平成29年のおおた子どもの生活応援プラン策定の意義は大きく、他の自治体からも大きな注目を集めるところでございます。また、プラン策定の背景や内容について各地域や様々な団体が説明を求めれば、担当者が区内どこにでも足を運び、丁寧に説明をしていただき、区内でも徐々にその内容が浸透しつつあります。そのような中、地域の方から「子どもに関するワンストップの相談窓口が欲しい」などの意見が多く寄せられております。
国は、2020年をめどに妊娠期から子育て期にわたるまでの支援について、ワンストップ拠点となる子育て世代包括支援センターの全国展開を目指しております。厚生労働省調査で、既に実施している自治体の子育て世代包括支援センター事例集を見ますと、妊娠面接の実施や産後の訪問事業など、大田区でも既に実施をされている内容とほとんど変わらない自治体もあれば、大阪府堺市のように、年間で7000人前後の出生数がありながら、あえて母子手帳は保健師面接が可能な各区の保健センター8か所のみで交付をし、妊婦さんと行政とのファーストコンタクトを最大限に活用し、「あなたの担当保健師」などをお知らせする自治体など、設置形態や機能も様々でございます。
実施している自治体では、フィンランドのネウボラを手本として支援を組み立てている事例が多く見受けられますが、フィンランドではネウボラの効果として、子育てのしやすさを生み、結果として「出生率の向上と虐待死件数の減少」が挙げられております。それは所得制限もターゲッティングもしない徹底した全子育て世帯へのアプローチにより100%に近い高い実施率を誇る制度設計や、基本的には両親が3歳まで家庭で育てる風潮がいまだに根強いこと、男女の育児休業制度と復職制度が非常に成熟していること、男性の育児参加が進んでいることなどによるところも大きいと言われております。まだまだ育休制度も進んでおらず、男性の育児参加も今ひとつである日本の、しかも基礎自治体での子育て支援は、予算規模、人材確保などの課題もあり、その対象となる子育て世代のターゲッティングや事業目的の焦点化も必要になってくることも考えられます。
そこで伺います。厚生労働省の指針によれば、子育て世代包括支援センターは妊娠する前の不妊相談や妊娠に関する啓発から始まり、妊娠期・出産・産後ケア・子育て支援へと小学校入学前までの子どもと家庭への切れ目のない支援を行うことが目的とされており、乳幼児期の子育て支援体制の連続性とさらなる充実が期待できますが、大田区としては、子育て世代包括支援センター設置に向け、どのように準備を進めていかれるのかをお聞かせください。
また、嫌な言葉ではございますが、ワンオペ育児と言われるような、母親が1人で家事、育児をこなさなければならない状況は、現代社会においては決して望ましい状況ではありませんし、生後1年間の父親の育児参加は、その後の夫婦間の良好な関係に大きく影響するという研究もございます。もちろん父親の育児参加に関しては、育休取得のように、制度上の整備や企業体質の改善など多くの課題はありますが、基礎自治体として「生まれてくる赤ちゃんを歓迎し、多くのパパやママをつなげていく取り組み」は、少しでも進めていかなければならないと考えます。子育て中の母親にとって、父親や祖父母などの育児参加は大きな支えとなります。今後、父親や祖父母などの育児参加を推進し、母親を孤立させないためにはどのような方策が考えられますでしょうか。見解をお示しください。
ファミリーサポート事業のように、地域の中で親子を支えるシステムは、今後ますますの広がりを期待するところですし、ファミリーサポート協力者や見守る側の地域の方からの相談、情報に関してもわかりやすい窓口や相談しやすい体制が望まれております。先ほど例に出した大阪府堺市での平成27年度妊婦面接のデータでは、妊娠届出者7150人、そのうち支援が必要な人は1429人で全体の約20%、支援が必要な人の内訳として、重複回答ではありますが、「経済的なことが心配」31.6%、「精神的なことが心配」21.8%、「援助者がいない」18.7%、「望まない妊娠」7.7%などの報告がなされています。子どもの貧困に関する研究でも、0歳から5歳までの子どもに対しての支援が有効であるとされていますし、今後の子育て世代の支援に対して子育て世代包括支援センターが大きな支えとして機能してくれることを期待をしております。そして、既存の子ども家庭支援センター「キッズな」や発達支援センターわかばの家、幼児教育センター、地域健康課、子育て支援課、福祉部局、そして今回、新たに開設されようとしている子ども生活応援臨時窓口などの機能とどのように協働していくことが効果的か議論を深めていただきたいと考えます。
また、ある意味で、子育て世代包括支援センターの考え方では、乳幼児期と義務教育開始後との間に支援の連続性が示されておりません。子育て世代の支援を学齢期につなげていくためには、福祉部門、また、特に教育部門との連携が重要になってくることは言うまでもありません。フィンランドでは、ネウボラおばさん、ネウボラおじさんと呼ばれる同じ担当者が同じ親子に継続してかかわることによって、連続した支援が可能となっております。大田区で支援の継続性を担保するためには、システム全体が「ネウボラさん」として機能しなければならないのではないかと考えます。課題は多いかと思いますが、児童相談所開設準備、子どもの生活応援プランの推進など、様々な観点からも重要な取り組みでありますので、しっかり調査研究をし、計画を立てていただきますようお願いを申し上げます。
次に、不登校施策について伺います。
本定例会における教育長所信表明におきましても、平成30年度の主な教育施策として「こころのケアと不登校対策の充実」を挙げておられました。大田区の中学校の不登校の出現率は3.5%と、全国平均2.8%と比較しても高い傾向が続いております。平成28年度、29年度で都のモデル事業を活用し、中学校7校、29年度からはさらに小学校6校をモデル校として加え、様々な取り組みを行っていただきました。モデル校となった学校でも、コーディネーターに選任された先生の負担軽減や保健室登校への支援、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用や学校内外との連携が進んだという声が聞かれます。また、実績のある臨床心理士や大学教授などを学校に招いて、全校的な研修が実施でき、先生方の不登校対応へのスキルが高まったなどの肯定的な意見を多く伺いました。
しかしながら、一方で、思春期の子どもたちならではの配慮として、現在、各校に都費と区費で2名配置されているスクールカウンセラーの男女比のバランスや資質的な課題を感じている学校もありますし、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用や不登校対応に学校間格差があるなどの声も聞かれます。そのような中、東京都のモデル事業が29年度で終了し、今後、様々な検証も含め、大田区としてどのように不登校施策を進めていかれるのかをお聞かせください。
また、不登校の段階的対策として、登校渋りなど不安定で混乱した段階を初期、不登校が継続する段階を中期、復帰を模索し始める時期を後期などとした段階に応じた対策をする場合の初期、中期、後期の見極めや判断、そして支援の組み立ては担任や学校のみに任せるのではなく、教育委員会として一定の判断基準など整備されておりますでしょうか、お聞かせください。
そして、予防的な対策として、平成30年度からは全中学校において学級集団調査が導入される予定のようですが、既存のメンタルヘルスチェック、年2回に加え、学級集団調査はどのような目的で、どのような時期に行われるのでしょうか。その結果を区はどのように活かしていくのか、お聞かせください。
現在、区の不登校施策の中心的な役割を担っている区内4か所のつばさ適応指導教室や区内2か所の相談学級につながっている子どもたちは対象児童・生徒の約30%と伺っており、それらの子どもたちに関しては、専門職や複数の大人がかかわり、その子に適した学びの場を確保していただいていると思いますが、そのほかの子どもたちに関しても、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーにつなげていただくことなどを含め、学校が中心となって対応していただいているかと思います。
小学校に比べ、中学校の不登校出現率が高いことで中学校が注目されがちですが、小学校の時期に何らかの不安を感じている子どもたちも多く、人間関係や勉強が急に難しくなることで、中学校での不登校という現象としてあらわれることも多いと言われています。子どもたちの学習支援を行っている方が、1人の子どもが学校に登校するまでには、実に様々なハードルがあると話しておられます。@宿題が終わっている、A教材や連絡帳、提出物など持ち物を準備してある、B間に合う時間に起きる、C朝ご飯を食べる、D着替えをする、そして、ここが一番大変なところかと思いますが、E下の子の面倒や家族の心配事、友人関係の悩みなど余計な困り事がないなどの条件をクリアして初めて子どもは登校できると言います。真面目な子ほど、きちんと条件がクリアできなければ登校できなくなりますし、それらの登校準備から支援する必要があると動いている団体もあります。
そういった意味からも、新しく導入していただける登校支援員の活動なども、迎えに行くなどの登校刺激が、悪気がなくてもかえって子どもの心を傷つけるケースも少なくないという専門家の意見もあり、それぞれの子どもの状況をよく把握していただき、慎重に対応していただきたいと考えます。そして、適応指導教室つばさ、相談学級、教育センターと学校が、今まで以上に何倍も連携をとっていただくよう、よろしくお願いを申し上げます。
文部科学省が平成28年9月に出した「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知の基本的考え方の中で、不登校児童生徒の支援は、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があること、そして、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある、その一方で、学業の遅れや進路選択上、社会的自立へのリスクが存在することに留意をしなければならないと述べられております。また、児童生徒がそれぞれの可能性を伸ばせるよう、本人の希望を尊重したうえで、場合によっては、教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、夜間中学での受け入れなど、様々な関係組織等を活用し社会的自立への支援を行い、その際、フリースクールなどの民間施設やNPOなどと積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きいと述べられております。
東京都内に8校しかない夜間中学校の1校が大田区にあります。今年の4月には、フリースクールとして長く実績のある東京シューレが、大田区六郷に東京シューレ大田を開設することも決まっています。既に東京シューレ大田では、親の会も立ち上げていただいております。保護者の方々のワークショップや支え合いは、区としてなかなかケアできない部分でもあり、豊富なノウハウを持っている民間機関との情報の提供や連携を進めていただくことが、結果としては大田区の子どもたちのためになるのではないかというふうに考えております。
続きまして、インクルーシブ教育について伺います。
特別支援サポートルームが大田区立小学校全校に設置されて間もなく2年が経過しようとしております。平成26年、27年度に東京都教委が実施した実態調査では、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる幼児・児童・生徒の在籍率は、幼稚園・保育所等で5.1%、小学校6.1%、中学校5.0%、高等学校2.2%との結果が報告されました。それは、大田区の標準的な学級規模で平均しますと、小学校で1クラスに1人または2人、中学校で1クラス2人から3人の子どもたちが特別な支援を必要としているということになります。そして、それら特別な支援を必要としている子どもたちのうち、小学生では約半数、中学生では約4分の1の子どもたちが通級指導学級相当の指導が必要であるというふうに推測をされています。
大田区においては、小学生1800人、中学生560人程度が特別な支援を必要としている可能性があり、そのうち、小学校で900人、中学校で160人ほどが通級指導学級程度の支援が必要である計算になります。現在、大田区立小学校の特別支援サポートルームで支援を受けている子どもたちは約870名であり、調査結果から推測される区内ニーズ予想900人とほぼ近い人数となっております。小学校でサポートルームが開設される以前、通級学級で対応していた子どもたちが189人であったことと比較すると、数的にはニーズに近づいてきております。約900人の子どもたちが、通級ではなく在籍校で指導を受けることができるということは、個々の子どもたちの学びにくさや、得意・不得意を発見していくうえでとても大切なことであると考えます。同時にほぼ同数の小学生900人の子どもたちは特別な支援が必要ではあるが、サポートルームなど個別指導が必ずしも必要とは言えず、担任の先生や学級内での工夫や配慮の中で学校生活を送っているため、多くの先生方の特別支援への理解や個別対応のスキルアップが望まれるところです。サポートルームや巡回指導員の役割は、今後ますます重要になってくることが予想されます。
また、中学校においても、発達障害と考えられる5%、計算上は約560名の子どもたちが通常学級に在籍しているという現状があり、そのうち、約160名ほどは通級指導学級程度の支援が必要であるということがデータから予測することができます。そこで、現在、東京都では、中学校においてもサポートルームの設置が検討されており、大田区におけるそれに対する準備や内容、スケジュールが気になるところでございます。思春期でもあり、中学校のサポートルーム設置は小学校とはまた少し違った配慮も必要であると思います。今後の大田区における区立中学校でのサポートルームの設置に関してのお考えをお示しください。
サポートルームを利用する子どもたちの中にも、様々な学びにくさの傾向があると思いますが、それらの傾向や数的推移、個別ニーズなどを調査研究し、今後の人的な配置や特別支援教育の布石となるよう、データやノウハウを蓄積していただき、個々の子どもたちの学びにくさに配慮したよりよい特別支援教育を進めていただきたいと期待をしております。そして、子どもたちがその学びにくさ、個性によって、偏見や生きにくさを感じることがないよう、生徒、児童、教職員、保護者、地域の中においても、特別支援に関する理解促進、啓蒙活動を同時並行的に行っていただけますようお願いを申し上げます。
以上、子育て支援、不登校施策、特別支援教育について質問をさせていただきましたが、最後に、教育センターの役割について伺いたいと思います。
東京都教育委員会は、今後、各小中学校へのサポートルームの全校展開とともに、既存の特別支援学校がセンター的機能を担っていくことで支援体制の充実を図ることを推進していこうとしております。特別支援学校がセンター的な機能を持った場合の教育センターとのすみ分けや、期待する役割についてもさらに検討していく必要があると考えますし、不登校対応、就学相談や特別支援教育、学校図書や教員研修など、そのほかにも多岐にわたる分野をカバーしている現状が人員配置、規模、業務内容、予算などの実態とマッチしているのかどうかもいま一度精査していただくなど、教育センターは、それら施策の中心的な役割を力強く担っていっていただきたいと思います。
特に、最近では専門的知識が必要な人材や業務をより現場に近いところで活用していく方向性が感じられる中、それら専門的な見識を取りまとめ、大局的に現状を分析し、国や都の施策とすり合わせ、研究していく部署の必要性を強く感じております。平成25年度、東京都教委が実施した教員の意識調査によりますと、小学校で54.9%、中学校で60.2%の教員が「発達障害に関する知識はあるが具体的にどう対処すればいいかわからない」、または「発達障害に関する知識がなく対処できていない」と回答しており、通常の学級における発達障害の児童・生徒に関する正しい理解に基づく指導、支援の充実が急務となっているということが課題として示されています。
ぜひ教育センターは、大学や各研究機関、医療、福祉との連携も視野に、研究機関としての役割をしっかりと担っていただきたいと期待しておりますが、いかがでしょうか。
一昨年、区政施策訪問調査で訪れたイギリスでは、勉強ができ過ぎる子、また発達障害の子、医療的なケアが必要な子、貧困やネグレクト、多言語対応に関してまでも、全ての学びにくさを特別なニーズとして捉え、インクルーシブ教育の理念の中で議論をされていました。そういった包括的な視点を持つことは、区政運営のうえでとても重要であると思います。ともすると区政においても、「不登校・特別支援教育・子どもの貧困」とマスコミで取り上げられる現象に狭い視野で焦点を当てて論じられる風潮のある中、より包括的で継続的な視点を持つことを忘れないようにしたいと思います。
新しい教育委員会制度において、教育長と教育委員長の一本化に関して「責任の所在を明確にする」ということが挙げられています。それは何か問題が起きたときに誰が責任をとるのかはっきりするのだという犯人探し的な読み取り方ではなく、教育に関することはものすごく大切なことだから、教育長が責任を持って本気で取り組んでいくのだという決意、覚悟の表明であると受け止めております。また、大田区総合教育会議に関しましても、教育委員会の独立性の担保云々との声があることも存じておりますが、人生100年時代と言われる今、生涯発達、生涯教育の観点からも、大田区の教育に関して、特に大田区の子どもたちの未来に関して他部局との連携を推進していただくためにも、区長と教育長のリーダーシップとパートナーシップにより、大田区の教育を力強く推進していただけますことをお願いして、私からの質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎渡邉 保健所長 私からは、子育て支援に関する二つの質問にお答えいたします。
まず、子育て世代包括支援センターについてですが、核家族化や地域のつながりの希薄化を背景に、子育ての負担が母親に集中すると、孤立化を招き、時に産後うつや児童虐待を引き起こすなど、深刻化するおそれがあります。妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のために、保健師等の専門職を配置し、庁内関係組織はもちろん関係機関と連携を密にして、母子保健サービスと子育て支援サービスを一体的に提供する「子育て世代包括支援センター」の果たす役割は重要と認識しております。
現在、保健所とこども家庭部が相互の連携を密にして、それぞれの担任業務を実施していることで既に子育て世代包括支援センターの役割を実質的に果たしているものと考えております。しかしながら、関係する組織の機能強化と情報の共有化による漏れのない連携の仕組みづくりが大きな課題と認識しております。あわせて、区民へのわかりやすい窓口の表示や周知などの課題もございます。昨年8月に厚生労働省が示した「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」を参考にしつつ、そうした課題について、引き続きこども家庭部と連携して検討を進めてまいります。
次に、父親や祖父母の育児参加についてですが、母親に育児の負担が過度にかかり過ぎることにより、産後うつや育児不安に陥りやすいとの問題も指摘されていることから、母親以外の育児の担い手として、父親などの家族をはじめとした地域の様々な方による子育て支援を推進することが非常に重要と考えております。現在、妊娠届を提出した妊婦さんに対して、母子健康手帳にあわせて父子健康手帳もお渡しし、パートナーに育児はじめ家事や料理などを自発的に分担するよう働きかけをしております。また、妊婦とそのパートナーを対象に、妊娠期を健やかに過ごし、出産育児を学び合い、子育ての仲間づくりを支援する目的で、各地域健康課が両親学級を平日には3日制と1日制、土曜日には1日制で実施しております。パートナーはもとより、祖父母になる方も参加可能とご案内しております。また、児童館では、父親を対象とした子育て支援の講座を実施したり、土曜日を中心に、父親と子どもが遊びを楽しむイベントを企画したりなど、父親の参加を促しているほか、子ども家庭支援センターでは、親支援プログラムをグループワークの中で実施し、父親も含めた親の子育て力の向上を支援しております。あわせて、父親や祖父母など幅広い世代の育児参加を進める関係団体が行っている事業の情報提供も行っております。
引き続き、庁内関係部署や関係団体と連携し、父親や祖父母を含めた地域の多様な担い手による育児参加を促すとともに、育児の楽しさを家庭や地域で分かち合うことができるよう、ワークライフバランスの推進も視野に入れ、母子保健や子育て支援施策の充実を図ってまいります。以上です。
◎水井 教育総務部長 私からは、不登校対策とインクルーシブ教育等についてのご質問にお答えいたします。
まず、不登校対策事業の今後の展開についてのご質問ですが、不登校は、社会から孤立しがちになるとともに、生活の乱れや学力の習得の機会を失うほか、将来の進路選択が困難になるなど、その子どもにとって深刻な影響を及ぼします。大田区教育委員会では、正規教員がコーディネーターとして学校全体の不登校対策に取り組む時間や養護教諭が保健室登校の児童・生徒に向き合う時間を確保できるよう、代替の非常勤講師や養護教諭の事務補助を配置するほか、医師等の専門家が学校の対応に助言を行うことを骨子とする東京都の不登校対策モデル事業にいち早く取り組んでまいりました。小学校6校、中学校7校のモデル校のうち、平成28年度に不登校生徒数の減少が顕著であった中学校の上位5校中4校をモデル校が占めるという大きな成果がございました。東京都のモデル事業は今年度末をもって終了することから、来年度は区独自の事業として、さらに中学校7校を加え拡大して実施してまいります。また、登校をためらう児童・生徒の家庭に迎えに行ったり、登校後の別室で対応したりする登校支援員制度も創設し、子どもの心に寄り添いながら、不登校対策の一層の推進を図ってまいります。
次に、不登校の段階別対策におけるアセスメントについてのご質問ですが、予防対策の段階においては、学級担任が日々の児童・生徒の観察やメンタルヘルスチェック及び学級集団調査を活用し、気がかりな児童・生徒の発見とその生徒への声かけや面談などの早期対応を行い、予防に努めてまいります。なお、子どもの状態の着眼点などにつきましては、教員研修を通じてその資質の向上を図ってまいります。
登校をためらう「初期」、不登校が継続する「中期」、復帰を模索し始める「後期」の児童・生徒については、学校に設置する不登校対策委員会でアセスメントを行います。委員会のメンバーは、校長、副校長、生活指導主任、学年主任、学級担任、養護教諭及びスクールカウンセラー等でございます。また、専門的な助言が必要な場合には、スクールソーシャルワーカーや新設する不登校対策の専門家である登校支援アドバイザー、教育センターなどの関係機関の職員も委員会のメンバーに加え、不登校のそれぞれの段階において、専門家の力を活用しながら、状況に応じた適切な支援を行えるよう万全の体制を整えてまいります。
次に、学級集団調査についてのご質問ですが、学級集団調査は、学校生活における生徒個々の意欲や充実感及び所属する学級への満足感を質問紙によって測定するものでございます。メンタルヘルスチェックは、ストレス症状や原因、周囲に相談する人がいるか等の対象者個人の分析を行うのに対し、学級集団調査は、学級集団の中での他の生徒との比較により、個々の生徒がどのような状態にあるか、集団全体としてどのような傾向があるかを調べることを目的としています。実施の時期は、6月と11月の2回を予定しております。メンタルヘルスチェックとあわせて学級集団調査を行うことで、生徒のこころの状態と学級集団の状況の的確な把握を行い、指導に活かしてまいります。
次に、中学校特別支援教室、サポートルームの整備についてのご質問にお答えします。
大田区では、「東京都発達障害教育推進計画」に基づき、平成33年度までに中学校全校にサポートルームを設置する予定です。設置に当たっては、まずモデル事業を行い、課題を整理したうえで全校に拡大する計画でございます。平成30年度は、会議体を設置して開設に向けた検討を行うほか、モデル校の選定や教室、備品等の環境整備を行います。平成31年度は、拠点校1校、巡回校4校程度で構成する1グループでモデル事業を実施します。拠点校は、現在、情緒障害等通級指導学級を設置している学校の中から選定いたします。平成32年度は、モデル事業の検証を行うとともに、モデル校を拡大する予定です。
モデル事業の実施に当たっては、小学校時代のサポートルームにおける指導状況や、その子どもの様子を確実に中学校に引き継いでいく仕組みづくりのほか、中学校は小学校と違い、教科ごとに担当教員がかわる、いわゆる教科担任制であることから、教科担任同士の円滑な情報共有、連携のあり方等の検討が必要でございます。また、中学生は身体的、精神的に成長が著しい時期でもあることから、生徒一人ひとりを取り巻く状況を丁寧に把握し、学習面、生活面双方において効果的な指導を行っていく方法についても検討いたします。中学校におけるサポートルームの整備を着実に行って、さらなる特別支援教育の充実を推進してまいります。
最後に、教育センターは研究機関の役割を担うべきとのご質問ですが、大田区立教育センター設置条例第2条により、教育センターが行う事業として、教育相談のほかに、教科書及び教育に関する資料の収集や教育に関する調査、研究及び普及に関することなどを行うものとしております。最近では、小学校サポートルームの開設による就学相談の増加等により、相談業務が拡大しておりますが、平成30年度予算案における不登校対策の取りまとめにおいて、不登校の段階に応じた施策検討を行うなどの役割も果たしているところでございます。
教育センターは、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー及び教育相談員等の専門員を抱え、相談や訪問を通じて児童・生徒の情報が集まるほか、関係機関との結びつきも深いものがございます。今後も、特別支援教育や子どもの心の問題については、教育センターを中心として調査研究を進め、大田の教育の充実に活かしてまいりたいと考えております。
○大森 議長 次に、16番高山雄一議員。
〔16番高山雄一議員登壇〕(拍手)
◆16番(高山雄一 議員) 自由民主党大田区民連合の高山雄一です。
現在は平昌で冬季オリンピックが開催されており、連日熱戦が繰り広げられています。日本の選手団も好調で、獲得メダル数は、現在のところ、三つの金メダルを含め合計11個となり、1998年長野大会の10個を超えて冬季オリンピック最多となっています。平昌でのオリンピック・パラリンピックが終了すると、次はいよいよ東京2020大会となります。何かとスポーツが話題のこの時期ですので、まずはスポーツに関するそれぞれの年代における課題について質問させていただきます。
初めに、小学校での取り組みについて質問いたします。
成長過程にある子どもたちにとって、スポーツは「健康な体をつくる」、「豊かな心を育む」など様々な効果があります。運動好きの子どもたちを増やしていくためには、学校での体育の授業を充実させることが重要だと考えます。小学校の体育の授業は中学校と違い、必ずしも体育専門の教師が教えるわけではありません。一方で、小学校低学年から運動に親しむことはとても重要であります。そのため、区では小学校低学年の体育の授業の改善・充実を図るために、平成27年度から体力向上モデル校に体育指導補助員を配置いたしました。平成27年度には小学校9校、28年度は20校、29年度は40校と規模を拡大しました。1校につき週4時間、年間35週で合計140時間配置するというものであります。
平成28年度体力調査実施報告書によると、体育指導補助員の成果について、児童とともに運動することができる若い体育指導補助員のため、児童は体育指導補助員に親近感を持ち、楽しみながら意欲的に運動に取り組むことができた。担任と学級を二つに分けて指導することができたので、少人数グループで個人差に対応した指導ができたなどの記載がありました。そして、体育指導補助員が児童とともに休み時間に外遊びして過ごすことができるときは多くの1・2年生が集まり、積極的に運動に取り組む児童が多かったとの報告もありました。
このように多くの成果が上がっている体育指導補助員制度なので、来年度以降もさらに規模を拡大し、また、1校当たり140時間という時間も増やすべきだと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお示しください。
そして、この体育指導補助員には、体育の授業だけでなく、外遊びの楽しさを子どもたちに伝えるために、先ほどの例のように、休み時間には子どもたちと一緒に外で遊んで欲しいと考えますが、いかがでしょうか。
多数の体育指導補助員を確保するにはご苦労もあるかと思いますが、運動好きの子どもたちを増やすためにも取り組んでいただきたいと思います。
中学校でのスポーツと言えば、すぐに部活動が思い浮かぶと思います。次は、中学校運動部の部活動について質問いたします。
まずは、昨年の第2回定例会でも質問いたしましたが、部活動指導員制度について改めてお伺いします。中学生になると、多くの生徒が部活動に参加します。文部科学省の調査によると、東京都の中学生の部活動参加率は85.7%、運動部参加率は59.2%で、約6割の生徒が運動部に所属しています。一方で、区立小中学校教員の過酷とも言える勤務実態については、マスコミにもしばしば取り上げられて話題になっています。特に中学校の教員の場合は、平日に加え、土日も部活動の指導があるため、さらに負担が大きくなっています。また、日本体育協会が行った学校運動部活動指導者の実態に関する調査によると、専門的な指導が求められる運動部のうち、中学校では約46%が担当している部活動の競技の経験がない者が顧問となっています。
区では、これまでも教員の負担軽減、そして専門的指導の観点から、部活動校外指導員として部活指導を外部の指導者に委託してきました。平成28年度には、200名以上が部活動校外指導員として活動してくれています。しかし、活動時や引率時の事故等が発生した場合の責任を問うことができないことなどから、部活動校外指導員だけでは指導や大会などへの生徒の引率ができず、部活動顧問である教員が同行する必要がありましたが、平成29年4月から部活動の技術指導や大会等への引率を職務とする部活動指導員が制度化されました。規則や任用・研修制度などについては、今後の都の動向を注視しながら諸条件を整備することになるかと思いますが、先日の教育長の所信表明にもあったように、来年度から本区でも導入予定であることは高く評価いたします。まずは10校に導入予定とのことですが、区内28の中学校では450以上の部活動があります。もちろん部活動指導に意欲的な教員も大勢いるので、全てを外部指導員に任せるべきとは思いませんが、教員の負担軽減、専門的指導の観点からも、少しずつでも規模を拡大していくべきだと考えます。区の今後の方針をお聞かせください。
次に、中学校部活動における適正な休養日等の設定についてお伺いします。心身の成長の過程にある中学生が運動部活動においてスポーツに親しむことは、体力を向上させるとともに、豊かな人間性を育む基礎となります。継続的にスポーツを行ううえで勝利を目指すこと、今以上の技術の水準や記録に挑戦することは自然なことであり、運動部活動の意義の実現ということを考えれば、少ない活動日数、活動時間が望ましいとも言えないものの、スポーツ障害やバーンアウトの予防の観点、生徒のバランスのとれた生活と成長の確保の観点などを踏まえると、行き過ぎた活動は望ましいとは言えません。平成28年にスポーツ庁が国公私立中学校を対象に行った調査では、平日は毎日活動していると答えた部活動は半数以上の52%、土日も含めて休養日が週に1日もないと答えた部活動は全体の22%もあったということです。これまでの運動部活動では、活動日数が多ければ多いほど、活動時間が長ければ長いほど、積極的に部活動が行われているとの考えも一部に見られましたが、適切な休養日等が確保されることは必要なことであると考えます。
平成29年1月に、スポーツ庁より「平成28年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について」の通知があり、そこには平成9年の調査研究報告にあるように、中学校の部活動では学期中は週当たり2日以上の休養日を設定する。長期休業中はある程度長期のまとまった休養日を設け、生徒に十分な休養を与える。長くても平日は二、三時間程度以内、土日も三、四時間程度以内で練習を終えることをめどとする、長期休業中についてもこれに準じるなどの運動部における休養日等の設定例を参考にするよう記載されています。20年も前から部活動の休養日、1日の活動時間の設定について問題視されていたことがわかります。
また、本区の教育委員会でも、昨年3月に各中学校宛てに「適切な部活動の休養日等の設定について」として、調査報告書にある休養日等の設定例を参考にするよう依頼文を出してはおりますが、他校の活動状況との比較などから、各学校、各顧問の判断だけではなかなか休養日を設定しにくい現実もあることから、残念ながら、現在のところ、あまり守られていないのが現状のようであります。
実際に私も、お子さんが中学校で運動部に所属している方から、長期休業中の練習量が多過ぎて何とかならないのかと相談を受けたこともありますし、区立中学校PTA連合協議会でも、そのことが課題として取り上げられています。顧問の先生からすれば、生徒たちのことを思っての長い練習なのかもしれませんが、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、顧問である教員、生徒ともに、様々な無理や弊害を生むという結果につながってしまいます。大会などで勝つこと、今以上の水準の記録に挑戦することのみを重視し、過度な練習を強いることのないようにすること、健全な心と体を培い、豊かな人間性を育むためのバランスのとれた指導が求められると考えます。また今後、部活動指導員として採用された方々が、大会でいい成績をとるなどの実績を残そうと長い活動時間となってしまう危険性も考えられることからも、休養日等の基準を設定して指導していくことが必要であると考えます。
手前みそではありますが、都立小山台高校は、4年前の平成26年3月に開催された選抜高校野球大会、いわゆる春の甲子園大会に、21世紀枠ではありますが、都立高校として初めて出場しました。私と我が会派、伊藤議員の母校であります。小山台高校には定時制もあるため、昼間の生徒たちは、毎日午後5時には完全下校しなければなりません。平日は通常、授業は3時に終わるので、急いで準備しても練習時間は3時15分から4時45分くらいまでの約1時間半しかありません。さらに狭い校庭をサッカーやラグビーなどと譲り合って使用します。その限られた条件の中で、工夫しながら効率よく練習して強豪私立を打ち破って甲子園に出場することができました。毎日の練習は時間ではない、中身が重要であることのいい例ではないでしょうか。
現在、スポーツ庁では作成検討会議を重ねており、本年3月末をめどに改めて「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定することとしています。現在の案では、平日と土日で少なくとも1日ずつ、計週2日以上の休養日に加え、長期の休養期間(オフシーズン)も設けることとする。活動時間の目安は、平日は長くても2時間程度、夏休みなどの長期休暇中も含めて土日は3時間程度とし、目安を超えて活動した場合のペナルティーの有無についても検討中とのことであります。それを受ける形で、東京都教育委員会でも指針を示していくとのことであります。
大田区教育委員会としても、区内中学校の部活動が生徒に十分な休養を与え、豊かな人間性を育むためのバランスのとれた活動となるよう徹底していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。中学生が部活動をきっかけにして、将来にわたって長くスポーツとかかわってくれることを期待しています。
次に、社会人になってからのスポーツとのかかわりについて質問いたします。
学生時代に部活動などで毎日のようにスポーツに取り組んでいても、社会人になると、急にスポーツから遠ざかってしまう人が多いのではないかと思います。それから何年か経ち、体にキレがなくなってきたことを実感し、また体重や体型を気にするようになって初めて体を動かすことの重要性を再認識することになりますが、一度運動することから遠ざかってしまうと、なかなかきっかけがつかめないのではないでしょうか。平成29年の「大田区政に関する世論調査」によると、週1回以上スポーツ活動をしている区民の割合は41.1%となっています。おおた未来プラン10年では、このスポーツ実施率を平成30年度までに65%にすることを目標としています。プラン策定時の平成20年度は36.6%であったことを考えると、その後の施策の効果によって若干増加しているとは言えますが、目標値との乖離は依然として大きい状況となっています。
このスポーツ実施率を向上させるためには、身近な場所で手軽にできる軽スポーツの場やウォーキング、ジョギングコースなどの環境整備にも取り組むべきだと考えます。社会人となって何年も運動していない人にいきなりスポーツと言っても少しハードルが高いかもしれませんが、軽く体を動かすことを習慣づけることであれば、始めやすいのではないでしょうか。そういった20代から40代の若い世代が運動を習慣づけることで、スポーツ実施率の向上につながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお示しください。
続きまして、高齢者とスポーツとのかかわりについて質問いたします。
年々高齢化が進展する中で、区民の健康寿命を延伸し、医療や介護費用を抑制することは大田区においても重要な課題となっています。近年、糖尿病などの生活習慣病患者は増加の一途をたどっており、社会や企業活動への影響が懸念されるとともに、増え続ける医療費の抑制が大きな社会問題となっています。平成29年3月に文部科学省で策定された第2期スポーツ基本計画では、新潟県見附市における健康情報管理システムを活用したプログラムの実証実験などを踏まえ、「運動プログラム開始3年後のスポーツ実施者と非実施者の年間医療費を比較したところ、年間で1人当たり10万円の抑制効果がある」との研究結果を引用し、スポーツを通じた健康増進の必要性を掲げています。生活習慣病予防やフレイル対策など、区民の健康づくりにおいては適切なスポーツ実施がとても重要だということであります。このように、定期的なスポーツ実施と健康には密接な因果関係があることからも、継続的なスポーツ参加者を増やすことが重要だと考えますが、区の考えをお答えください。
連日熱戦が繰り広げられている平昌でのオリンピック・パラリンピックが終わると、次はいよいよ東京2020大会ということになります。区では、東京2020大会を契機に、おもてなしボランティアを募集し、ブラジルの事前キャンプのサポートや、空港、主要駅での観光案内などで活動してもらうことを計画していると聞いています。区内には、現在も観光案内を行っているボランティアや国際交流イベントなどで活躍しているボランティアがおり、このような既存のボランティアとも連携していくことが必要だと考えます。今回ボランティアに参加される方々には、大会時だけでなく、大会後もボランティアとして活躍してもらえるような仕組みづくりが必要だと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
次に、公園の整備について質問いたします。
大田区には550か所を超える公園があり、その中には大森ふるさとの浜辺公園や洗足池公園、本門寺公園などのように大規模な公園もあれば、小さな公園も多数あります。小さな公園の中には、あまり利用者が多くいるようには見えない公園も見受けられます。これからは、目的に応じて様々なタイプの公園に整備していく必要があると考えますが、区では、各公園の利用者や、どのような人たちが利用しているかなどを把握しているのでしょうか。
少子高齢化の進展や区民のライフスタイルが少しずつ変化してきていることに伴い、身近な公園の使われ方が変化してきていると感じています。このような状況で、区は公園に対してどのような課題があると認識しているのか、お答えください。
そして、これからは区民のライフステージに合わせた公園づくりが求められていると考えています。例えば保育園の代替園庭として多く使用されている公園には幼児用の遊具を配置する、あるいは利用者の少ない小規模な公園には健康遊具を積極的に設置してみるなどとしてみてはいかがでしょうか。既に区内には健康遊具を設置してある公園も多数あります。一つの公園にいくつもの健康遊具が置いてある公園もありますが、一定の地域内にいくつかの種類の違う健康遊具を設置してみてはいかがでしょうか。そして看板を立て、別の健康遊具のある公園と、そこまでの距離や歩いた場合の消費カロリーなどを掲示します。例えば3か所なら三つの公園を回って健康遊具を利用したら何メートル歩いたことになります、消費カロリーは何キロカロリーですなどとすれば、健康遊具のある地域の公園めぐりで、楽しみながら一定の運動量を確保することができるのではないでしょうか。また、ジョギングする人の多い大規模な公園などには、河川敷道路にあるように、100メートルや200メートル間隔で距離を書けば、ランナーにとって走った距離がわかるので喜ばれるのではないでしょうか。これらは一例ですが、利用者の少ない公園の再整備、区民にとって喜ばれるような公園整備をさらに推進していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をお示しください。
以上で質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎町田 スポーツ・文化担当部長 私からは、スポーツに関する三つのご質問にお答えをいたします。
まず、スポーツ実施率の向上のためには20歳代から40歳代の若い世代のスポーツ実施率を高めるべきとのご質問でございますが、平成28年度にスポーツ庁が実施した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によりますと、議員お話しのとおり、20歳代から40歳代のスポーツ実施率は他の世代に比べて低いとの結果が出ております。本区におきましても、「大田区政に関する世論調査」において同様の傾向が見られます。若い世代のスポーツ活動を阻害する要因を考えますと、昨年度実施いたしました「大田区民のスポーツニーズ調査」から、仕事や子育てなどに多くの時間を要するとして「時間の不足」を理由に挙げている割合が多くなっております。そこで、区といたしましては、スポーツに振り向ける時間をいかに確保するかが重要と考え、これまでスポーツに充てていなかった早朝の時間帯を有効に活用する取り組みや、子どもの昼寝の時間中、昼休みのすき間時間など、短時間でも効果のある運動を紹介するなど、仕事や子育ての合間に気軽にできる運動などを積極的に情報発信し、若い世代の方々が限られた時間の中でも継続して体を動かすことのできる習慣づくりを関係部局などとの連携のもと、進めてまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、スポーツへの興味・関心が徐々に高まる中、これまで実施してまいりましたイベントなどのさらなる充実とともに、こうした若い世代に向けた運動の習慣づけの取り組みを実施することがスポーツ実施率の向上につながるものと考えております。
次に、継続的なスポーツ参加者を増やすことに関するご質問ですが、議員お話しのとおり、スポーツを継続して実施することが健康増進には重要であると認識しております。区では、スポーツ健康フェスタやOTAウォーキング、区民スポーツまつりなどの区民参加型のイベントを通じ、より多くの区民の皆様がスポーツの楽しさを体感し、スポーツに取り組むきっかけづくりの機会を提供してまいりました。こうした機会に合わせまして、区民の皆様が興味を持ったスポーツをさらに続けられるように、「総合型地域スポーツクラブ」や「各種スポーツ団体」などで実施している活動を、団体の案内チラシやスポーツ情報紙の配布などを通じ、積極的に紹介していくことが、イベントでの単発のスポーツ実施から継続実施につながるものと考えております。また、健康増進を図るうえで、適切かつ効果的なスポーツの実施方法や習慣づけに向けた啓発活動も重要となることから、健康・医療の面から情報提供する方法についても健康政策部と連携し、検討してまいります。今後も、スポーツの継続実施と健康増進を一体として捉え、区民の皆様の健康で豊かな暮らしを実現できるよう、庁内の関係部局、庁外の関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。
三つ目でございます。東京2020大会後のボランティア活動の継続についてのご質問でございます。区といたしましては、東京2020大会期間中には国内外から訪れる多くの方々に大田区を知ってもらう絶好の機会と捉え、区独自のボランティアにより、観光スポット、イベントや食といった大田区の魅力を伝えることで、区内への回遊を促してまいりたいと考えております。また、事前キャンプに訪れるブラジル選手の練習の準備や支援、外国語での対応などのために、観光、スポーツ、国際交流の三つの分野でボランティア活動に取り組んでいただくことを予定しております。
議員お話しのとおり、ボランティアの取り組みを一過性に終わらせることなく、大会のレガシーとして残していく環境整備が重要と考えております。そのために、大会時の活動に向けて、早い段階から既存のボランティアの皆様方との連携を進めてまいります。また、大会を目途に、ボランティアの受け入れ体制、登録制度の整備、スポーツ大会やイベントといった活躍の場の提供等について、大会後においても区民の皆様にボランティアとして活躍してもらえるよう関係機関と連携し、検討をしてまいります。以上でございます。
◎齋藤 都市基盤整備部長 私からは、公園の整備に関する三つのご質問にお答えをいたします。
まず、小さな公園の利用実態を把握しているかとのご質問でございますが、議員お話しのように、区内には550か所を超える公園が整備されましたが、面積が1000平米にも満たない小さな公園が全体の7割で、その中には100坪にも満たない公園が119か所もございます。区民にとって、暮らしの身近な場所に整備された小さな公園は、子どもの遊び場だけではなく、憩いの場や地域活動の場などになりまして、さらに防災機能も有する貴重なオープンスペースでもあり、一定の役割を果たしているというふうに考えてございます。同時に、面積が小さいがゆえに、公園として使いづらく、近隣への音などの問題も抱え、利用者がほとんど見られないところも一部にはございます。
区としては、これらの小さな公園のあり方を見直すべく、昨年度、公園利用実態調査を実施いたしました。調査では、区内18か所のモデル地区で、比較的小規模な公園164公園につきまして、午前6時から午後7時まで、公園の利用者数や利用方法等についての調査を行いまして、小さな公園の利用実態の把握に努めてございます。その結果、地区によって差はあるものの、一部の小さな公園では、あまり利用されていない実態が把握できました。その一方、小さな公園でも、地域活動の場や高齢者の憩いの場、あるいは子育ての場などとして、多くの利用者が見られることもわかりました。今年度はさらに、公園緑地ストック活用基礎調査として、昨年度の利用実態調査の検証を進めながら、時代の変化や区民の新たなニーズに対応した今後の公園整備の方向性について検討を進めているところでございます。
次に、身近な公園の使われ方が変化してきているが、区は公園に対してどのような課題があると考えるかとのご質問でございます。身近な公園が抱える課題は、より地域に根差した地域住民に日ごろから利活用していただけるような公園づくりであると考えております。そのためには、小さいならではの一つ一つの公園の魅力づくりを進めていく必要があると考えております。かつてのように、ブランコ、滑り台、砂場のいわゆる三種の神器を備える似たような公園を整備していくのではなく、地域の要請や近隣にある公園の整備状況などを踏まえまして、小さな公園それぞれに、例えば子どもの遊び場、子育て支援の場、健康づくりの場、高齢者の憩いの場、地域活動の場など、今ある機能配置を地区ごとに見直ししていくことが重要であると考えております。そして、より多くの地域住民に利用される地域に根差した公園づくりにさらに取り組んでまいります。
最後に、利用者の少ない公園を再整備し、区民にとって喜ばれるような公園を整備すべきと考えるがいかがかとのご質問でございます。小さな公園の魅力を高めていくためには、議員ご提案のような健康遊具を積極的に活用したネットワーク化などは、非常に有効な小規模公園の活用方法であると考えております。そして区としても、区民のライフステージに合わせた小規模公園の活用に向けた試験的な取り組みを進めております。例えば、最近では、新井宿児童公園での高齢者の介護予防や健康づくりのための健康運動遊具の設置や、蒲田一丁目公園など保育園の代替遊戯場として指定されている公園での子育て支援のための遊び場整備などに取り組んでおります。
さらに区では、今年度実施している公園緑地ストック活用基礎調査の中で、小規模公園の利用実態の検証を行うとともに、地域ストックとしての活用の方向性を検討しているところでございます。そして、今後も引き続き、利用者の少ない公園の再整備や区民にとって喜ばれるような公園の整備についての検討を進めまして、区民のライフステージに合わせた公園の整備方針見直しに取り組んでまいります。私からは以上でございます。
◎水井 教育総務部長 私からは、まず小学校の体力向上モデル校についてのご質問にお答えをいたします。
都内の全児童・生徒を対象にした調査によれば、学年が上がるにつれて、運動に苦手意識を持つ子どもが増える傾向がございます。これは、学年が上がると運動やスポーツの難易度が上昇し、苦手意識が生まれるものと分析しております。子どもたちにスポーツや運動への苦手意識を持たせないためには、低学年のうちにその楽しさを体験させ、「できた」、「わかった」という成功体験を積み重ねることが重要です。
そこで、平成27年度から小学校第1、第2学年の体育の授業に、担任に加えて体育指導補助員を配置するモデル事業を開始し、段階的に実施校を増やして、現在では40校に配置をしております。実施校からは、「複数で対応することで手際よく説明を行うことができ、授業で運動時間を増やすことができた」、「個に応じ、指導を充実させることができた」などの効果が報告されており、平成30年度は、この取り組みを小学校全校に拡大することを計画しているところでございます。
モデル校の中には、既に体育指導補助員が休み時間に子どもたちと一緒に遊ぶ活動を行っているところもあり、それらの学校からは、「体育指導補助員が鬼遊びや鉄棒遊び、大縄跳びなどに入ると、多くの児童が集まり、積極的に運動している」との報告も寄せられております。カリキュラムとの兼ね合いもございますが、今後は、休み時間に体育指導補助員を配置する効果について各校に情報提供を行い、活動の拡大を図ってまいります。なお、配置時間数については、さらに検証を進めたうえで判断をさせていただきたいと存じます。
次に、部活動指導員についてのご質問ですが、平成28年度、区では598人の教員が部活動の顧問を担当しており、全教職員の98%に当たります。教員が熱心に部活動指導を行い、成果を上げている一方で、人事異動等により、やむを得ず競技経験のない教員が顧問となったり、廃部や休部になったりする事例もございます。
教育委員会では、これまで部活動校外指導員を中学校全校に配置し、教員の負担軽減と適切な指導の確保に努めてまいりました。現在、227人の指導員が活動しています。しかしながら、議員のお話のとおり、顧問の教員の立ち会いがなければ指導ができない、大会などの引率ができないという制限がございます。そこで、現行の部活動校外指導員制度に加えて、新たに来年度10校に単独で指導を行える部活動指導員を試験的に配置したいと考えております。この部活動指導員には、部活動に関する教員並みの指導権限を与えることから、スポーツ指導に関する十分な知識、経験と責任感、体罰や子どもの心の問題に対する深い理解等が求められます。このため、必要な資質や活動上の問題点、研修などについて検討する必要があり、モデル事業としているものでございます。まずはモデル事業をしっかりと行い、成果検証を行ったうえでの今後の展開を考えてまいりたいと存じます。
最後に、適切な部活動の管理についてのご質問ですが、議員のお話のとおり、中学校の運動部活動は、体力や技能の向上に加えて、自己肯定感の向上等、大きな教育的意義が認められる一方、長時間の活動が生徒のけがなど健康への影響や教員の長時間労働の原因等の一つとなっているという指摘もございます。また、平成29年度の全国学力・学習状況調査結果では、平日に部活動を3時間以上行っている生徒より、3時間未満の生徒のほうが平均正答率が高いという結果が出ており、長時間の部活動は学力にも影響を与えると捉えております。
教育委員会では、昨年3月、各校に対して、「少なくとも土曜日、日曜日のうち1日は、休養日とする」、「ウィークデーにおいても休養日を設ける」等の指導を行いました。現在、議員のほうからもお話もございましたけれども、スポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定する予定で検討を進めております。また、東京都教育委員会においてもガイドラインを検討中であると聞いております。
今後は、先ほど申し上げました中学校宛て通知の実施の徹底を図るとともに、国、都のガイドラインが策定されたときには、これを踏まえ、運動やスポーツの正しい知識に基づいた適切な指導や、適切な部活動休養日、活動時間の設定についての基準を示すなど、各校への指導を徹底することにより、部活動が生徒の生活や健康によくない影響を与えることのないよう、また、長くスポーツを愛し、続けていくことができるよう配慮してまいりたいと存じます。私からは以上でございます。
○大森 議長 次に、13番深川幹祐議員。
〔13番深川幹祐議員登壇〕(拍手)
◆13番(深川幹祐 議員) 自由民主党大田区民連合の深川幹祐でございます。
まず初めに、食品残渣による環境負荷軽減について質問いたします。
この内容につきましては、平成25年度の都市・環境委員会で視察を提案し、委員会として北海道岩見沢市に視察に行きました。また、その直後の平成25年第3回定例会において、商店街お休み処事業に関連して質問をいたしました。そのときは、お世辞にも前向きとは言えない答弁をいただきました。生ごみ処理の問題は、この後も、平成27年の地域・産業委員会、平成28年の第2回定例会、そして、平成29年予算特別委員会での審議に際しても質問をさせていただきました。環境清掃部と教育委員会を連携して、子どもたちに環境の重要性を伝える取り組みを行っていただきたいと述べた次第であります。
今年度予算では、具体的に、環境清掃部、教育総務部、産業経済部、そして、区内企業にも連携の声がけをしていただき、新しい枠組みを講じていただきました。また、来年度予算案では、環境課題解決のための取り組みとして、予算額496万8000円とし、区内企業がつなげる資源循環システムとの副題をつけております。今までの議会質問で何度も取り上げたテーマであり、食品残渣の問題を解決する手段として、具体的に示したものであります。そういった意味で、さらに進んで、今回の予算案で具現化していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
この区内資源循環システムの導入として、(1)学校給食残渣を資源化します。(2)資源化においては区内企業の技術力により開発した機器を活用し、資源の区内循環を実現します。(3)資源の区内循環システムを学校教育に導入することで、環境マインドの向上を促します。続いて、導入における課題解決として、区内企業の技術力を活用して廃棄物減量機器を開発し、廃棄物の軽量化を図ることで資源化によるコストアップを抑制しますと記載されております。まず、このような方向性にするに至った経緯並びに、今年度、環境清掃部と教育総務部が連携して行った食品廃棄物の減量及び環境学習充実に向けた取り組みについての成果についてお伺いいたします。
また、商店街空き店舗事業などでのこの新しいスキームを援用しての個別店舗の環境負荷軽減とともに、コスト軽減策を進めるべきであると考えます。大田区から新しいスキームを進め、全国に発信するものづくりのまち大田区、環境先進都市おおたとしての施策展開についてお伺いいたします。
次に、幼稚園や保育園と行政各部の連携について伺います。
大田区の未就学児を取り巻く環境は大きく変貌を遂げております。平成の初め、元年のデータを見ますと、区立保育園60園、6890人、私立保育園14園、1184人、区立幼稚園10園、676人、私立幼稚園53園、9291人、合計で、保育園74園、8074人、幼稚園は合計で63園、9967人でした。直近データの平成29年4月当初で、区立区営保育園34園、4063人、区立民営保育園11園、1308人、私立保育園72園、6084人、合計で、保育園117園、1万1455人、私立幼稚園48園、8683人となっております。これを区営と民営で分けますと、平成元年が、区営70園、7566人、民営67園、1万475人、平成29年が、区営34園、4063人、民営131園、1万6075人となります。園数で比較しますと、平成元年で同数、平成29年ですと1対4となります。統計上の問題があり、外国人を除いた統計となりますが、人口では65万741人から69万8681人と4万7940人の増ですが、未就学児の人口は3万6712人から3万2355人と減少しております。そういった意味で、人口は増え、未就学児は減りましたが、幼稚園、保育園に通っている人たちは増えているというように、環境が大きく変化をしております。区立園の民間委託が進んでおり、従前のように、私立、公立といった分けをするよりも、一体的に考えるべきと考えます。
区立・私立保育園、私立幼稚園の役割についての所見をお聞かせください。
また、保育園事業者との意見交換の際に、運動会を行う会場の確保に難儀をしているとの話を伺いました。私が幼稚園に通っていたときの運動会は本門寺グラウンドで行われておりました。現在、運動会を実施しているところでも課題があると思いますし、実施できていないところも当然困っていると思います。また、学校への要望が特に高まり、とりわけ新設園の多くが調布地域に集中している現状を考えると、教育委員会のみの負担で解決を目指すことは困難であると思います。そして、学校長の判断で貸し出しをしても校長先生の負担となること、調整機能を校長先生に依拠することは、相反する要望時に特に負担が増大すると考えられることから、教育委員会に判断を委ねることができるようにするべきと考えます。そして、保育園の場合には、区営、民営を問わず、保育サービス課が積極的な調整役を担うべきと考えます。また、会場を提供できる所管の部長にも、大田の子どもたちのために協力をいただければと思います。各部長の答弁をお願いします。
次に、中学校生徒海外派遣について伺います。
今年度の大田区議会親善訪問調査(区政施策調査)において、ドイツ連邦共和国ミュンヘン市を訪問いたしました。ミュンヘン総領事館表敬訪問では、平成29年10月に着任された木村総領事をはじめ、坂本首席領事などと意見交換をさせていただきました。
中学校生徒海外派遣事業では、平成23年からドイツコースが設置をされました。平成28年に発生したミュンヘン銃乱射事件がその年の海外派遣の直前であったこともあり、平成28年、平成29年と、海外派遣ではミュンヘン滞在を回避しております。しかし、ミュンヘンはドイツにおいて大都市であるとともに、一般的なドイツのイメージは南ドイツが中心であります。北ドイツは標準的なドイツ語で、ミュンヘンは南ドイツの方言である上部ドイツ語であります。ブレーメンやハンブルクといった北ドイツとは、違いをぜひ感じてもらいたいと思います。
このミュンヘン銃撃事件の伏線と言われたのが、ドイツへの移民、難民の増加であります。ドイツ・メルケル政権は移民の積極的な受け入れを表明し、移民、難民の人々に希望を与えました。しかし、このことにより、一部のドイツ人ブルーワーカーの失業を招き、批判が大きく展開されました。そういった混乱の中で、ドイツでも各地でイスラム教過激派によるテロ事件が発生しました。多くの日本での報道は、こうした背景から発生した銃撃事件ではないかとの第一報がもたらされたわけであります。この報道は、この第一報で立ち消えとなり、多くの日本人の脳裏に焼きついたわけでありますが、現地の第二報などでは、明確にイスラム教過激派によるテロではなく、精神疾患を抱えた犯人による単独犯の事件であったと伝えられております。このように情報が錯綜している状況下で、大田区教育委員会として、ミュンヘン訪問を翌29年度も中止を決定したものでありました。
我々が区政施策調査として実踏し、ミュンヘン総領事館との意見交換をしたところでも、まちの治安を不安がることはないと伝えられました。また、現在、ドイツは好景気であり、失業者が減っていることから、ヨーロッパの中でも治安がよいと言われております。
ミュンヘン訪問の意義として、この後、習う世界史における神聖ローマ帝国の歴史から現代ドイツまでを理解する必要性を認識できること、北ドイツであるブレーメン、ハンブルクともに、自由ハンザ同盟を締結し、都市間での商業連携が強くあり、諸侯の支配権とも対立していたことを知ることとなります。これは日本における堺の発展とも比較検討すると興味深い内容になります。こうした背景を理解したうえで、日本史、世界史を学ぶことは、派遣生だけでなく、学校での発表の場合の派生的学習効果が期待されると考えられます。
そういった意味からも、ミュンヘン訪問を再開すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、中学校海外派遣の派遣後につきましては、現在も調査を継続していただいております。しかし、わざわざホームページなどを見て、調査に応じていただける方は、残念ながら少ないとも聞いております。やはりこれには動機が必要であります。
大田区では、国際都市おおた協会を設立し、目的として、「国際都市おおた宣言」で表現された観光の魅力、多文化共生の大切さ、産業の力強さを伸張させるため、大田区における国際交流及び国際協力の活動支援や国際人材の育成を地域の力との連携、協働を通じて推進し、もって地域の活性化に寄与することを目的とするとなっております。こういった観点から見ますと、これからのおおた協会との連携についての所見をお聞かせください。
また、国では、来年、平成31年1月より、訪日外国人、海外旅行をする日本人から1人1000円の国際観光旅客税、いわゆる出国税を課す方針を定めました。このことにより、平成30年度である平成31年1月から3月までで約60億円の税収を見込んでおります。この財源を活用して、今月立ち上がったブランディング・シティプロモーションとも連携して、羽田空港との連携事業により、大田区への観光客誘致、また、ふるさとの浜辺公園をはじめとする新スポーツ健康ゾーンへのビーチスポーツ体験など、活性化施策を検討すべきと考えます。ご所見をお聞かせください。
海外からの訪日観光客のインバウンド対応、また、在住外国人へのサポートなどといった暮らしてよし、訪れてよし、笑顔あふれる国際都市おおたを目指すべきと考えます。
次に、ミニ・ミュンヘンについて伺います。
今回の視察の事前勉強会として、早稲田大学の卯月盛夫教授をお招きして、ドイツで始まったミニ・ミュンヘンについて及び現在の日本におけるミニ・ミュンヘンの取り組みについて説明を受けました。この取り組みを初めて知ったのは、平成27年大田区議会地域・産業委員会での高知県視察のときでありました。この高知市で行われている子どもまちづくり基金助成金事業「こうちこどもファンド」という取り組みに関心を持ったからであります。子どもたちに予算を渡し、このお金をどのように使うと有用なのかを子どもたちにプレゼンをさせ、審査も含めて子どもたちが主導的に行うといったものでした。そういったことを進めることによって、子どものうちから政治に関心を持ち、行政に意見を持つことができると思いました。あわせて、身近な困り事などについて建設的意見を持ち、検討することはとても重要であると考えました。
今回の視察の前段として、渡司議員と私は市川市で行われているミニいちかわの会場に視察に行きました。NPO法人市川子ども文化ステーションが主催となり、ミニいちかわを運営しております。私と渡司議員は別日に伺い、違う視点で話を伺ってきました。「子どもがつくるまち」とキャッチフレーズがあるように、大人たちは極力裏方に徹し、子どもたち自身が創造し、つくっていくものだと思いました。
まず初めに、まち全体を見ました。10時開始のところ、10時半ごろに伺ったので、一番混んでいたのは職業安定所でありました。まず仕事を得ないと、その中で使える通貨、ここではメティという通貨ですが、メティがないので、子どもたちがやりたいことができないわけであります。また、土曜日でしたので、銀行は混んでいませんでしたが、翌日曜日であれば、前日の通貨メティを預金しているため、引き出し業務が忙しいとのことでした。文献などでミニ・ミュンヘンの取り組みを学んでいましたが、現実に見るのは初めてだったので、とても興奮をいたしました。清掃する子どもたちもあり、子どもたちが一生懸命に掃除している姿は感銘を受けました。
このイベントの取り組み全体の効果として言えることですが、現実社会で大人が担っていることを子どもたちが行うことにより、その業務の困難性や親御さんの労働の重要性を深く認識することであります。
日本の学校教育で進んでいることと言われることの一つに清掃美化活動があります。子どもたちが学ぶ学校を、子どもたちがみずから清掃することによって、ごみを拾う苦労がわかるからであるというふうに言われております。子どもたちに話を聞いたところ、やはりそのような回答が返ってきました。
そこで、詳しく話を伺いたいと思い、受付を訪ねました。そこのNPOの大人の方が出てきてくださったのですが、「対応や説明については市長がします」とのことで、女子中学生の市長さんが説明をしてくれました。概要説明に始まり、会場全体を歩きながら再度説明してくれました。市長は小学生のときから参加しており、低学年のときは参加者として、小学校4年生からはスタッフとして参加しているとのことでした。そういった意味で、学校において、小学校4年生は中学年ですが、ここではスタッフとして運営側に当たり、低学年の子どもたちを見る立場になるということでした。そういった成長も興味深く感じられました。
大田区の行事で考えてみますと、子どもガーデンパーティーがあります。これは、地域の大人たちである青少年対策委員会や地域力推進課青少年担当、18特別出張所などが主体となって実施しており、ジュニアリーダーも手伝っていますが、スタッフ側になるのは中学生からが基本となっております。全体的には大人が様々なことを決め、そこに来た子どもたちが遊ぶという構造になっております。これでは、子どもたちの創造力は育みにくいと思います。そういった意味での、ミニいちかわの取り組みは大いに参考になると思いました。
こういった内容について、関係部局と情報を共有し、進めていただきたいと思います。この点についての所感をお聞かせください。
最後に、行政系人事制度の改正について伺います。
この間、何度も議会で質問をしてまいりました。平成29年1月から特別区人事・厚生事務組合(特人厚)と特別区職員労働組合連合会(特区連)との間で新しい行政系人事制度についての交渉が行われ、平成29年11月22日に妥結をいたしました。しかし、この内容のみであれば、今までこの議会で指摘していたとおり、地方公務員法に触れるおそれがあると懸念をしております。この点、平成29年第2回定例会代表質問において、懸念の指摘をした次第であります。
そして、大田区では、以下のとおりの結論を見出しました。新2級職(主任)から係長への昇任の能力実証の実施に当たり、職員から育児、介護、傷病等のために一定期間の昇任待機を希望することなどの意向を申し出る機会を設けました。また、和光市における希望降任制度についても検討を進めていただき、傷病のほか、育児、介護などを事由とした場合により柔軟な対応を行うこととなりました。大いなる前進でありますし、対応していただいたことに感謝を申し上げます。
また、検討課題として、スーパー主任主事やスーパー係長など、能力は十分にあるが、様々な事情で昇任をしない職員の最高号給到達後の対応について、各区事項導入検討を依頼しました。現在までの検討状況をお知らせください。
次に、平成29年予算特別委員会で質問しました非常勤の任用に際して、財政課としての予算的措置による把握にとどまらず、人事課が主体となって、一括して管理すべきと申し上げました。また、契約事務規則に定められている工事請負契約を参考に、年額給与130万円以上になる職員については、所属課の申し出により、人事課が把握すべきと考えます。また、この際、人事課と並走して、企画経営部としても、定数管理という観点から把握すべきと質問させていただきました。現在の検討状況をお知らせください。
最後に、パワハラ、セクハラをはじめとするハラスメント対策について伺います。
最近では、特にハラスメントに関しての裁判などが大きく報道されるようになりました。パワハラ、セクハラにとどまらず、アルコールハラスメント、「アルハラ」や、妊娠や出産、育児などを機に精神的な嫌がらせを受けるマタニティーハラスメント、「マタハラ」、子育てに率先する父親であるイクメンに対して行われるパタニティーハラスメント、「パタハラ」など、多くあります。今までの常識ではこれくらいはといったことも、権利意識の拡大によって、納得できないと抗議を受けることもあるわけであります。どこからどこまでがよくて、どこからどこまでがいけないのかについては意見が分かれるものであります。ただ、昔はこれくらいはといったものでも、嫌だと思う人がいる以上、配慮すべきと考えます。
そういった意味で、労働者の見本であるべき存在である公務員組織である区役所は、率先して、こういったハラスメント対策をすべきであります。こういったハラスメントは、肉体的な暴力の場合と違い、外形上の変化が見えにくく、精神的暴力によって傷ついてしまう例も間々あります。大田区のハラスメント対策の現状についてお知らせください。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎市野 企画経営部長 私からは、非常勤職員に関するご質問にお答えをさせていただきます。
非常勤職員につきましては、地方自治法上、定数管理の対象とはなってございませんが、その効果的活用を図る観点から、適切に管理していくことが重要であると認識してございます。今年度からは、より実効性のある管理を行うために、非常勤職員の新設、廃止、人数の増減等が生じた場合には、企画課、財政課、人事課と事前調整を行うよう、全所属に改めて通知をいたしました。非常勤職員の活用を検討する各所属との早期の調整を通じて、その実態を把握するとともに、職のあり方や必要数を精査してございます。非常勤職員の活用は、効果的な執行体制を整備するための手法の一つと認識してございます。今後も、正規職員との役割分担を踏まえ、必要数等について適切な管理を行い、効果的な活用を図ってまいります。私からは以上でございます。
◎玉川 総務部長 私からは、人事管理に関するご質問にお答えいたします。
まず、能力は十分にあるが、様々な事情で昇任をしない職員が給料表の最高号給に到達した後の対応についてのご質問でございます。職員の給料表につきましては、人事委員会の勧告に基づき、条例で定められておりますので、決められた給料表の範囲の中で対応してまいります。一方で、今回の行政系人事制度の改正により、係長職として新たな主査を設置し、各区の判断で配置することが可能となりました。この運用に当たりましては、新たな主査へいつ昇任させるか、その配置先、あるいは逆に、新2級職への希望による降任などについて、職員の状況に応じた柔軟な任用を行い、能力を最大に発揮できるよう努めてまいります。
次に、非常勤職員の任用管理に関するご質問でございますが、毎年度、人事課におきまして、非常勤職員の勤務条件等に関する調査を行い、配置人数や報酬等についても把握しているところでございます。採用に関しては、特別職という位置づけ、その職務の特殊性等から、各所属において実施することが、非常勤職員を有効活用するという観点から適切であると考えております。一方、職員全体の適正配置の観点からは、正規職員と非常勤職員をあわせて総合的に判断することが必要でございます。引き続き、企画経営部と連携し、非常勤職員の人数や勤務条件の把握に努め、適正な人事管理を行ってまいります。
最後に、職場におけるハラスメント対策に関するご質問でございますが、職場におけるハラスメントは、職員の人格を不当に傷つける行為であり、問題を放置すれば、職場環境の悪化による組織活力の低下や、組織への信頼の喪失にもつながります。区は、これまでハラスメント問題を未然に防止するため、セクシャルハラスメントをはじめ、パワーハラスメントや、妊娠、出産、育児休業、介護休暇等に関するハラスメントについての三つの基本方針を定めております。さらに、これらの方針を具体化するため、管理監督者の責務、相談窓口の設置と役割、苦情処理の流れ等を示した「職場におけるハラスメントの防止及び苦情処理に関する要領」を定め、これを職員に周知、啓発をしております。今後も職員が安心して働くことのできる職場環境の整備を進めてまいります。私からは以上でございます。
◎鴨志田 地域力推進部長 私から、二つの質問につきましてお答えをさせていただきます。
まず、保育園や幼稚園の運動会会場確保に関する質問です。地域力推進部が所管します区民利用施設である区民センター、文化センターの体育施設は、多くの方々にご利用いただいておりまして、特に土曜日、日曜日は高い利用率となっております。運動会の会場として使用することは、現在、施設を利用していただいている利用者、地域団体へ配慮する必要が出てまいります。こうした状況を踏まえまして、可能な範囲で協力してまいりたいと考えております。
次に、創造力を育むため、子どもたちが小学生のころからスタッフとして企画、運営などに当たるイベントに関するご質問です。区は、青少年健全育成に向けた独自性のある取り組みとして、青少年対策地区委員会をはじめ、地域の皆様との協働により、小学生を対象とした「リーダー講習会」を実施しております。「リーダー講習会」は、過去、受講生であった中学生や高校生が斬新な発想を活かし、青少年対策地区委員会とともに企画や運営に当たっております。こうした大田区の取り組みに対しまして、各自治体は、それぞれの地域性などを活かし、子どもたちの自主性、自立性や創造力を育む事業を創意工夫しながら推進しております。区は、これからも、市川市の取り組みなど先進事例の調査研究を進め、関係部局と情報共有しながら、青少年健全育成事業を充実させてまいります。私からは以上です。
◎近藤 観光・国際都市部長 私からは、観光・国際都市部に関する二つのご質問にお答えをさせていただきます。
まず、中学生海外派遣後における国際都市おおた協会との連携についてのご質問ですが、区は、青少年の国際的視野を広げ、相互理解と友好を深めることを目的といたしまして、青少年訪問団派遣事業などを行っております。参加した青少年は、これからの自分の将来に夢を膨らませ、前向きな気持ちを持つことも多いと聞いております。そうしたことから、継続した動機づけが必要と考え、現在、派遣学生などに友好・姉妹都市訪問団との交流会への参加などに呼びかけをするとともに、派遣学生同士が集まる場を設け、交流促進に努めております。これからは、国際都市おおた協会の役割の一つである国際人材育成の観点からも、中学校海外派遣経験者に対して、教育委員会と連携しながら、意欲を醸成する機会を提供していく考えでございます。
次に、国際観光旅客税の活用などに関するご質問でございますが、観光庁の報道などから、「観光国際旅客税(仮称)」の使途についての情報を承知いたしているところでございます。この対象は、訪日外国人向けに地域の魅力的な情報発信や文化体験など、滞在の満足度向上などに使うといたしており、本区での活用の可能性についても、国の動きを注視してまいりたいと考えております。また、ご提案の「ビーチスポーツ」については、ふる浜のコート整備を機に、各方面からの大きな期待があると伺っており、大田区観光の魅力創出の一つとして、価値を見出していけるものと捉えています。大田区への観光誘客の取り組みには、こうしたオンリーワン、ナンバーワンの視点から観光資源を発掘、発信していくことが重要と考えており、ブランディング・シティプロモーション事業との相乗効果を十分に図っていく必要があると思っております。
大田区の観光は、地域の魅力を再発見すると同時に、宿泊や飲食、運輸、小売など、様々な事業者や区民に活力を与えてくれるものであり、羽田空港があるまちとしての利点を活かし、多くの区民、関係者の参画を得ていくことが大変重要と考えております。その実現に向けた有効な一つの手段として、観光国際旅客税も視野に入れていきたいというふうに考えてございます。以上でございます。
◎川上 産業経済部長 私からは、商店街の空き店舗などを利用して食品廃棄物の減量及び環境学習の充実に取り組むべきというご質問にお答えいたします。
食品残渣の問題に関しましては、各家庭や学校での取り組みのほか、商店街の各店舗などにおいて、いかに食材の無駄をなくし、生ごみを最小限にすることに努めているところでございます。区としましては、様々な工夫や取り組みを行いながら、ひいては、コスト軽減につながるためにはどうしたらよいか、商店街の皆様とともに検討してまいります。なお、ご提案の空き店舗事業での環境負荷軽減等の取り組みにつきましても、あわせて検討してまいります。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、保育園や幼稚園の運動会会場の確保に関するご質問にお答えさせていただきます。
福祉部では、高齢者施設や障がい者施設を複数所管しているところでございます。各施設の立地状況は様々であり、保育園や幼稚園の運動会の会場としては必ずしも十分な広さを有しているとは言えませんが、地域からご要望をいただいた場合には、各施設とも連絡、調整を図り、可能な範囲で対応できるものについては協力してまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
◎後藤 こども家庭部長 私からは、保育に関するご質問にお答えいたします。
初めに、区立と私立保育園、私立幼稚園のそれぞれの役割についてのご質問ですが、認可保育園は、国の認可基準を満たした集団保育を行う福祉施設であり、主に保護者の仕事と子育ての両立支援を担っております。区立保育園では、これに加え、私立園への様々な支援や地域との連携推進、支援の必要度が高い児童や複数のアレルゲンを持つ児童の受け入れなどを率先して行っております。また、私立保育園は、それぞれの保育方針に基づく特色ある保育や、区立園より長い時間外保育など、保護者ニーズに柔軟に対応している点が特徴であります。一方、私立幼稚園は、学校教育法に基づく学校の一つであり、独自の教育方針に基づき、様々なカリキュラムを編成し、子どもの心身の発達を促しており、多くの幼稚園では預かり保育も実施しております。今後も、関係部局が連携を強化し、保育相談に来られる保護者に対しても、保育園と幼稚園の特色や違い、様々な子育ての最新情報を提供し、それぞれのご家庭の子どもの成長にとって最適な選択ができるよう努めてまいります。
次に、保育園の運動会会場の確保についてのご質問ですが、保育園で実施する運動会は、日常保育における園児の体力向上を目的とするほか、園児同士や親子の絆、そして、地域交流を深めるうえで大変重要な行事であると考えております。しかしながら、議員お話しのとおり、保育施設の増加に伴い、新設保育園などにおいて、運動会会場の確保に苦慮している状況がございます。今後は、これまで十分活用されていなかった区立保育園の園庭を運動会会場としてもお使いいただけるよう検討していくほか、私立保育園の園庭開放に対する補助金を活用しやすい内容に見直し、園庭のない保育園への支援に努めてまいります。また、保育園に対しては、運動会の開催時期が集中しないよう調整を図るとともに、学校や公園、屋内体育施設の利用につきましても、それぞれの関係部局と連携してまいります。私からは以上です。
◎齋藤 都市基盤整備部長 私からは、保育園、幼稚園の運動会会場確保についてのご質問につきまして、都市基盤施設の管理者の立場から端的にお答えさせていただきます。
私立は、区立と異なりまして、有料で、場合によっては抽選によって公園等を中心に会場をご利用いただいております。このような状況になっていることから、今後、私立の保育園や幼稚園のご利用について配慮できるような仕組みづくりを関係部局と連携して検討してまいります。私からは以上です。
◎畑元 環境清掃部長 私からは、教育総務部との連携による食品廃棄物の減量及び環境学習の充実に向けた取り組みについてお答えさせていただきます。
今年度、環境清掃部では、産業経済部、教育総務部とともに、区内企業と連携し、給食残渣などについて、区内での資源化手法を開発するとともに、環境学習にも活用していく方法について検討してまいりました。給食残渣の区内資源化においては、資源化経費が課題となっていました。こうした状況を踏まえ、区は、区内企業の技術力で廃棄物の減量機器を開発することとし、その経費を新年度予算案に計上させていただきました。また、区内資源循環システムの構築は、その過程を次世代を担う子どもたちが身近に体験することにより、広く環境マインドの向上を促すという大きな効果があるものと考えております。これからも、他部局と積極的に連携し、持続可能な社会の実現を目指し、環境保全事業を推進してまいります。
◎水井 教育総務部長 私からは、まず、保育園、幼稚園の運動会会場の確保に関するご質問にお答えをいたします。
これまで区立小中学校では、可能な限り校庭を保育園等の運動会開催のために貸し出し、今年度は90園の保育園が校庭を使って運動会を開催しております。しかしながら、利用日が重複して要望にお応えできない場合も見られるようになってまいりました。まずは、こども家庭部と連携して、現状の把握から始め、可能な限り要望にお応えできるような仕組みづくりを検討してまいりたいと存じます。
次に、中学校生徒海外派遣ドイツコースにおけるミュンヘン訪問についてのご質問ですが、区では、中学校生徒が積極的に外国への理解に努め、世界の人々から信頼と尊敬を得られる区民となることを強く願い、昭和49年から本事業を実施し、今年で33回目となりました。平成23年度からはドイツ連邦共和国ブレーメン州へ生徒を派遣しており、ドイツに派遣した生徒は延べ195名となっております。
現地での活動や見学地につきましては、ハンブルク総領事館への訪問や、ブレーマーハーフェンの極地研究所の見学など、毎年少しずつ見直しを行ってきております。見学地の見直しに当たっては、貴重な国際交流体験となるホームステイの日数の確保など、様々な視点からの調整が必要でございます。今後は、ドイツ博物館やニンフェンブルク城等のドイツの南北の違いを知ることのできるミュンヘンへの訪問も含め、より多くの情報を収集し、プログラムの充実について総合的に検討してまいります。
○大森 議長 次に、48番湯本良太郎議員。
〔48番湯本良太郎議員登壇〕(拍手)
◆48番(湯本良太郎 議員) 闘う改革の会の湯本でございます。会派名のとおり、闘志あふれた一般質問に臨みたいと思います。熱意ある答弁をお願いいたします。
大田区の平成30年度の予算編成案を見ると、一般会計総額は2787億7647万3000円となり、前年度比6.5%の増額となっております。基本的な考え方は、おおた未来プラン10年(後期)の総仕上げとし、各事業の必要性、緊急性を検討し、財源を効率的に配分するものとしたと記されております。そして、重点課題の中身は、子育て支援と高齢化社会への対応を図りつつ、国際社会への対応も行うといったことが記されております。
平成29年3月に大田区が出した大田区人口推計によると、大田区基本構想で描く平成40年ごろが生産年齢人口のピークとなり、老年人口は平成40年以降に急増する想定となっております。この人口推計からいっても、これからの10年が非常に重要な時間となることが浮き彫りとなります。
先日、公明党の代表質問にて、「太陽が出ている間に屋根は修理をしなければならない」というケネディ元大統領の言葉の引用がございましたが、経営的観点で見れば、構造的な悪循環に陥る前に、その構造を直すか、または、その構造でも耐え得るシステムにつくりかえる必要があります。なぜならば、状況が悪化してからでは手がつけられなくなってしまうからであります。つまり、目の前の課題に対処しつつも、10年先の社会を想定し、高齢化がより顕著となっても、安定的な公共サービスの提供により、安心した区民生活を実現していくために、10年という歳月で何を課題とし、その課題に対し、どのような対応をし、その対応がどのような効果を区民生活にもたらすのか、区の予算編成や施策にこの説明が求められていると考えますし、その説明に区民の納得や安心が生まれるように願ってやまないところであります。
そこでお伺いをいたします。大田区基本構想は平成20年から40年の区政運営の方向性を示しております。また、大田区実施計画は、平成29年から31年の3か年の社会経済状況の変化等を的確に捉え、未来プラン(後期)の実効性を高めるとともに、持続可能な行財政運営を推進するとし、計画が練られました。基本構想に描かれた平成40年に向けて、平成30年度の予算はどのような位置づけとなっているか、大田区実施計画の進捗とともにお伺いをいたします。
平成30年度の予算案は、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現につながる取り組みを確実に進めるとしております。安定的な人の営みや、子どもの健やかな成長がはかれる地域を目指す大田区の努力に期待するところであります。また、日本の表玄関である羽田空港を抱える大田区としては、「国際都市おおた」を掲げており、生産年齢人口が減少する日本にとって、グローバル化は避けられないので、その対応と区民生活と国際都市をどのように結びつけ、区民利益としていく考えか、お伺いいたします。
平成28年4月にOTAシティ・マネジメントレポートが作成をされ、大田区の中長期の財政見通しが示されました。区を経営するという視点に立ち、マネジメントの方向性を明らかにして、明確な責任のもとで区政を計画的に遂行、分析、検証するという姿勢を高く評価するものです。
OTAシティ・マネジメントレポートの中長期の財政見通しは決して楽観できるものではありませんでしたが、平成30年度以降の計画を形にしていく際、区財政の見通しはどのような状況か、財政規律の維持、資源配分の効率化、公共サービスの効率的な供給という視点を強く意識しているとしておりますが、具体的にどのような対策をとっているのか、あわせてお伺いいたします。
区政課題は多岐にわたりますが、限られた財源で、どのような課題に、どの程度踏み込むのか、非常に難しいところではありますが、この判断が求められると考えます。区の客観的で冷静な判断と、将来へのリアリティーのある想像力が、これからの大田区を創造していくうえで必要不可欠であります。私には、今後の行政運営に対し、思いを持って臨んだ平成30年度の予算編成案であるというメッセージは伝わってくるものがあると感じておりますが、その思いを区民の皆様によりわかりやすく伝えていくことが重要であるということを申し述べ、子育て支援の質問に移ります。
子育て支援に対する質問に移ります。
社会問題化している保育園の待機児童問題に対応すべく、子育て環境の整備を大田区は計画的に進めております。直近3年間の状況を見ると、申込者数は、平成28年4968人、平成29年5436人、平成30年は1次ではありますが5322人となっております。対して、内定者数は、平成28年2826人、平成29年3591人、平成30年は1次ではありますが3576人となっております。また、保留者数は、平成28年が2142人、平成29年が1845人、平成30年は1次の段階で1756人となっております。整備の進捗は、平成27年が556名、平成28年が717名、平成29年は1200名と定員の拡充が図られてきました。そして、保育サービス定員及び整備率は、平成28年が40.2%、平成29年は42.4%、平成30年は45.6%の予定となっております。と数字を見ると、保育環境は充実、拡充が図られ、保育園の入園のハードルは下がったように思えますが、実情は、保育園入園のための指数が22点でも認可保育園に入園ができない実態があります。
保育園入園のニーズの高まりと保育環境整備の進捗を考えたときに、需要が供給を上回る状況では、待機児解消は前進していることにはならないという区民の声も聞こえてきます。この現状を踏まえ、保育園待機児童問題解消について、大田区の現状の認識について、考えをお伺いいたします。また、保育ニーズのピークをいつと捉え、今後の対応を考えているのか、あわせてお伺いいたします。
子育て環境について、育児に臨む区民と話をすると、幼稚園と保育園について、様々な意見を耳にすることがございます。よく耳にするのが、幼稚園の預かり保育が充実をしていれば、保育園ではなく、幼稚園に通わせたいといった内容であります。一方で、幼稚園の運営をされている方々からは、幼稚園は保育園ではないので、保育園と同じ感覚で幼稚園を捉えられても困るといった声も耳にいたします。
先ほども触れましたが、22点でも保育園に入園できないケースが増えてきていることを考えると、両親が共働きをしながら子育てをしている家庭が増えてきていることが想定をされます。行政サービスの充実と、効率的に図りたい行政の立場としては、幼稚園と保育園の役割について、様々な視点で考察をされたことと思いますが、幼稚園と保育園、その立ち位置の違いがあまりにも大きい場合は、幼稚園に保育の役割の一端を担ってもらいたいと求めるのは困難であるとも考えられます。
今までの経緯を踏まえ、大田区として、幼稚園に保育の一端を担っていただくという考えについてどう考えるのかお伺いをいたします。
次に、学校教育についてお伺いをいたします。
学習指導要領が変わったことにより、平成30年度より小学校の中学年から外国語教育が実施をされます。そのために、月に1回、土曜日に授業が行われることとなります。昨年の決特にて質疑をさせていただきましたが、教員の過重労働が社会問題化しており、大田区の公立小中学校も例外ではありません。社会状況の変化に合わせて、教育環境も時勢に合った環境をつくっていかなければなりませんが、アクティブラーニングや電子黒板の活用、道徳の教科化など、教員が新たに取り組まなければならない課題は増す一方であります。仕事の総量が増え続ければ、現場の負荷も増え続けることになりますので、過重労働はより深刻さを増すことになり、教員と生徒が向き合う時間をつくり出せるような状況とは逆行することとなるという懸念もございます。
一般論として、新たな仕事を1増えたら、どこかで1の仕事を減らす、あるいは、仕事の効率化や簡素化を図る、または、人員を増やさなければ、従来の仕事量は保てないこととなります。言うまでもなく、学校現場は人が人に物を教える場でありますから、安定的な学校運営により、学校教育の質の確保を図り、教員は心身ともに健康な状況で生徒の指導に当たっていただくように努めることは重要な観点だと考えます。
副校長補佐の配置や中学校部活指導員の配置をするなどのマンパワーを増やす取り組みに1億6394万円の予算案が示されており、高く評価するところでありますが、あわせて、事業の整理や効率化といった視点も学校運営に盛り込んでいくことが必要と考えますが、この点について考えをお伺いをいたします。
国は教員の働き方改革を打ち出しました。他国と日本の教育現場を比較すると、日本は教員以外の人員が占める割合がとても低いということが指摘をされておりました。教員は教員でなければできないことに時間を割き、その他のことは、その課題に合った専門員が担うといったイメージのようであります。財政的な課題も絡みますので、事は簡単ではないと思いますが、国の教員の働き方改革について、そして、今後の大田区の公教育の現場をどのような姿を目指すべきと考えているのかお伺いいたします。
私は、我が子が区内公立小学校に通うまで、教員の働き方について、さほど違和感を覚えてきませんでした。日本全国、大変といっても、多くの子どもが公立小中学校へ入学し卒業していくことが一般的であり、できて当たり前という感覚がありました。しかしながら、部活動で土日はない、仕事が終わらなければ残業し、それでも終わらなければ、自宅に仕事を持ち帰って残業、保護者からの相談や研修など、業務は幅広く、教員の過重労働の一端を学校の現場で目の当たりにし、感覚は大きく変わりました。
文科省の教員の働き方改革によれば、他国の教育現場と比較をすると、教員以外のスタッフの割合は、日本が18%に対し、アメリカは約44%、イギリスは約49%となっており、日本の教育現場は、まさに教員の気持ちで支えられていた側面が多かったともとれる数字だと思います。
例えばアメリカやイギリス並みの人員配置を目指すとしても、日本の教員以外のスタッフの割合18%をアメリカやイギリス並みに引き上げるのは簡単なことではありません。教員以外の人材の確保や教育、定期的な研修、増員された教員が働ける学校のキャパシティー、人件費など、多くの課題があると推察できます。
少子化の日本にとって、生産年齢人口の減少は避けて通れない、そのことは日本の国際競争力の低下を招きますので、生産年齢人口の質を高めていく必要があると指摘をする有識者も少なくはありません。
国づくりは人づくりという言葉がありますが、目指すべき教育環境をつくるのに何が不足をしていて、その不足の理由が何か根拠を示し、説明をし、必要な機関に協力を仰ぐなど、公教育の現場を抱える大田区だからこそ果たせる役割があると考えます。
議会と行政は車の両輪と言われますが、行政側が抱えている課題を議会に示し、皆が問題意識を共有するところから様々なことが動き出すということが、社会が変化していく際によく起こります。特に、これからの日本や地域社会を支える子どもの教育については、特にこの視点を持って課題解決に当たっていただくことを要望し、私の質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎市野 企画経営部長 私からは、予算編成、計画などに関します3問の質問にお答えをいたします。
まず、基本構想に描かれた平成40年に向けた平成30年度予算の位置づけに関するご質問についてですが、区は、基本構想に掲げる将来像の実現に向けて、この間、基本計画として、おおた未来プラン10年を策定し、各種事業に取り組んでまいりました。また、実施計画につきましては、「おおた未来プラン10年(後期)」の実効性をより高め、着実な事業進捗を図る目的で策定したものです。各部局におきましては、初年度に当たる平成29年度の計画内容に基づき、子どもを取り巻く環境の整備など、着実に事業を推進してございます。「おおた未来プラン10年(後期)」は平成30年度が総仕上げの年となりますが、この間の社会経済状況や人口構成の変化などにより、新たな課題への対応も生じてございます。こうしたことから、平成30年度予算案は、区の将来像の実現に向けた取り組みをこれまで以上に強力に推進していくため、さらなる未来に向けて力強い一歩を踏み出す予算として位置づけてございます。
続きまして、平成30年度予算編成方針における「国際都市おおた」の取り組みの意義に関するご質問でございますが、平成30年度予算編成に当たっては、「まちの魅力を磨き、世界に輝く国際都市おおたを創造・発信する取り組み」を四つの重点課題の一つとして設定し、特に優先的に取り組むことといたしました。区では、約2万3000人の外国人区民が住民登録され、増加傾向にあることから、国際化に対応したまちづくりが求められてございます。このような状況の中、区は昨年3月、国際都市おおた宣言を行い、宣言の柱となる「観光」、「多文化共生」、「産業」を地域力を活かして推進することで、国際都市としての魅力が高まり、来訪者の増加などによる地域経済の活性化など、地域の発展や区民福祉の向上につながるものと考えてございます。こうした認識に立ち、平成30年度は、シティプロモーションの推進、国際都市おおた協会の設立、羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成など、国際都市おおたの魅力発信につながる事業を着実に推進してまいります。
最後のご質問ですが、区財政の見通し及び予算編成についてでございます。区財政の今後の見通しといたしましては、歳入については、法人住民税の一部国税化や、年々拡大化するふるさと納税による減収、地方消費税の清算基準の見直しなど、区の財源の大幅な増収を見込むことは難しい状況にあります。一方、歳出については、公共施設の更新時期が集中することや、社会保障関係経費の増が続くことから、結果として財源不足が生じることが想定されます。
こうした厳しい状況の中、政策課題の着実な解決と財政の健全性を両立させていくためには、予算編成における財政規律の維持、資源配分の効率化、公共サービスの効率的な供給の3点を強く意識して行財政運営を進めることが重要です。区は、平成30年度予算編成に当たり、財政規律の維持に向けては、国や都の補助金を積極的に活用するなど、一般財源への影響を踏まえた新規要求事業等の財源捻出等に取り組みました。また、資源配分の効率化、公共サービスの効率的な供給に向けては、既存事業の実施方法の見直しや、スクラップ・アンド・ビルドなどの経営改革などに取り組みました。本予算をもとに、平成30年度も引き続き区民生活の向上に資する各種事業を着実に推進してまいります。私からは以上でございます。
◎後藤 こども家庭部長 私からは、待機児童対策に関するご質問にお答えいたします。
初めに、現状の認識についてのご質問ですが、区では、平成29年度の取り組みで、認可保育園21施設ほか計24施設を整備し、約1200名の定員拡充を図りました。現在、1次申請の段階ですが、昨年度同時期と比較して、保留者数は338名の減となっており、今年度の定員拡充効果が認められるものの、議員お話しのとおり、基準指数22点以上のいわゆるフルタイム就労の申請者の中で保留者が出ており、まだまだ区民の保育ニーズに十分に応えられていないというふうに認識しております。
次に、保育ニーズのピークとその対応についてのご質問ですが、1次申請時点の認可保育園の申請数は依然増加しており、保育ニーズのピークは次年度以降になるものと考えております。なお、来年度の待機児対策では、今年度の取り組み効果に加え、出生数や妊娠時における保護者の就労状況などから保育申請の増加分を見込んで、約1000名の保育サービス定員の拡充を計画しております。引き続き、保育ニーズのピークを踏まえ、需要に見合う保育サービスが確実に提供できるよう、区を挙げて取り組んでまいります。私からは以上です。
◎水井 教育総務部長 私からは、まず、私立幼稚園についてのご質問にお答えいたします。
私立幼稚園の保育時間が保育園並みの長時間になれば、質の高い幼児教育の魅力から、保護者の人気をさらに集めるメリットがあると考えております。また、定員に余裕のある私立幼稚園の施設や人材を活用することは、保育園の待機児解消にとっても有効でございます。ところが、定員に余裕のある私立幼稚園の中には、実際の園児数に合わせて職員体制を縮小し、定員まで受け入れることが難しくなっている園もございます。そこで、平成30年度予算案には、長時間預かり保育のための人件費に加えて、園児数が増加して経営が安定するまでの期間の教員増員分の人件費補助の経費を計上しております。私立幼稚園において、保育園並みの長時間預かりを推進することは、私立幼稚園の経営の安定化と保育園の待機児解消に資する取り組みになると考えております。
次に、教員の負担軽減のための業務の整理や効率化についてのご質問ですが、平成30年度予算案に計上している副校長補佐の配置に当たっては、各校に学校経営支援部を設置し、事務処理など業務の見直しをあわせて行うこととしております。今後は、教育委員会から学校への調査の簡素化など、小さな工夫を重ねることもあわせ、教員がゆとりを持って指導に当たることのできる環境整備に努力してまいります。
○大森 議長 教育総務部長、所定の時間が来たので、答弁の途中ですが、終了してください。
会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後3時11分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時35分開議
○大森 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。36番福井亮二議員。
〔36番福井亮二議員登壇〕(拍手)
◆36番(福井亮二 議員) 日本共産党の福井亮二です。住まいは人権の観点で質問を行います。
1月26日、東京都は住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査結果を発表しました。都内インターネットカフェ、漫画喫茶等で1日のオールナイト利用者概数は1万5300人。「住居喪失」を理由とする利用者は25.8%、利用者の4人に1人が住居喪失者、この75%が派遣労働、請負、パート、アルバイトなど、いわゆる非正規労働者です。実際に蒲田駅近くにある漫画喫茶には1週間パックというものがあり、1週間1万3900円となっていました。このような利用は、漫画を読むために泊まるのではなく、住居がわりになっていることのあらわれです。
国の戦後の住宅政策は、今日まで一貫して持ち家主義政策を行ってきました。今年度の国の住宅予算は一般会計予算のわずか0.16%、1587億円しかなく、その中でも、持ち家のための予算は約600億円に対し、公的住宅への予算は115億円です。公的住宅をほとんどつくらず、長年の持ち家主義政策の結果、国際比較をしてみますと、公的住宅の割合は、イギリス19%、フランスは17%に比べ、日本はわずか4%しかありません。圧倒的に不足しています。
今、不安定雇用が増える中で、住宅ローンを組み、家を買うことがどれだけ困難なのか明らかです。自民党政治が行ってきた公的住宅を増やさず、持ち家主義政策に固執し、アベノミクスでの不安定雇用の増大が、今日の住まいの貧困を生み出しています。
「住まいの貧困」に関する問題の背後には、「住居の確保は自己責任である」という間違った価値観にあることです。住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台とも言うべきものです。住まいが権利であることは、世界人権宣言や、日本政府も批准している国際人権規約でも認めています。「民間任せ」、「自己責任」を基本とする住宅政策を「住まいは人権」との立場に立った政策に、国、地方自治体が保障する政策に転換することこそ求められています。
大田区の住宅マスタープランの最大の問題点は、住宅施策に公共住宅の維持管理、空き家活用、民間誘導であり、公共住宅の増設がないことです。区内の状況を見てみますと、区営住宅は、2015年度、募集戸数21戸に対し、申込者数1345人、倍率64倍、2016年度は25戸に対し1276人、倍率51倍、2017年度は25戸に対し1159人と倍率46倍となっています。
住まいは人権であり、自己責任ではなく、国や大田区が保障しなければなりません。公営住宅法では、「地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」とあります。居住喪失不安定就労者の状況や区営住宅の倍率を見れば、低額所得者の住宅不足は明らかです。公営住宅法に則って、民間任せにせず、一番身近な自治体である大田区が区営住宅の増設を行うべきです。お答えください。
改正住宅セーフティネット法は、不十分な点も多くありますが、一定の枠組みがあります。改正法の附帯決議では、「公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること」とあります。また、国交大臣は、基本方針で「公営住宅を含む公的賃貸住宅及び登録住宅の供給の目標を定める」こととしています。そして、定量的な目標とすること、数値目標を持つことが望ましいと述べています。大田区住宅マスタープランでは数値目標がありません。
そこで質問します。大田区として、公営住宅を含む公的賃貸住宅及び登録型住宅の供給の計画と目標を持つことを求めます。お答えください。
次に、安心して住み続けられる大田区にするためにいくつか伺います。
まず、高齢者の住宅問題です。
高齢者等住宅確保支援事業など、大田区も事業を行っていますが、大田区を「ついのすみか」となるよう、区民を支えるための支援をぜひ行っていただきたいと思います。
昨年、知人が大田区から川崎市に引っ越しを行いました。理由は、高齢者集合住宅に入居するためでした。自分のことは自分で決め、仲間とお互いに助け合うこと、生活は、朝食のみ各自がつくって食べ、夕食はスタッフが交代でつくります。建物は3階建て、1階は、食堂、リビングなどの共同部分、2階、3階が各個室で約25平米あります。しかし、入居金は300万円、月費用は15万5000円(食費、家賃、共益費等)です。この方は健康で、介護認定はされていません。将来への不安から共同生活を選択されました。実際にこのような方は増えています。
大田区に住み続けられるために、高齢者集合住宅、高齢者シェアハウスへの設立、運営のための支援を求めます。お答えください。
次に、家賃助成について伺います。
家賃は家計支出の大きな部分を占めます。以前、生活相談を受けたときに、その方は88歳の女性で、10年前に夫を亡くされて、遺族年金の月6万8000円で生活していました。家賃は5万円、貯金を取り崩して生活をしていました。300万円あった貯金がわずか5万円、アパートの更新料が払えないということで、私のところに相談に見えました。私は、生活保護の制度を紹介して、申請するように勧めましたが、その女性は生活保護を申請するのを拒みました。その女性の言葉が今も忘れられません。「国に迷惑をかけたくない、長生きして申し訳ない」、このように話されました。本来、長生きは喜ばしいことではないでしょうか。長生きして申し訳ない、こう言わせる社会に未来はありません。
親の家に身を寄せるしかない非正規雇用、低所得者の若者も増えています。年収200万円未満の若者では、親との同居率が77.4%に達しているといったデータもあります。若者の状況を見ると、例えば公務員の給与は、民間企業の給与と均衡させることを基本にしていますので、大田区の職員の場合で見てみますと、高卒の場合、手取り額で月14万7428円です。一般的には、家賃は月の手取りの3割が上限とされていますので、家賃が4万円前後となります。しかし、大田区の家賃相場は、区内の不動産関係の方に聞きましたが、ワンルームで約7万円、1Kで約8万円です。このように家賃相場と賃金に大きなギャップがあります。これでは若者が大田区に部屋を借りて住むことは困難です。
大田区住宅マスタープランでは、「若年世帯や若い子育て世帯が地域に定住できる住宅供給の誘導をする」とあります。しかし、事業者等に対して誘導するだけであり、実現の担保がありません。若年世帯に大田区に住んでもらうために、高齢者世帯が大田区に住み続けられるようにするために、家賃助成は必要だと考えます。
高齢者の家賃助成は、大阪の摂津市、茨木市、高槻市、埼玉県吉川市などで月5000円から1万円の助成を行っています。新宿区では、学生及び28歳までの勤労単身者に月1万円、義務教育修了前の子どもがいる世帯には月3万円の家賃助成を行っています。千代田区、目黒区、豊島区などでも家賃助成を行っています。大田区でも、高齢者・ファミリー世帯への家賃助成を行うことを求めます。お答えください。
昨年10月に改正住宅セーフティネット法が施行されました。改正法は、低額所得者、被災者、高齢者、障がい者など、住宅確保要配慮者に空き家を安く貸し出すことを目指すものですが、家賃の低廉化助成は法律に書き込まれず、予算措置だけにとどまり、住宅困窮者に対する居住保障を行う法律にはなっていません。しかし、制度事業の中で、登録住宅の改修や入居者への経済的支援があります。この制度を活用するためには、要配慮者の入居を拒まない登録住宅をいかに増やすかがポイントになります。また、登録住宅には、入居者負担軽減として最大年24万円の補助があります。そのため、全国では、居住支援協議会が各地で設立をしています。地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体等が連携し協議会を設立し、情報共有、連携し、登録住宅の紹介、あっせんや、家賃債務補償制度の紹介などを行っています。昨年の9月時点では、69の協議会があり、23区内では、世田谷区、杉並区など7区が設立をしています。大田区でも早急に居住支援協議会の設立を求めます。お答えください。
脱法・違法ハウスの問題が以前テレビで取り上げられました。倉庫などを改造して、一つの部屋を三つにベニヤで仕切り、1.6畳で、光熱費込みで2万9000円、鍵つきの場合はプラス5000円。部屋にあるのは寝袋と照明スタンドのみ。青年は、派遣で手取り11万円。交通費は持ち出し、いつも帰宅は10時過ぎ、食事はスーパーの見切り品。携帯代を払うと残りは2万円しか残りません。その青年は「まともな家に住めないのは自分が悪いので仕方がないこと。友達もいないし、寝るだけなので十分」と話しているシーンが印象的でした。劣悪な環境がこの青年の幸福追求権を諦めさせています。このような青年を生み出す社会は間違っています。
そして、住居に友達が来て、会話ができる普通の生活をするためには、一定の居住面積が必要です。住生活基本計画では、最低居住面積水準を決めています。最低居住面積水準とは、健康的で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積水準であり、単身者の場合は25平米、2人世帯の場合は30平米です。しかし、この青年の場合は、わずかに2.5平米。仕事をして帰って寝るだけの生活であり、文化的な生活ではありません。住宅マスタープランでは、25年度、最低居住面積水準未満の住宅は区内で20%あり、平成30年度にはほぼ解消を見込むとしています。
そこで質問します。この最低居住面積水準を守らせること、改善させることは、生活をするうえで必須です。業者に対し、最低居住面積水準を遵守させ、誘導居住面積水準に引き上げるための手だてを具体的にお答えください。
次に、住宅リフォーム助成について伺います。
この制度は、区民から大変に喜ばれている制度です。しかし、昨年12月1日、5回目の申請日の午後2時に完了となり、大田区のホームページに「お知らせ」として、「平成29年度住宅リフォーム助成事業は予算額に達しましたので受付を終了致しました」とありました。我が党にも、リフォーム助成を受けたかったとの相談がありました。
住宅リフォーム助成は、当初予算で、2015年度は4000万円、2016年度は5000万円、2017年度は6000万円と増額をしていますが、それでも足りず、補正予算や流用で対応しています。この傾向を見るのであれば、新年度は400万円増額の6400万円を計上していますが、これでは新年度も年度途中に予算額に達し、受け付け終了になることは十分に考えられます。
そこで質問します。住宅リフォーム助成の予算増額及び助成率の引き上げを求めます。お答えください。
近年多発する局所的集中豪雨に対し、東京都が対策を行っていますが、昨年8月、区内でも床上・床下浸水が発生しました。一番大きい影響が出たのは上池台三丁目・五丁目地域でした。地域を回り、話を伺う中で、わかったことがありました。それは、昔から住んでいる方は一定の対策をとっていて、被害が軽減されていましたが、比較的住んでいるのが浅い方は対策が不十分のため、被害が出ているケースが見受けられました。
以前、浸水被害を受けた方からお話を伺いました。戸建てを購入して1週間後に半地下の駐車場から浸水被害を受けてしまいました。業者から何の説明もなく、対策をしていなかったので、床上浸水の被害が出てしまい、完全にもとに戻すのに1か月かかったそうです。
住宅を購入することは、住民にとって一生の買い物と言っても過言ではありません。区民の命、財産を守ることは区の仕事です。住宅マスタープランでは、「浸水に対して脆弱な地下室や半駐車場などを持つ住宅所有者に対する注意を要することなど、積極的にPRしていきます」とありました。品川区では、「建築主・設計者のみなさまへ」と題し、「浸水被害のあった土地や浸水するおそれのある土地では、できるだけ半地下家屋や地下室を設置しないようにお願いします。やむを得ずに設置する場合は、あらかじめポンプ施設の設置や止水板の設置等の対策を行うようにお願いいたします」と指導しています。さらに、浸水被害の軽減を図るために、防水板の設置費用の一部を助成しています。個人は工事費の4分の3、上限100万円、法人は工事費の2分の1、上限100万円となっています。
そこで質問します。建築する際、設計業者から建て主に説明を義務づけることなど、説明責任を強化すること。また、大田区でも止水板の設置費用の助成を求めます。お答えください。
先ほどの都の調査の中で、ネットカフェ等の利用者のうち、居住確保については、約25%が「『居住』を確保したいと思わない」と答え、約半数が、「確保したいが、具体的な行動をしていない」と答えています。今の現状、その日の暮らしが精いっぱいであり、1年後、10年後の将来を展望することを諦めています。自分の可能性を否定しています。これでは日本の社会の発展はありません。このことは青年の責任ではありません。将来に展望が持てない政治の責任です。
根本には、低賃金、不安定雇用、長時間過密労働などの問題があります。我が党は、最低賃金の引き上げ、労働者派遣法の抜本的見直しなどを国会で求めています。格差と貧困を広げるアベノミクスをやめ、一人ひとりが大切にされる国民が主人公の政治。安心して住み続けられる社会にするために、再度、区営住宅の大幅な増設を要望し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎黒澤
まちづくり推進部長 私から、住宅施策を含む八つの質問につきまして、順次お答えいたします。
まず第1に、区営住宅の増設についてのご質問ですが、平成25年に国が実施いたしました住宅・土地統計調査によりますと、区内には、状態のよい賃貸用の空き家が約3万9000戸あると推定されております。区は、既存住宅の流通と空き家の利活用を促進することを基本といたしまして、賃貸住宅への入居に困難が伴う住宅確保要配慮者の方々の円滑な入居への支援を充実させることが重要と考えており、区営住宅を増設する予定はございません。なお、区営住宅のうち約67%が昭和55年の旧耐震基準以前に建設された住宅でございますので、老朽化に伴う改修、建て替えについては、区営住宅等長寿命化計画に基づき、適切に行ってまいります。
次に、区営住宅の供給計画と供給目標についてのご質問ですが、先ほどご答弁申し上げましたように、区営住宅を新たに供給する予定はないため、区営住宅の供給計画と供給目標を定める予定はございません。なお、公営住宅の供給計画と供給目標につきましては、国と都道府県が住生活基本計画に定めることとされております。また、登録住宅に関しましては、平成29年10月に施行されました改正住宅セーフティネット法に基づく登録として、都道府県で受け付けることとなっており、その登録目標は、東京都が住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画の中で示すこととなっております。東京都が現在策定中のこの供給促進計画案では、高齢者等の入居を拒まない住宅要配慮者(要配慮者賃貸住宅)につきましては、3万戸の登録目標を設定しております。
次に、高齢者住宅、高齢者シェアハウスへの設立、運営のための支援についてのご質問ですが、大田区では、空き家の活用を地域貢献の一環として位置づける空家等地域貢献活用事業におきまして、高齢者への居住支援を行う事業者を対象に、空き家のあっせんを行っております。空き家の活用が決まった場合は、一定の条件のもとに、事業者に対して、国、東京都と合わせ最大200万円までの改修工事費の助成を行っております。また、先ほど言及いたしました国の新たな住宅セーフティネット制度では、都道府県に登録された住宅確保要配慮者専用の住宅に対して、国と地方自治体が改修費用や家賃の補助を行うこととなります。東京都への登録受付は昨年10月25日から始まっており、区といたしましても、今後適切に対応してまいります。
続きまして、高齢者やファミリー世帯への家賃助成についてのご質問ですが、関西地方などで高齢者福祉施策の一環として家賃助成を行っている自治体では、賃貸住宅に住んでいる高齢者を含む所得の低い世帯に対しまして助成を行っていることを承知しておりますが、これらの自治体は、大田区に比べて公営住宅が少なく、高齢者住宅も設置しておりません。また、若年ファミリー世帯に対する家賃助成を実施している自治体はございますが、主に定住促進が目的でございます。住宅施策も自治体ごとの特色がございます。大田区は、区営住宅や高齢者住宅の戸数が多く、人口も増加しておりますので、高齢者やファミリー世帯への家賃助成を行う予定はございません。なお、23区におけるファミリー世帯への家賃助成の状況ですが、議員お話しの区も含め、4区が実施しております。また、一方、過去に実施し、現在は行っていない区が3区となっております。
次に、居住支援協議会の設置についてのご質問ですが、改正セーフティネット法に示されるように、住宅確保要配慮者の方々の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進する対策の強化が求められております。このため、行政と不動産関係団体、社会福祉法人などが連携した取り組みを進めていく必要があり、居住支援協議会の設置は、その有効な施策の一つであると考えております。今後、区は、居住支援協議会の設置に向け、鋭意準備を進めてまいります。
続きまして、居住面積水準についてのご質問でございますが、議員お話しのとおり、住生活基本法に基づき、国が策定した住生活基本計画において、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅面積が最低居住面積水準として定められております。面積は、単身者で25平米、2人世帯で30平米、以下、1人増えるごとに10平米の加算となっております。また、同計画には、豊かな住生活実現の前提として、多様なライフスタイルに対応するため必要と考えられる住宅面積水準も誘導居住面積水準として定められております。区といたしましても、住生活基本計画に定める最低居住面積水準が守られるよう、地域力を生かした大田区まちづくり条例に基づき、単身者向け住居の面積を25平米以上とするよう指導しております。なお、指導に従わない一部事業者に対しては、今般、まちづくり条例の改正により罰則規定を設け、指導の強化を図っているところでございます。また、都の安全条例の強化も現在働きかけております。また、区営住宅の入居者募集の際には、誘導居住面積水準をもとに、住宅の広さに応じた入居人数を設定してございます。
次に、住宅リフォーム助成についてのご質問ですが、昨年度と今年度の実績を勘案して、新年度予算案は400万円増の6400万円を計上させていただいております。安全・安心で環境に優しい住まいづくりに資するとともに、区内中小事業者の仕事を確保し、地域経済の活性化を図るため、今後も事業を推進してまいります。なお、多くの区民の皆様に制度をご利用いただき、助成件数を増やすことが重要ですので、助成率の引き上げは考えておりません。
最後に、浸水対策における止水板設置助成などの取り組みについてのご質問にお答えいたします。台風や、近年頻発するゲリラ豪雨による浸水への対策は区の重要な災害対策であり、近年増加する地下室などへの浸水被害の防止も課題でございます。ご指摘の設計業者への説明責任強化ですが、建築士法により、建築士は、公正かつ誠実に業務を行うこととされ、建て主に適切な説明を行うこととされております。区は、設計者に対して適切に情報提供を行うとともに、止水板の設置を含めた地下室などへの浸水対策について、区報や区のホームページでの広報を積極的に行っております。また、誰もが利用できる土のう置き場を区内21か所に設置し、浸水防止に活用いただける体制を整えております。止水板の設置費助成を実施する予定はございません。私からは以上でございます。
○大森 議長 次に、39番黒川 仁議員。
〔39番黒川 仁議員登壇〕(拍手)
◆39番(黒川仁 議員) 大田区議会民進党の黒川 仁と申します。
明石順平さんという弁護士の方が昨年10月に「アベノミクスによろしく」という本を出されました。アベノミクスは民主党政権時代の経済政策よりはましだろうと思った明石さんは、数字を精査してみると、実際に賃金上昇を伴わない悪性インフレを招き、民間の需要を冷え込ませている実態がわかったといいます。民主党政権時代とアベノミクスのそれぞれの約3年間を比較しても、現在の実質GDPは当時の3分の1しか伸ばせなかったことなどを隠すためなのか、2016年にGDPの算出方法を改定したり、日銀やGPIFによって株価が安定的に維持されていることで、国のトップは経済政策の成果を強調しています。しかし、持っているお金が増えて、買いたいものを買わなければ、景気はよくなりません。景気を上げようという心意気は評価すべきですが、アベノミクスが区民に与える影響には冷静な分析が必要であります。
本題に入ります。
まず、教育と学習支援について質問いたします。
先日、小黒教育長が所信表明をされました。長年現場にいらした方が大田区の教育行政のトップをされることに期待しております。お話の中でも、子どもたちの目線で学校を楽しい現場にしていく。そして、地域とつながっていくことの必要性にも触れられ、同じ思いを強く持っております。「最もすぐれた教師は子どもの心に火をつける」とおっしゃいました。
そこで質問いたします。子どもの心に火をつける教師とつけられない教師は何が違うのでしょうか。教育委員会の見解を伺います。
私も小中学校は公立に通いました。教室の中で児童に縄跳びを跳ばせる小学校の先生や、授業の教え方が非常に上手でしたが、放課後、なぜかすぐ帰る中学の先生、軟式のボールを木のバットでノックして、生徒にひたすら横跳びをさせる情熱的な野球部の先生など、印象に残っております。
心に火をつけるためには、先生が誰に対しても対等に接して、子どもそれぞれの特性を理解し、目立たない子どもにもしっかりと目が行き届くことも大切であると思いますので、楽しい学校をつくっていただきたいと思います。
次に、学習支援について質問いたします。
現在、大田区全域に広がり、生活困窮世帯に対する学習支援は成果を上げています。非常に大きな期待を寄せる一方で、予算も、国との折半とはいえ、約3500万円と大きいものであります。しっかりと効果・検証をする必要があると思います。
まず、現時点で見えてきた効果や課題について質問いたします。
とにかく成績を上げることだけが支援のポイントでないことも理解できます。そして、個人情報も絡むので、学校や教育委員会などとの連携は厳しいこともわかりますが、大きな予算を出す以上は、細かい報告を求めることも大切でありますし、地域の学習塾や青少対などを巻き込んで、地域で子どもを支援する体制にすること、そして、この支援のはざまに落ちた子どもをしっかりと拾い上げることを強く要望しておきます。
次に、まちづくりについて質問いたします。
池上駅周辺では、東急駅舎建設と相まって、商店街の店舗の建て替えや、住宅地でも新たなマンションの建設ラッシュが続いております。今まで1か所の出口から、徳持南町会側にも出口ができることで、人の流れが大きく変わってまいります。
私は、初当選以来、言い続けておりますけれども、この東急駅舎建設に合わせて、池上駅周辺の歩行環境の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、それに関連して、新たな駅舎には図書館など公共施設も入ります。今現在ある図書館の場所をどう活用していくのか、大田区として早急に考えていく必要があります。区の見解を伺います。
ツタヤの前の違法駐輪もひどいものがあります。池上総合病院の入り口周辺には、日中、違法駐車が後を絶ちません。病院に行くから仕方ないこともわかりますが、発災時には緊急車両や急を要する方々の出入りを妨害する可能性もありますので、改善を求める必要があります。
そして、今現在、図書館が位置する徳持北町会には、町会内に町会会館も公園もありません。図書館前のいびつな十字路も再整備が必要と考えます。シャッターをおろし続ける店舗も少しずつ増えております。これらは防災上も子育て環境上も非常に問題であると思いますので、池上駅周辺の歩行空間の拡張、再整備を強く要望します。
次に、観光について質問いたします。
毎回申し上げますが、スナック、餃子、ゴジラなど、ターゲットを絞って、そこに資源を集中させることが急務であります。これら全てに言えるのは、まず、民間、区民の方々のやる気が大前提ということであります。
今年度、川崎市との連携で、アンダージェットや工場夜景のクルーズが実施されたり、シン・ゴジラバスツアーなどが企画されています。どのような経緯で企画され、大田区にどのようなメリットがあるのか、そして、川崎市との連携は今後どう展開していくのかを質問いたします。
羽田空港・川崎工場夜景クルーズは、いよいよ明日開かれますが、両自治体の強みを活かしたすばらしい企画であると思います。これだけすぐれた企画は民間だけでできる気もしなくはないですが、料金が上がらないように、しっかりと行政として下支えを続けていただきたいと思います。
最後に、スポーツについて質問いたします。
平昌五輪が盛り上がっておりますけれども、来年はラグビーのワールドカップ、そして再来年は東京オリパラと、大田区にも多くの観光客が来訪することが考えられます。これは先ほどの高山さんとのほぼかぶりますけども、東京2020を支えるボランティアは想定で約11万人とも言われ、年々、想定する数値が大会経費の総額とともに増加しております。
そこで質問いたします。大田区でも人材育成が急務であります。その前提として、様々な部署で頑張っていただいているボランティアの方々を、有償、無償問わず、一元的に把握して、参加を促すことが必要であります。加えて、ボランティアの活動を支援するために、ICTを活用することが有効であると考えますが、大田区の見解を伺います。
社協や、観光、防災、被災地支援など、様々なボランティアの方々の英知を結集して、大会を成功に導いていくべきであります。今後、国際都市おおた協会でも人材育成に力を入れて、micsの国際交流ボランティアの協力も必要になってまいります。そして、都と区のボランティアが分断されることがないよう、強くお願いしておきます。
最後に、スポーツ施策について質問いたします。(発言する者あり)2点目です。すみません。
今月開催されたスポーツ推進委員の定例会では、アンケートの実施について説明がありました。スポ進の協力のもと、各地区における働き世代の方々を対象として、「早朝時間でのスポーツに関するアンケート」を実施されています。まず、このアンケートの狙いについて質問いたします。
子育て世代のスポーツ実施率向上には、早朝のスポーツも大切ではありますが、深夜帯でありますとか土日の早朝など、区内のスポーツ施設を利用可能にすることも検討いただきたいと思います。そして、子育て世代が広く区行政に関心を持ってもらうという意味では、先ほどの池上の駅舎の図書館の閉館時間を遅らせるなど、ぜひ検討していただくこともお願いして、質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎近藤 観光・国際都市部長 川崎市との連携事業及び今後の事業展開に関するご質問にお答えをさせていただきます。
区は、平成25年に川崎市と産業に関する基本協定を締結し、観光面でも連携事業を行ってまいりました。今年度は、羽田空港、川崎の工場夜景を船から楽しむクルーズと、映画「シン・ゴジラ」のロケ地をめぐるバスツアーを企画したところでございます。平成29年4月にオープンした大森ふるさとの浜辺公園船着場を利用して、城南島、京浜島など、羽田空港周辺のスポットをめぐるツアーは初めての試みで、大田の水辺や空港の魅力発信に資するものと考えております。
映画「シン・ゴジラ」は、平成28年度の映画公開時に、商店街のゴジラフラッグ掲出や、銭湯でのポスター展示など、関係者の皆様のご協力により、様々な事業展開をできたところでございます。同映画は、昨年、地上波で放送され、今なお人気があり、知名度の高い映画でございます。本区と同じくロケ地となりました川崎市と連携し、ロケ地をめぐる付加価値の高いツアーを実施することにより、これまでにない新たな魅力の創出と、大田区への誘客、PRが図れると考えております。これらの事業の検証をしっかり行い、今後も両市区の観光資源及び広域連携のメリットを活かした事業展開を努めてまいりたいと考えておるところでございます。以上でございます。
◎町田 スポーツ・文化担当部長 私からは、二つの質問にお答えをいたします。
まず、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたボランティア事業に関するご質問ですが、区では、観光案内による区の魅力発信や、ブラジル事前キャンプの支援のため、観光、スポーツ、国際交流の分野で独自のボランティアを募集し、区内で活動してもらうことを計画しております。区独自のボランティア活動を効果的に運営していくためには、既に区内で活動しているボランティアの活動状況を幅広く把握していくことが必要と考え、ボランティアとの協力関係のある団体と情報交換を始めておりますが、3分野のボランティアと既存のボランティアがどのように連携していくかなど、調整が必要になってくるものと思っております。また、議員お話しのとおり、大会に向けたボランティア活動への参加を促し、区民の意欲を高めるため、本年7月にはボランティアをテーマとしたシンポジウムを開催する予定にしております。ICTの活用につきましては、多言語での翻訳が可能なアプリケーションがあるほか、地図情報の提供等、外国人、観光客への有効性が見込まれることから、利用方法について検討をしてまいりたいと思っております。
次に、「早朝時間でのスポーツに関するアンケート」の狙いに関するご質問ですが、区では、新たなスポーツ推進計画の策定に当たり、昨年度、「大田区民のスポーツニーズ調査」を実施いたしました。その中では、「この1年間に、運動やスポーツを行うときに困った問題」として、「時間の不足」を挙げた方が最も多い割合を占めてございます。その結果を踏まえまして、新たにスポーツに振り向けられる時間について検討し、早朝の時間帯を活用していくことが有効ではないかと考えております。
「早朝時間帯でのスポーツに関するアンケート」は、早朝の時間帯が活用できるかをより深く調査するもので、効果的な施策展開を図ることを目的としてございます。アンケートの実施に当たっては、スポーツ推進委員の皆様にご協力をいただいております。アンケートの結果を踏まえまして、区民の皆様方が時間を有効に活用し、スポーツの楽しさに触れ、運動習慣のきっかけづくりになるような事業を検討してまいります。以上でございます。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、子どもの学習支援事業に関するご質問にお答えさせていただきます。
本事業は、子どもたちが学力を身につけ、将来の進路の選択肢を広げ、貧困の連鎖を断ち切ることを目的として実施しております。学習支援の成果といたしまして、子どもたちに学習習慣の定着が見られただけでなく、みずから課題にも取り組むなど、意欲にも変化があらわれ、昨年度は全員が無事に高等学校等への進学を果たすことができました。一方、学習支援を通じて、生活習慣の定着や社会性の育成に向けた課題も見えてまいりました。区は、引き続き、進学に向けた支援を行うとともに、進学した子どもたちが無事卒業を迎えた後も高校生活における相談を聞くなど、きめ細かく対応してまいります。私からは以上でございます。
◎飯嶋 都市開発担当部長 私からは、池上駅前の歩行者通行環境整備及び池上図書館移転後の跡地活用についてのご質問についてお答えをさせていただきます。
池上駅周辺地区におきまして、歩行者、バス、タクシーの動線が錯綜をしておりまして、さらに、狭い踏切による混雑のため、歩行者空間が十分でないということは、従前から課題として認識しております。鉄道事業者による池上駅舎改良では、駅舎が橋上化され、南口が新設されることにより、踏切の混雑が緩和されることや、駅舎の壁面後退による歩行者通路の確保など、駅前における歩行者空間の拡充が期待をされております。区としましても、さらに歩行者の安全性を高めるために、地元関係者、交通事業者、道路管理者等と連携し、誰もが安全、快適に移動できる歩行者空間の創出と魅力あるまちづくりを目指してまいります。なお、現在の池上図書館が移転した後の跡地につきましては、その活用方法について、地元の意見等も踏まえながら、関係部局間で検討を行ってまいります。私からは以上でございます。
◎水井 教育総務部長 私からは、「子どもの心に火をつける教師」についてのご質問にお答えいたします。
子どもの心に火をつけるすぐれた教師とは、子どもが学習や生活のあらゆる場面で努力や挑戦を続ける、子どもの意欲を引き出す教師のことを表現しております。「子どもの心に火をつけるすぐれた教師」に必要なことは、使命感、熱意と、一人ひとりの子どもへの深い理解、意欲を引き出す確かな指導技術、そして人間性でございます。子どもをひきつけ、意欲を引き出すためには、まず教師自身が教育への使命と熱意を持っていなければなりません。常に子どものことを第一に考え、研さんに励むこと、子どものために行動することをいとわぬ姿勢が大切です。次に、子どもを正しく導くためには、子どもへの深い理解が必要です。一人ひとりの子どもの性格や家庭環境、考え方を把握する努力、コミュニケーション能力が大切です。第3は、子どもの興味や関心を掘り起こす確かな指導技術を持たなければなりません。教材、教具、授業展開、板書、発問などを工夫して、子どもの興味を掘り起こし、学習意欲を高める確かな指導技術を身につけることが必要です。最後に、子どもが挑戦し、成功したことを自分のことのように喜ぶ人間性です。子どもの心に寄り添い、共感することで、子どもとの信頼関係を築き、みずからもそれを喜びとする感性を持たなければなりません。以上、四つの資質を備えることが教師にとって大変重要であると考えております。
区立小中学校の全教室に掲示している「おおたの子どもポスター」の冒頭には、「意欲あふれる学びの場をつくります」という言葉があります。子どもの意欲を引き出す教育をさらに進め、教育委員会は教師の指導力の育成に最大限の努力を重ねてまいります。
○大森 議長 次に、46番野呂恵子議員。
〔46番野呂恵子議員登壇〕(拍手)
◆46番(野呂恵子 議員) 最後ですけれども、よろしくお願いいたします。
2006年、経済協力開発機構は、日本の相対的貧困率がOECD加盟国で米国に次ぎ2番目に高いと発表し、日本の子どもたちの貧困、ひとり親家庭の相対的貧困率の高さなど、大きな衝撃を日本社会に与えました。2013年6月、親から子への貧困の連鎖を断ち切ることを目指した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」がようやく成立し、生まれ育った環境によって子どもの将来が左右されることがないよう、教育の機会均等の対策を国、地方自治体の責務で行うことが義務づけられ、翌年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」に子どもの貧困率や生活保護世帯の子どもの高校進学率など、指標の改善が盛り込まれました。しかし、親の所得格差は拡大し続け、子どもたちの置かれた状況は依然深刻です。
大田区は、子どもたちの経済的困窮に起因する生活困難を把握するため、全国の自治体の中でも早期の2016年に実態調査を行いました。調査結果から、生活困難層の課題、ひとり親家庭の厳しい生活実態などが判明しましたが、私は、特に生活困難層の46.8%の子どもたちが「自分は価値のある人間だと思わない」という自己肯定感の低さに、子どもの声に愕然といたしました。翌年6月には「おおた子どもの生活応援プラン」を策定しましたが、子どもの健やかな成長を願う区民の自主的な学習支援や子ども食堂の大きな力、先駆的な区民団体と連携した具体的な行政の取り組みが今後どのように展開されるか、待ったなしの日々です。
区内4か所で学習支援を行い、高校進学の生徒が少しずつ増え、2018年度予算には、さらなる子どもの応援プランが計上されました。しかし、子どもの生活応援プランのはざまで見落としがちな課題もあります。それは東京都が実施した「子供の生活実態調査」結果からもわかりました。東京都は、小中高校生、そして、15歳から23歳までの青少年の2段階に分けて調査を実施しました。そこから見えてきた若者の姿は、若者が属する14.9%の世帯が低所得であり、若者が持ちたいけれども持てないものとして、「自分に投資するお金」、「家の中で勉強できる場所」を挙げていました。経済的理由で大学進学を諦めなくてもいい自分への資金、狭くてもいいから集中して勉強する部屋が欲しいと声を上げていたのです。「学校をやめたくなるほど経済的に悩んだことがある」若者が15%を超え、特にひとり親世帯が21%と高いのです。しかも、経済的理由で大学に進学する割合が低いにもかかわらず、ひとり親世帯は支援制度の認知度が低く、福祉事務所への相談はわずか3.9%にすぎず、相談する相手や場所がないと回答した方が1割もおいでになりました。
先日、私は、大学合格を果たしたひとり親家庭を訪ねました。母親は中国残留帰国者の2世です。来日後、日本語を懸命に覚え、介護ヘルパー資格を取得して働き、不足分は生活保護を受け、高校3年生の娘と6畳と4畳半、2間の都営住宅で暮らしてきました。戦争でつらい思いをし、ようやく帰国を果たした中国残留婦人の母親は区営住宅で暮らしてきましたが、脳梗塞で倒れ、要介護5になってしまったため、都営に連れてきました。娘の部屋を祖母の介護用に提供し、介護ベッドや車椅子でいっぱいになった部屋、大学受験を前に集中して勉強できる環境ではなくなりました。そこで、祖母の区営住宅で帰宅後に勉強に励み、ついに推薦で大学合格を勝ち取ったのです。しかし、今年6月には区営住宅の明け渡しが通知されました。
生活保護世帯は、高校卒業後、自立が求められ、就職が基本です。18歳で世帯分離され、保護費が打ち切られ、授業料、通学定期代、学習経費、生活費など、大学進学経費は全て本人が賄わなければならず、厳しい現実に大学進学を諦めるとまで言い出した娘に、何としても大学を卒業してほしいと語りかける日々が続きました。ケースワーカーの方も真摯に相談に乗ってくださり、授業料は月額8万1000円の奨学金で払い、生活費等は全てアルバイトをすることにしたのです。高校卒業までの期間を利用して、現在、介護ヘルパーの資格取得の講習を受けています。4月以降、平日は大学へ通い、土日、祝日は介護施設で働きながら学ぶためには、介護事業所の理解が必要ですが、4年という歳月の長さ、苦労だけではなく、就職時点で多額の奨学金返済という現実も待ち受けています。
「貧困の連鎖を断ち切る」、国はそう明言して法律をつくりましたが、この娘のように、努力を重ねている多くの若者、全ての学びたい学生が安心して教育を受けられる支援がまだまだ乏しく、制度が不十分なのです。それは、生活保護世帯だけではなく、低所得者、ひとり親家庭、あるいは多子世帯など、ボーダーと言われる世帯も同様です。
先日、日本学生支援機構は、奨学金返済が滞った自己破産が延べ1万5000人に及ぶと発表し、その内訳は、本人が8108人、親や親戚など連帯保証人が7230人でした。支援機構では、返還猶予として、奨学金の利率を10%から5%へ引き下げ、返還猶予の利用期間を5年から10年に延ばす制度改正をいたしましたが、2019年4月以降、猶予制度期間が切れるため、現在、猶予制度を利用している約10万人に影響を及ぼし、自己破産するのではないかと指摘されています。
また、膵臓がんにより39歳で亡くなられた方の両親に学生支援機構から奨学金返済請求があったと報道がありました。185万円の奨学金のうち、80万円を返し、亡くなり、死亡後8年の請求額265万円には、亡くなられた後の延滞金まで含まれていたのです。死亡した時点で、支援機構からすぐにご両親に連絡があれば、延滞金は生じなかったはずです。裁判に訴え、若干減額されたそうですが、結局、年金生活の両親が89歳まで月額2万円を返済し続けるのだそうです。
晴れて社会人という希望ある一歩を踏み出す時点で多額の奨学金返済を背負う学生がこれほど増加している日本で、貧困の連鎖を断ち切るために学びたいと願う若者の背中を押してあげる政策を今こそ制度化しなければ、少子化に向かう社会で、社会保障の安定的な担い手、高齢化社会を誰が支えるのでしょうか。
そこで質問いたします。まず、区民のご寄付により設立した末吉育英奨学基金、給付型奨学金についてです。平成26年第2回定例区議会で末吉育英基金が提案され、多くの子どもたちが返済を必要としない奨学金に助けられてきました。しかし、その原資は少なくなっており、今後の存続をどのようにお考えでしょうか。
昨年の第3回定例会の決算討論において、私は、給付型奨学金の継続を求め、その原資として、ふるさと納税の活用について触れました。大田区の2015年度のふるさと納税減収額は1億6000万円、2016年度、7億4000万円、今年度、13億6000万円と、サービスは自治体から受けながら、税金が他の自治体へ出ていく緊急事態の中、自分が住む自治体にも可能なふるさと納税を区民に訴え、子ども支援に回すことは、多くの区民の理解を得るのではないでしょうか。
例えば文京区は、ふるさと納税を原資に、クラウドファンディングとして寄付をいただき、子育て支援課がNPOと協働でこども宅食を始めました。就学援助を受けている約1000世帯、そして、ひとり親家庭に、就学援助のご案内と同時に、宅食のチラシを同封し、今年度、140世帯の募集に458世帯の申し込みがあったそうです。年間2000万円の目標に対し、この1月15日時点で、2297名の区民、そして、区外の方から7995万6000円のご寄付をいただき、2か月に1度、約10キロ相当の食材を宅食しています。配送は、高齢者支援など社会貢献事業に広く取り組んできた事業者が担っており、その配送職員の研修についてはNPOが事前に行い、宅食の際にリスクを感じた家庭の情報は子ども家庭支援センターへ速やかに連絡し、対処するなど、まさに文京区の各部署と連携をして、生活困窮世帯の支援に取り組んでいるそうです。4月以降、600世帯に拡大し、全ての就学援助世帯の支援に向けて動き出すとのことです。
質問の2番目は、低所得・生活保護世帯の若者の進学を支えるために、支援制度等をまとめたパンフレットの作成を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。経済的理由で大学進学を諦めないよう、若者にケースワーカーをはじめとして、様々な部署の方々が具体的な制度の情報を提供し、学生時代の生活設計に早期に取り組めるようにしていただきたいと考えます。
神奈川県の多くの弁護士や司法書士などで構成しているNPO団体は、「生活保護世帯から大学・専門学校へ進学する」という名称でパンフレットを作成しました。パンフレットには、授業料とその減免制度、大学生活に必要な通学定期代、学習費、生活費などの必要経費、行政や社会福祉協議会の支援制度、奨学金の種類や今後のアルバイトなどについて、大学進学後の生活設計、卒業後の奨学金返済計画が細やかに記載されていました。神奈川県内の役所はもちろんのこと、神奈川県立高校、横浜と川崎の市立高校に無料で配布し、指導に役立てておられるそうです。また、東京都公立高等学校PTA連合会からも問い合わせがあり、100部進呈したそうです。
さらに、埼玉県では、「大学進学のための経済的支援ガイド」を作成しました。この資料は、大学の入学料・授業料減免制度、給付型奨学金、貸与型奨学金、教育ローンなど各制度の特徴を詳しくまとめ、さらに、関東を中心に各大学で実施している約1400件に上る給付型奨学金や授業料減免制度など、進学支援制度を掲載しているため、経済的に厳しいけれども、大学進学を諦めず、自分にふさわしい大学をどうやって選ぶか選択できる制度の支援です。この資料を拝見して、いかに各大学では若者の学びを支援していることか、大田区では、奨学金貸与制度が23区の中ではぬきん出ておりますけれども、国の高等教育の公費支出がいかに少ないか、それは痛感いたしました。
そこで質問いたします。区内で働く若者を支援するため、就労促進に向けた法人等と連携した大田区奨学金返還基金制度の創設を検討してはいかがでしょうか。
徳島県では、徳島県奨学金返還支援基金を立ち上げ、若者の県内就職の促進と県内産業の雇用創出の推進に向け、一定期間、県内事業所に就職した場合、奨学金の返還を支援する制度を創設しました。年間2億円の基金には、法人、企業からも寄付を募り、無利子奨学金の場合、借り受け総額の2分の1、上限100万円を助成、有利子奨学金の場合、借り受け総額の3分の1、上限70万円を助成します。高校・大学生、各100名と年間200名を対象に、昨年度は221名を認定。大学卒業後の一定期間、大田区内で働き、なおかつ、奨学金返済額が少しでも減免され、仕事を続けられることは、若者にも区内事業所にとっても大変重要です。
今回、ご訪問したご家族では、大学に通いながら介護ヘルパーとしてアルバイトいたしますけれども、例えば区内社会福祉法人の社会貢献事業として、こうした若者を支援し、なおかつ、区内で働いていただける環境の創設は重要だと考えます。
私は、2014年第3回定例区議会で、社会福祉協議会を中心とした区内社会福祉法人の社会貢献事業の必要性を質問いたしました。大阪府では、県内社会福祉法人が介護施設のベッド数に応じて、1ベッド1000円を拠出し合い、社会福祉協議会を中心に生活困難者を支援してきました。大田区でも介護ヘルパーや保育職などの人材確保が厳しい現状が続いておりますが、自治体や法人が協力し合い、大田区で働き続けたいという若者の確保と育成のための制度をつくるべきと考えます。
教育基本法第4条3項には「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない」とうたっております。行政の政策には優先的順位があることはもちろん承知しておりますけれども、全ての子ども・若者を育て抜く自治体が今後の地域活性化における要となり、大田区の未来を切り開くと確信し、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎西山 福祉支援担当部長 私からは、奨学金に関する三つの質問について、順次お答えしてまいります。
まず、末吉育英基金についてのご質問でございますが、本基金は、故人となられた区民の方からの尊いご寄付とご遺志をもとに創設したものであり、平成26年度から事業を開始しております。具体的には、この奨学金は、大学の入学準備金として1人当たり30万円を毎年おおむね40人に給付しており、現在の基金の残高は約2800万円、今後も同様の実績で運用いたしますと、あと3年で終了する見込みでございます。
我が国では、給付型奨学金を含む高等教育無償化の議論が進められておりますが、恒久的な制度実施に当たっては、税制措置等も含めた安定的な財源確保が課題となります。議員お話しのふるさと納税や特定目的での寄付などを活用し、同種の事業を実施することは、実施手法の一つと考えますが、年度間のばらつきといった財源の不安定性などの課題もございます。
なお、実際の進学に際しては、入学金や授業料以外の経費もかかり、国や各大学、民間団体等が行う奨学金などの支援を併用することにより、その費用を用意することが必要となります。区といたしましては、限りある財源の中、返還金を次の世代の貸付原資として還流させ、一人でも多くの学生を長期的かつ継続的に支援できるよう、現行の奨学金貸付制度を適切に運用してまいります。
次に、他の奨学金制度を掲載したパンフレットの作成についてのご質問でございますが、学生自身が、整理された情報の中から必要な制度を確認し、選択できることは、学生の自主性や自律性を促す観点から望ましいものと考えております。現在、日本学生支援機構をはじめ、社会福祉協議会や東京都私学財団、各大学など、様々な奨学金制度が用意されているところであり、区は、これまでも窓口や電話での相談の際、必要に応じてご案内してまいりました。議員お話しの事例のほか、全国社会福祉協議会にも、活用可能な奨学金制度の概要などを一覧として整理している事例もございます。今後は、こうした事例も参考に、必要な情報を、必要な世帯に、的確に提供できるよう、周知方法の一層の工夫を図ってまいります。
最後になりますが、奨学金返還の支援制度についてのご質問でございます。高等教育の受益は、学生本人にとどまらず、地域社会の経済や文化の発展を支える有用な人材の確保、育成にもつながることから、学生を社会全体で支えることが重要と考えます。議員お話しの徳島県のように、県内企業に就職した方に対して、日本学生支援機構の奨学金返還金の一部を助成する方式は、学生の支援と地域活性化の双方を実現する一つの手法として、注目すべき事業と捉えております。本区においても、福祉サービスの人材の確保、育成は、地域社会を支える柱の一つと考えており、学生の支援と地域社会の活性化の両立を可能とするためにどのようなことができるか模索してまいります。私からは以上でございます。
○大森 議長 以上で質問を終結いたします。
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○大森 議長 本日の日程に入ります。
日程第1を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第1
第5号議案 平成29年度大田区一般会計補正予算(第5次) ほか24件
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○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第5号議案は、平成29年度大田区一般会計補正予算(第5次)で、今回の補正は歳入歳出予算の総額から歳入歳出それぞれ56億2832万2000円を減額し、補正後の歳入歳出予算の総額はそれぞれ2599億7055万2000円となります。歳入で増額する内容は、特別区税、都支出金などでございます。減額する内容は、繰入金、特別区債などでございます。歳出で増額する内容は、総務費、環境清掃費でございます。減額する内容は、福祉費、土木費などでございます。このほか、繰越明許費8件、債務負担行為の補正として、廃止5件、変更3件、地方債の補正として、廃止8件、変更1件をお願いしております。
第6号議案は、平成29年度大田区
国民健康保険事業特別会計補正予算(第1次)で、今回の補正は歳入歳出予算の総額から歳入歳出それぞれ38億5994万9000円を減額し、補正後の歳入歳出予算の総額はそれぞれ800億7133万3000円となります。歳入で増額する内容は、前期高齢者交付金、繰越金などでございます。減額する内容は、共同事業交付金、繰入金などでございます。歳出で増額する内容は、総務費、諸支出金などでございます。減額する内容は、保険給付費、共同事業拠出金などでございます。
続いて、第7号議案は、平成29年度大田区
後期高齢者医療特別会計補正予算(第2次)で、今回の補正は歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ1億1628万4000円を増額し、補正後の歳入歳出予算の総額はそれぞれ155億9789万5000円となります。歳入で増額する内容は、後期高齢者医療保険料、繰越金などでございます。減額する内容は繰入金でございます。歳出で増額する内容は、広域連合納付金、諸支出金でございます。
第8号議案は、平成29年度大田区
介護保険特別会計補正予算(第2次)で、今回の補正は歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ6454万円を増額し、補正後の歳入歳出予算の総額はそれぞれ568億2429万7000円となります。歳入で増額する内容は繰入金でございます。歳出で増額する内容は総務費でございます。
第9号議案は、大田区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例で、介護保険法の改正により、介護予防訪問介護が第1号訪問事業に移行することに伴い、個人番号を利用する事務を変更するため、改正するものでございます。
第10号議案は、大田区個人情報保護条例の一部を改正する条例で、行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律等の施行に伴い、個人情報の定義等に関し、規定を整備するため、改正するものでございます。
第11号議案は、公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例で、職員を派遣することができる公益的法人等に公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会及び
一般財団法人国際都市おおた協会を加えるほか、法人名の変更に伴う規定の整理を行うため、改正するものでございます。
続きまして、第12号議案は、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例で、行政系人事制度の改正に伴い、給料表等を改定するほか、平成29年度特別区人事委員会勧告に基づき、扶養手当の額等を改定するため、改正するものでございます。
第13号議案は、大田区
国民健康保険高額療養費資金貸付基金条例の一部を改正する条例で、大田区国民健康保険高額療養費資金貸付基金を減額するため、改正するものでございます。
第14号議案は、大田区
国民健康保険出産費資金貸付条例の一部を改正する条例で、大田区国民健康保険出産費資金貸付基金を減額するため、改正するものでございます。
第15号議案は、大田区後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例で、高齢者の医療の確保に関する法律の改正により、住所地特例が見直されたことに伴い、規定を整備するため、改正するものでございます。
第16号議案は、大田区手数料条例の一部を改正する条例で、大田区住宅宿泊事業法施行条例に規定する証票、大田区建築基準法施行規則に規定する道路位置指定申請図の写し、建築基準法施行規則に規定する指定道路調書の写し及び都市計画法の規定による都市計画情報の交付手数料を定めるほか、規定を整備するため、改正するものでございます。
第34号議案は、遺贈の放棄についてで、遺贈の放棄に当たり、地方自治法第96条第1項第10号の規定に基づき、提出するものでございます。
第35号議案は、東京都
後期高齢者医療広域連合規約の一部を変更する規約に関する協議についてで、当規約の一部変更について協議を行うに当たり、地方自治法第291条の11の規定に基づき、提出するものでございます。
第37号議案は、大田区定数条例の一部を改正する条例で、区長の事務部局の職員を7人増員し、教育委員会の事務部局の職員を4人増員し、教育委員会の所管に属する学校の事務部局の職員を11人減員するため、改正するものでございます。
第38号議案は、職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例で、退職手当の基本額における割合を引き下げ、並びに調整額における区分及び点数を改正し、並びに懲戒免職等処分を受けた場合等の退職手当の支給制限について一部見直すほか、規定を整備するため、改正するものでございます。
報告第1号は、民事訴訟の提起に係る専決処分の報告についてで、大田区奨学金返還請求に関する訴えの提起に係る専決処分3件について報告するものでございます。
報告第2号は、区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告についてで、庁有車による車両損傷事故ほか3件について報告するものでございます。
報告第3号は、蒲田駅
西口駅前広場整備工事その2請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の3億9204万円から3億9944万3400円に変更いたしました。
報告第5号は、大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(T期)請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の25億9200万円から26億3153万8800円に変更いたしました。
報告第6号は、
大田区役所本庁舎耐震性向上改修工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の24億3388万8000円から24億7222万8000円に変更いたしました。
報告第7号は、仮称大田区羽田四丁目
複合施設改築工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の11億9880万円から12億858万4800円に変更いたしました。
続きまして、報告第8号は、仮称大田区羽田一丁目
複合施設改築工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の10億8000万円から10億7858万5200円に変更いたしました。
報告第9号は、
大田区立六郷保育園及び
大田区立六郷図書館改築工事(第U期)請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の6億4750万1040円から6億5279万5200円に変更いたしました。
報告第10号は、訴訟上の和解に係る専決処分の報告についてで、学校医による損害賠償等請求事件に係る訴訟上の和解の専決処分について報告するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森 議長 質疑に入ります。
この際、議員の皆様に申し上げます。本会議での議員の発言につきましては、会議規則第53条で「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、又はその範囲をこえてはならない。」と規定され、また、質疑についても「自己の意見を述べることができない」と明記されております。したがいまして、議員の皆様には、発言に当たっては規則で定められたルールに従って行うようご留意のほどお願いしておきます。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第5号議案 平成29年度大田区一般会計補正予算(第5次)について質疑いたします。
今回の補正予算は、平成29年度の期末を目前にした最終の補正予算です。補正予算は不要不急のやむを得ない状況の変化に対応するというのが基本ですが、この時期に行われる補正予算は、年度末に使い残した、あるいは不足が見込まれる最終的な増減を調整する予算がほとんどです。こうした中、異なった視点で立てられているのが総務費の公共施設整備積立基金積立金の増額30億9011万9000円です。
そこで伺います。この時期の補正予算に、この公共施設整備積立基金積立金の増額30億9011万9000円を計上していますが、不要不急のやむを得ない状況の変化に対応するという補正予算の性格から、最終補正で行わなければならないのはなぜかお示しください。
また、30億9011万9000円積み立てていますが、今回の補正後の特別区債の発行残高は2億3200万円で、公共施設整備積立基金を積み立てない、あるいは、積立額を減らせば、区債を発行しなくて済みます。どうしてもこの30億9011万9000円積み立てなければならない理由は何でしょうか。
一方で、このところの大田区の補正予算には、繰越明許費や債務負担行為の計上が目立つようになりました。繰越明許費や債務負担行為が多く計上されているということは、単年度会計の自治体予算において、どのような意味合いを持つようになっていると評価していますか。
第10号議案 大田区個人情報保護条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
この議案は、個人情報の定義を明確化する、収集禁止事項を要配慮個人情報として定義する、個人情報ファイルの定義を新設するための条例改正です。これまで大田区は、収集禁止事項として、第8条において、思想、信条及び宗教に関する事項、社会的差別の原因となる事実に関する事項、犯罪に関する事項の情報の収集を禁止していましたが、改正案では、収集禁止事項が要配慮個人情報という呼び方に変わるとともに、要配慮情報を、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害をこうむった事実、その他本人に対する不当な差別、偏見、その他の不利益が生じないように、特に配慮を要するものとして、規則で定める記述などが含まれる情報と定義しています。これにより、日本国憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」に示されている「思想」という言葉が条例からなくなります。
憲法第99条で、大田区の職員にも尊重し、擁護する義務を課せられている「思想」という言葉を条例からなくしているのはなぜですか。条例から思想という文言を削除して、憲法で定義されていた思想を守ることは可能か、法的見解を求めます。
第11号議案 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例について質疑します。
この議案は、職員を派遣できる公益的法人等に公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と
一般財団法人国際都市おおた協会を加えるほか、法人名義変更に伴う規定の整理を行うための条例改正です。現在、大田区では、公益的法人への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づき、公益的法人等への職員の派遣に関する条例で、公益財団法人3、社会福祉法人4、土地開発公社、公益社団法人、一般社団法人3など、12の法人に職員派遣できるよう規定していて、今回の条例改正で、ここに東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と
一般財団法人国際都市おおた協会が加わります。
公益的法人等への一般の地方公務員の派遣等に関する法律ができたことにより、施策推進や公益の推進などを行う法人に対して、業務内容等について、対象法人との間で取り決め等を締結すると、一般社団・財団法人でも営利法人でも職員を派遣できるようになりました。今回派遣できるのは、一般財団法人と公益財団法人です。
そこで伺います。こうした職員の派遣先における公益認定の有無や、非営利、営利など、大田区における基準はありますか。
かつて東京都が外郭団体の数を制限していた時代があったそうです。今、大田区では、職員の派遣先が増えていますが、派遣先の事業の目的、数、財政負担からの制限などは設けられていますか。
第37号議案 大田区定数条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
民営化や民間委託を採用したことにより、職員数が減っても、委託先、民営化先で働く従業者は必ずしも減っているわけではありません。こうした状況の中、大田区は、平成28年の職員定数4135人をもって適正であるとしています。また、区長部局、教育委員会、学校の事務部局での増減はありますが、変化のない職員定数をもってメルクマール、指標や目印と言っています。
そこで伺います。これまでこの条例は議会当初の送付議案に入っていましたが、議案送付が遅れ、追加送付となった理由は何ですか。
公務をほぼ職員で担ってきた時代から、大田区の仕事は民営化や民間委託で職員以外でも担うようになっています。この条例で示す、公務員で担っている職員の数は、条例制定当時、現在、それぞれ持つ意味は何を示すものですか。同じですか、変わったのでしょうか。
大田区がメルクマールと呼ぶ職員数が学校部局で減り、区長部局等で同数増えているのは、偶然ですか、大田区の方針で増やさないのですか、国の方針でしょうか。
報告第6号
大田区役所本庁舎耐震性向上改修工事請負契約の専決処分の報告について質疑いたします。
この報告は、耐震補強の方法の一部を変更したことなどのために、当初契約金額24億3388万8000円から24億7222万8000円に増額するための専決処分の報告です。変更の理由は、耐震補強の方法の一部を変更したことです。
そこで伺います。こうした設計変更があった場合、全ての契約を今回のように専決処分で済ませることができますか。以上です。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 順次お答え申し上げます。
最初に、第5号議案について、通告がありました3点のご質問にお答えいたします。
1点目の公共施設整備資金積立基金積立金の補正を最終補正で行う理由につきましては、補正予算は、地方自治法第218条の規定に基づき、既定予算に追加その他の変更を加える必要が生じるときに編成するものでございます。本件は、今年度の収支見込みと将来の公共施設の更新に要する経費の見込みなどを勘案し、補正するものでございます。
2点目の公共施設整備資金の積み立てと特別区債との関係につきましては、公共施設整備資金積立基金は、中長期的な視点に立って、将来の公共施設の更新に要する経費の見込みを勘案し、積み立てるものでございます。一方、特別区債は、住民負担の世代間の均衡を図る機能や、財政収入の年度間調整を図る機能がございます。こうした観点から、特別区債につきましては、公債費負担比率等を十分に考慮したうえで、今年度の歳入状況も踏まえ、予算措置をするものでございます。
3点目の繰越明許費と債務負担行為につきましては、繰越明許費は、年度内にその支出が終わらない見込みの経費について翌年度に繰り越すもので、地方自治法第213条に基づく会計年度独立の原則の例外として認められたものでございます。また、債務負担行為は、2か年度以上にわたる工事を行う場合などにおきまして、必要に応じて設定しております。本件は、いずれも第4次補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するためのものでございます。繰越明許費や債務負担行為の設定は、財政の健全性の確保に留意しつつ、適切に設定しております。
次に、第10号議案について、通告のございましたご質問にお答えいたします。
今回、個人情報保護法等の改正により、規定の整備を行うものでございます。「信条」という表現は、個人の基本的な考え方を意味し、思想と信仰の両方を包含するもので、これまでの条例規定の内容と何ら変わるものではございません。なお、法のガイドラインにおいても、同様の説明がなされてございます。
次に、第11号議案について、通告がありました2点の質問にお答えいたします。
1点目の「職員の派遣先を条例に定める際の基準」につきましては、条例に定める団体は、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律第2条の趣旨に適合する団体でございます。具体的には、その業務が区の事務または事業と密接な関連があること、また、施策を推進するために人的援助を行うことが必要であることを基準として判断しております。
2点目の「派遣先の事業目的、数、財政負担などからの制限の有無」につきましては、派遣先の事業目的は、先ほどお答えした「その業務が区の事務または事業と密接な関連があること」が要件でございます。また、派遣先団体の数は条例で、財政負担につきましては予算の範囲内で実施していくものと考えてございます。
続きまして、第37号議案について、通告がありました3点のご質問にお答えいたします。
1点目の「定数条例の議案送付の時期」につきましては、必要な算定事務を終えましたので、例年と同様に、速やかに追加議案として提出させていただいたものでございます。
2点目の「定数条例で示す職員数の持つ意味合い」につきましては、条例制定当時と変わることなく、地方自治法第172条の規定に基づき、臨時職員、非常勤職員等を除いた職員数の上限を定めるものでございます。
3点目の「職員定数増減の結果」につきましては、職員定数について、平成30年度における行政需要に的確に対応するため、大田区が適正に算定した結果によるものでございます。なお、現在、国から職員定数の増加を抑制する方針等は出されておりません。
次に、報告第6号について、通告がありました質問にお答えいたします。
工事請負契約の変更は、当初の設計、仕様のとおりに施工することが困難となった場合に、契約の目的の範囲を逸脱せず、工事内容の同一性を変更しない限度において行うものでございます。本件は、建物の揺れを軽減する耐震部材を取りつけて、本庁舎の耐震性を向上させることを目的とした改修工事です。その耐震部材を取りつける部分において、建設当時の設計図と実際の形状が異なる箇所があったため、同等の性能を持つ接合方法への変更と、支障となる配管の移設と復旧を行ったものでございます。今回の契約変更は、工事内容の同一性に影響を及ぼすものではなく、変更金額も当初定められた契約金額の100分の5以内の増額であるため、大田区議会の議決に付すべき契約、財産又は公の施設に関する条例第4条に基づき、契約変更の専決処分をいたしました。以上でございます。
○大森 議長 奈須議員、再質疑ですか。奈須議員、演壇にて再質疑を許可します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) 第10号議案の個人情報保護条例についての質疑の答弁について、再度お聞きしたいと思いますが、私がお聞きしたのは、憲法に書いてある思想、良心の自由の第19条の部分の思想という言葉がなくなって、信条という言葉に変わったということですが、それに対する答弁は、ガイドラインで書いてあるということでしたが、条例の内容をガイドラインで超えることはできるのでしょうか。条例にない部分について、ガイドラインに書き込むことで、それを担保するような答弁をなさいましたが、私がお聞きしたのは、法規において思想という言葉がなくなった場合、信条でこれが足りるのかということをお聞きしております。そこの部分について確認をさせていただければと思います。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎玉川 総務部長 第10号議案につきまして、ただいま質疑された点につきましては、発言通告書には記載がないため、答弁は控えさせていただきます。
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、報告第1号から報告第3号及び報告第5号から報告第10号に至る9件を除き、いずれも所管総務財政委員会に付託します。
なお、本案中、第11号議案 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例、第12号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例及び第38号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例につきましては、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、あらかじめ特別区人事委員会の意見を聞いておきました。皆様のお手元に配付してあります写しのとおりでありますので、ご報告いたします。
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――――――――――――――――――
29特人委給第574号
平成30年2月21日
大田区議会議長 大 森 昭 彦 様
特別区人事委員会委員長 中 山 弘 子
地方公務員法第5条第2項に基づく人事委員会の意見聴取について(回答)
平成30年2月20日付29大議発第10986号により意見聴取のあった下記条例案については、異議ありません。
記
第11号議案 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第12号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第38号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
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○大森 議長 日程第2を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第2
報告第4号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他工事(U期)請負契約の専決処分の報告について
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○大森 議長 本案については、地方自治法第117条の規定に基づき、湯本良太郎議員、しばらく退席を願います。
〔湯本良太郎議員退席〕
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました報告第4号は、大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他工事(U期)請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の34億5600万円から34億7860万4400円に変更いたしました。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森 議長 本案については質疑の通告がありません。
本案については、大田区議会の議決に付すべき契約、財産又は公の施設に関する条例第4条第2項の規定に基づく報告のため、委員会付託はいたしません。
湯本良太郎議員の除斥を解きます。
〔湯本良太郎議員着席〕
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○大森 議長 日程第3を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第3
第17号議案 大田区
特別出張所設置条例の一部を改正する条例 ほか2件
――
――――――――――――――――――
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第17号議案は、大田区
特別出張所設置条例の一部を改正する条例で、羽田特別出張所の移転及び蒲田西特別出張所の一時移転のため、改正するものでございます。
第18号議案は、
大田区立文化センター条例の一部を改正する条例で、羽田文化センターの移転のため、改正するものでございます。
第19号議案は、
一般財団法人国際都市おおた協会に対する補助に関する条例で、
一般財団法人国際都市おおた協会に対して行う補助に関して必要な事項を定めるため、制定するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森 議長 質疑に入ります。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第19号議案
一般財団法人国際都市おおた協会に対する補助に関する条例について質疑いたします。
この議案は、
一般財団法人国際都市おおた協会に対して、大田区が補助金を支給できるようにするための議案です。
一般財団法人国際都市おおた協会は非営利型法人で、剰余金の分配、いわゆる利益の配当は禁じられている団体です。ところが、仮に国際都市おおた協会が大田区から得た補助金で株式会社に委託し、そこで剰余金が生じれば、委託先では分配が可能になります。非営利型法人へ補助された区民の税金が受託会社の株主の利益になってしまうことになります。
そこで伺います。大田区は、非営利型である
一般財団法人国際都市おおた協会に対し補助できる条例を提案していますが、非営利型であっても、委託などにより区民の税金が特定の株主の利益として分配されてしまう可能性についての防止策について、どのように考えていますか。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 第19号議案について、通告がありました質問にお答え申し上げます。
一般財団法人国際都市おおた協会は、設立時の定款で、その行う事業により得た利益の剰余金の分配は行わないことと規定してございます。当協会が締結する契約に関する事務の取り扱いに関しましては、区の規則に準じて契約事務規程を定めております。この規定に基づき、適正に行われるものと考えております。以上でございます。
○大森 議長 奈須議員、再質疑ですか。奈須議員、演壇にて再質疑を許可します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) 今ご答弁いただきました契約事務規程については、議会に対して公開されるということでよろしいのでしょうか。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎近藤 観光・国際都市部長 ただいま質疑されました点につきましては、発言通告書には記載がございません。答弁は控えさせていただきます。
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、いずれも所管地域産業委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第4を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第4
第20号議案 大田区老人いこいの家条例の一部を改正する条例 ほか9件
――
――――――――――――――――――
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第20号議案は、大田区老人いこいの家条例の一部を改正する条例で、羽田老人いこいの家を廃止するため、改正するものでございます。
第21号議案は、大田区
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準を定める条例で、介護保険法の改正により、居宅介護支援事業者の指定権限が東京都から区に移譲されることに伴い、
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準を定めるため、制定するものでございます。
第22号議案は、
大田区立特別養護老人ホーム条例の一部を改正する条例で、大田区立特別養護老人ホーム蒲田の定員を増員するほか、規定を整理するため、改正するものでございます。
第23号議案は、
大田区立高齢者在宅サービスセンター条例の一部を改正する条例で、介護保険法の改正に伴い、介護予防通所介護が介護予防・日常生活支援総合事業の第1号通所事業に移行するため、改正するものでございます。
第24号議案は、大田区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備、運営等及び
指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を定める条例の一部を改正する条例で、介護保険法及び老人福祉法の規定に基づく指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正に伴い、連携すべき機関に介護医療院を加えるほか、
指定地域密着型介護予防サービスに関する基準を改めるため、改正するものでございます。
第25号議案は、大田区
指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに
指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例の一部を改正する条例で、介護保険法及び老人福祉法の規定に基づく指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正に伴い、指定介護予防支援事業者と医療機関との連携を強化するなど、指定介護予防支援の方法の基準等を改めるほか、規定を整理するため、改正するものでございます。
第26号議案は、
大田区立心身障害児通所施設条例の一部を改正する条例で、児童福祉法の改正に伴い、規定を整理するため、改正するものでございます。
第27号議案は、大田区立障がい
者総合サポートセンター条例の一部を改正する条例で、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の改正に伴い、新たに就労定着支援を提供する事業を実施するほか、規定を整備するため、改正するものでございます。
第39号議案は、大田区介護保険条例の一部を改正する条例で、平成30年度から平成32年度までの保険料率を定めるほか、規定を整備するため、改正するものでございます。
第40号議案は、大田区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備、運営等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例で、介護保険法及び老人福祉法の規定に基づく指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正に伴い、高齢者及び障がい者がともに利用できる共生型サービスに関する基準を定めるほか、
指定地域密着型サービスに関する基準を改めるため、改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○大森 議長 本案については質疑の通告がありませんので、いずれも所管健康福祉委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第5を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第5
第28号議案 大田区生産緑地地区に定めることができる区域の規模に関する条例 ほか3件
――
――――――――――――――――――
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第28号議案は、大田区生産緑地地区に定めることができる区域の規模に関する条例で、生産緑地法の改正に伴い、生産緑地地区として定めることができる区域の規模について定めるため、制定するものでございます。
第29号議案は、大田区
特別業務地区建築条例の一部を改正する条例で、建築基準法の改正に伴い、規定を整理するため、改正するものでございます。
第30号議案は、大田区立公園条例の一部を改正する条例で、都市公園法等の改正により、公募対象公園施設である建築物を設ける場合の建蔽率の特例及び公園の敷地面積に対する運動施設の割合の上限を条例で定めることとされたことに伴い、当該特例及び当該割合の上限を定めるほか、規定を整備するため、改正するものでございます。
第36号議案は、大田区立西蒲田五丁目第二児童公園の廃止についてで、近隣に新たな児童公園が設置されることに伴い、除雪や集中豪雨対策等の用地とすることから、平成30年3月31日をもって大田区立西蒲田五丁目第二児童公園を廃止するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○大森 議長 質疑に入ります。
本案については、奈須利江議員、北澤潤子議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、47番奈須利江議員。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第30号議案 大田区立公園条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
この議案は、都市公園法等の改正に伴い、公募対象公園施設を創設する場合の建蔽率を条例で定めることにより、公募対象公園施設の10%の建蔽率の特例を規定するとともに、都市公園内に設ける運動施設の割合を敷地面積の100分の50とするための条例改正です。
今、国では、PFI法の改正について審議が行われています。このPFI法改正案では、自治体が条例をつくれば、運営権の移転の許可や指定管理者の指定にかかわる議決が不要になるという地方自治法の特例が設けられていて、議案が可決すると、PFI採用について、議会は関与できなくなる可能性があります。また、内閣総理大臣が自治体に対して助言し、勧告する制度の創設が盛り込まれていて、法案が可決すれば、議会の議決が不要なだけでなく、自治体がPFIを採用しなくても、内閣総理大臣が、PFIを採用することについて、自治体に対し、助言や勧告という重い処分ができるようになります。このPFI法は公園も対象で、パークPFIとPFI法と指定管理者制度の併用も可能だそうですから、法律改正の影響は、今回、条例改正しようとしている大田区の公園の管理運営にも影響を及ぼす可能性があると内閣府の担当者から伺いました。
そこで質疑いたします。大田区は、現在、国で審議中のPFI法の改正案が可決した場合、否決された場合を想定し、大田区の施設の設置、資金調達、管理、運営及びその意思決定などにおいて、どのような影響を及ぼすか検証したうえで、今回の条例改正案を提案していますか。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 第30号議案につきまして、通告がありました公園条例改正と民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法についてお答え申し上げます。
今回の公園条例の改正案は、都市公園法の改正に合わせて、民間からの公募対象となる公園施設の建蔽率や運動施設の面積の割合を定めたものでございます。なお、PFI法の改正案につきましては、いまだ国会のほうで可決されておりません。ご質問の検証は行っておりません。以上でございます。
○大森 議長 次に、49番北澤潤子議員。
〔49番北澤潤子議員登壇〕
◆49番(北澤潤子 議員) 大田・生活者ネットワーク、北澤潤子です。
第30号議案大田区立公園条例一部改正について質疑いたします。
この大田区立公園条例一部改正は、2017年4月に成立した都市公園法の改正に伴って、公募対象公園施設である建築物の建蔽率を2%から12%にまで緩和するものです。公募選定された民間事業者が公園内に収益施設を設置することができ、その管理とともに、周辺の公園整備を一体的に行うというものです。自治体にとっては財政負担が軽減され、民間活力の導入で公園のサービスレベルの向上やにぎわいの創出を期待するものです。しかし、公園は、全ての区民の財産であり、貴重な憩いの場です。区民の福祉増進に資するものでなければなりません。
そこでお聞きします。1、公募の条件は誰がどのように決めますか。2、区民利用の状況を踏まえて事業計画は立てられますか。3、事業者が収益を上げられなかったらどうなりますか。4、区民1人当たりの公園面積の目標は6平米ですが、今はまだ4平米だと聞きました。この中で、建物の建蔽率を上げることで、ますます空間となるところが少なくなるわけですが、今後の1人当たりの公園面積についてはどういう計画がありますか。以上です。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 第30号議案について、通告がございました4点の質問にお答えいたします。
1点目の「公募の条件は誰がどのように決めるのか」につきましては、公園の管理者である区が公募対象の公園を選定いたします。そのうえで、各公募対象公園の特性に合わせた条件を設定いたします。
2点目の「区民利用の状況を踏まえて事業計画は立てられるのか」につきましては、仮に公募施設管理を行うとすれば、公園を利用している方はもちろん、ふれあいパーク活動など、公園で活動されている方の利便性の向上を含め、区民や地域の要望を調査し、事業計画の策定について検討することとなると考えてございます。
3点目の「事業者が収益を上げられない場合、どうするか」につきましては、公募施設管理者の責任において対応することとなると考えてございます。
次に、4点目の「区民1人当たりの目標とする公園面積に届いていない中、建蔽率を上げると、その面積を減らすことになるのではないか」というご質問でございますが、公募設置管理者において、公園内に設置する施設は、運動施設やレストラン、売店など、公園利用者の利便性の向上を図るものとなってございます。公園と一体となっており、あくまでも公園の一部である公園施設の設置となります。したがいまして、建蔽率を上乗せしても公園面積が減るわけではございません。以上でございます。
○大森 議長 北澤議員、再質疑ですか。北澤議員、演壇にて再質疑を許可します。
〔49番北澤潤子議員登壇〕
◆49番(北澤潤子 議員) 最後の4番目の質問なのですけれども、私の認識が少し違っていたのかもしれないのですけれども、実は私が知りたかったのは、緑被率というか、空間が少なくなってしまうというふうなことを心配していたのですけれども、そのことについて、区は何か空間を広げるという計画があるかどうかお聞きしたいと思いました。
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎齋藤 都市基盤整備部長 ご質問いただいた件につきましては、先ほど副区長から申し上げたとおり、公園施設も公園の一部でございますので、それ自体が公園だということでございます。
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、いずれも所管都市整備委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第6を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第6
第31号議案 大田区児童館等における一時預かり事業実施に関する条例 ほか2件
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――――――――――――――――――
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第31号議案は、大田区児童館等における一時預かり事業実施に関する条例で、児童館等における一時預かり事業の実施及びこれに伴う費用の徴収に関し必要な事項を定めるため、制定するものでございます。
第32号議案は、
大田区立児童館条例の一部を改正する条例で、児童館において一時預かり事業を実施するため、改正するものでございます。
第33号議案は、
大田区立保育園条例の一部を改正する条例で、羽田保育園及び仲六郷保育園の移転のため、改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森 議長 本案については質疑の通告がありませんので、いずれも所管こども文教委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第7を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第7
第1号議案 平成30年度大田区一般会計予算 ほか3件
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――――――――――――――――――
○大森 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第1号議案は、平成30年度大田区一般会計予算で、歳入歳出予算の総額は歳入歳出それぞれ2787億7647万3000円となり、平成29年度当初予算に比べ6.5%の増となっております。まず、歳入予算の主なものを申し上げます。特別区税728億4967万6000円、特別区交付金730億3400万円、国庫支出金492億2959万7000円、都支出金194億6057万5000円などとなってございます。次に、歳出予算の款別の額とその主な内容を申し上げます。議会費は10億7530万1000円で、議会活動諸経費などとなっております。総務費は407億9537万2000円で、防災・防犯対策の強化に係る経費、(仮称)勝海舟記念館(旧清明文庫)の整備に係る経費などとなってございます。福祉費は1524億2532万5000円で、高齢者や障がい者への支援等の充実に係る経費、待機児解消に向けた取り組みに係る経費などとなっております。衛生費は82億9186万円で、災害時医療対策の充実に係る経費、出産・子育て支援に係る経費などとなっております。産業経済費は42億2585万3000円で、戦略的産業クラスター形成パイロット事業に係る経費、羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成に係る経費などとなっております。土木費は198億7164万8000円で、無電柱化等、道路の改良事業に係る経費、公園の整備に係る経費などとなっております。都市整備費は64億1963万1000円で、蒲田駅・大森駅・池上駅周辺地区の整備等に係る経費、耐震診断・改修助成等に係る経費などとなっております。環境清掃費は103億6043万8000円で、環境課題解決のための取り組みに係る経費、ごみ減量・リサイクル推進に係る経費などとなっております。教育費は312億3417万1000円で、児童・生徒の不登校対策の拡充に係る経費、計画的な小中学校校舎の改築に係る経費などとなっております。そのほか、公債費33億3927万6000円、諸支出金4億3759万8000円、予備費3億円となっております。このほか、債務負担行為49件、地方債11件をお願いしております。
第2号議案は、平成30年度大田区
国民健康保険事業特別会計予算で、歳入歳出予算の総額は歳入歳出それぞれ711億2495万1000円でございます。歳入予算の内容は、国民健康保険料、都支出金、繰入金などで、歳出予算の内容は、総務費、保険給付費、国民健康保険事業費納付金などとなっております。このほか、債務負担行為1件をお願いしております。
続きまして、第3号議案は、平成30年度大田区
後期高齢者医療特別会計予算で、歳入歳出予算の総額は歳入歳出それぞれ161億9492万4000円でございます。歳入予算の内容は、後期高齢者医療保険料、繰入金などで、歳出予算の内容は、広域連合納付金、保健事業費などとなっております。
第4号議案は、平成30年度大田区
介護保険特別会計予算で、歳入歳出予算の総額は歳入歳出それぞれ536億3693万6000円でございます。歳入予算の内容は、介護保険料、国庫支出金、支払基金交付金などで、歳出予算の内容は、総務費、保険給付費、地域支援事業費などとなっております。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森 議長 本案については質疑の通告がありません。
お諮りいたします。本案については、予算特別委員会を設置し、これに付託のうえ、審査したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
お諮りいたします。ただいま設置されました予算特別委員会の定数は47名とし、委員は委員会条例第6条第1項の規定に基づき、お手元に配付しました予算特別委員名簿のとおり本職が指名したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
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――――――――――――――――――
予 算 特 別 委 員 名 簿
田 中 一 吉 委員 松 原 秀 典 委員 高 瀬 三 徳 委員
安 藤 充 委員 岸 田 哲 治 委員 松 原 茂登樹 委員
伊 藤 和 弘 委員 塩野目 正 樹 委員 押 見 隆 太 委員
鈴 木 隆 之 委員 伊佐治 剛 委員 深 川 幹 祐 委員
長 野 元 祐 委員 渡 司 幸 委員 高 山 雄 一 委員
松 本 洋 之 委員 岡 元 由 美 委員 勝 亦 聡 委員
広 川 恵美子 委員 秋 成 靖 委員 玉 川 英 俊 委員
田 村 英 樹 委員 大 橋 武 司 委員 小 峰 由 枝 委員
椿 真 一 委員 田 島 和 雄 委員 末 安 広 明 委員
大 竹 辰 治 委員 清 水 菊 美 委員 藤 原 幸 雄 委員
菅 谷 郁 恵 委員 黒 沼 良 光 委員 金 子 悦 子 委員
福 井 亮 二 委員 荒 尾 大 介 委員 山 崎 勝 広 委員
黒 川 仁 委員 松 原 元 委員 岡 高 志 委員
荻 野 稔 委員 三 沢 清太郎 委員 犬 伏 秀 一 委員
野 呂 恵 子 委員 奈 須 利 江 委員 湯 本 良太郎 委員
北 澤 潤 子 委員 馬 橋 靖 世 委員
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○大森 議長 なお、本日の会議終了後、正副委員長互選のため、予算特別委員会を本議場において招集いたしますので、ご了承願います。
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○大森 議長 日程第8を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第8
議員提出第1号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
――
――――――――――――――――――
○大森 議長 提出者の説明を求めます。
〔34番黒沼良光議員登壇〕(拍手)
◎34番(黒沼良光 議員) ただいま上程されました議員提出第1号議案につきまして、提出者10名を代表して提案理由を読み上げて、提案説明にかえさせていただきます。
大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例は、日額旅費の支給を廃止するため、条例を改正する必要があるので、この案を提出するものです。
審議いただき、採択くださいますよう、よろしくお願いいたします。以上です。(拍手)
○大森 議長 質疑に入ります。
本案については、伊藤和弘議員から通告がありますので、これを許します。
〔8番伊藤和弘議員登壇〕(拍手)
◆8番(伊藤和弘 議員) ただいま提出されました議員提出議案につきまして質疑をさせていただきます。
この提出された議案は、8か月ほど前のこの定例会に出されたものと全く同じであります。さらに言えば、その1年前、全く同じものが出ております。もっと言えば、その1年前、やっぱり同じものが出ています。毎回否決をされているものであります。この何回否決されたものを全く文言を変えずにもう1度出してくるというのが全く理解できないわけであります。本当に採択をしてほしければ、採択を目指すのであれば、反対していた人たちに説得するとか、文言の工夫をするとか、そういう努力も一切せずに同じ文言を出してくる、こういうことが私には理解できない。そこを説明していただきたい。
そして、(発言する者あり)意見ではない。どうして出してきたのかを聞いている。もちろん通告もしている。そして、一つ言いたいのは、自分たちがこの議場でしっかりと意見を出し合うことが本来大事なはずなのに、なぜ同じ文言なのですか、これで通ると思っているのですか。(発言する者あり)中身については委員会でやらせていただきますけれども、ぜひ、こういう出し方は、自分たち自身、議員自身が議会軽視をしているのにつながってしまうよと、パフォーマンスはやめていただきたいと願いながら質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 提出者の答弁を求めます。
〔37番荒尾大介議員登壇〕
◎37番(荒尾大介 議員) 伊藤議員からの質疑についてお答えをいたします。発言通告に従ってお答えいたします。
まず、前回出したものと全く同じ中身をなぜ出すのかということは、また改めて後ほど申し上げます。
前回と違う点をまず説明いたします。施行年月日が違います。前回は平成29年9月1日、今回は平成30年4月1日ということで、中身については同じでございます。
議決というものについてどう捉えるのかという通告がありましたけれども、議決とは、問題に対する議員個々の賛成、反対の意思表明、すなわち表決の集約です。賛否の意見が分かれた場合は、多数決の原則に従って、通常の案件であれば過半数、特別の案件にあっては特別多数の賛成の意思表明で、議会の意思として定めるものと認識しています。また、議決権は、議会の持つ権限の中でも、最も本質的、基本的なものでありまして、議会の存在目的からも、第一に掲げられる権限です。地方自治の建前では、条例、予算は議会が決定、重要な行政執行についても、あらかじめ議会の議決を経ることを前提としています。首長が提案した案件に対して可否を表明することも、議会の最も重要な使命であり、職責であると言えます。なので、議決は議会の意思決定として大変に重いものであると捉えております。
今回の条例提案は、前回提案したものと中身は同じですけれども、1度、1度ではなく、何回も否決をされておりますけれども、社会情勢や住民の意識の変化などに応じて、私たちは条例提案を行っています。それは間違いではないと思います。住民の声に応える議会として当然のことと考えております。
また、この提案は、議会改革の一環としての提案でもあります。この改革を進めることは、大田区議会としても喫緊の課題として取り上げており、総意であるとも申し述べておきます。
この後、通告にありましたので申し上げますけれども、3点目、この改正を行うといくら節約できますかという通告があったので、申し述べておきます。新年度予算の予算案の中では、予算総額1052万4000円の節約となっております。
日本共産党は、2015年の第2回定例会でも、この条例案を提案させていただきました。そのときに、その条例案を提案したということから、日額旅費を議員が引退するときに大田区に寄付するということを決めています。現在、その日額旅費を区議団としてプールをしています。その総額が2015年5月からこの2月まで総額441万円に上っております。以上で終わります。(拍手)
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、所管総務財政委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第9を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第9
議員提出第2号議案
中小企業次世代人材確保支援条例
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○大森 議長 提出者の説明を求めます。
〔34番黒沼良光議員登壇〕
◎34番(黒沼良光 議員) ただいま上程されました議員提出第2号議案
中小企業次世代人材確保支援条例について、提出者8名を代表して提案理由を読み上げて、提案説明にかえさせていただきます。
提案理由。大田区の景況にもあらわれているように、区内中小零細企業が従業員を採用する場合、長引く不況と低迷する賃金の影響で雇用が大変困難になっていることもあり、後継者育成のためにも支援が必要であり、本条例を制定する必要があるため、この案を提出するものです。
審議いただき、ご採択くださいますよう心からお願いし、提案理由の説明といたします。以上です。(拍手)
○大森 議長 質疑に入ります。
本案については、伊佐治 剛議員から通告がありますので、これを許します。
〔12番伊佐治 剛議員登壇〕(拍手)
◆12番(伊佐治剛 議員) 議員提出第2号議案
中小企業次世代人材確保支援条例について質疑をいたします。
この条例は、奨励金という名の若者迎合型のばらまきを行うための条例議案でありますが、まず、奨励金の交付対象者について、大田区企業情報掲載中小企業との間で労働契約を締結している者としていますが、第2条第1号の定義では、「その他これに類する法人」も大田区企業情報掲載中小企業に含まれることになっています。これはどのようなことを想定しているのでしょうか。
次に、第3条第1号、交付対象者の要件として、大学等を卒業してから3年以内の者に限定していますが、その理由は何ですか。
次に、第6条第2項において、交付期間を3年だけとしているのはなぜですか。
次に、奨励金の額を月1万円と定めていますが、その根拠は何ですか。
次に、奨励金の額が給料の多寡にかかわらず一律1万円なのはなぜですか。
次に、第7条第3号で、交付の要件として、「労働契約締結後に納付義務が発生した区民税について滞納がないこと。」としていますが、労働契約締結前に区民税を滞納されている方も想定することができますが、その点についての取り扱いは定めないのでしょうか。
以上、6点についてお答えをいただきたいと思います。(拍手)
○大森 議長 提出者の答弁を求めます。
〔34番黒沼良光議員登壇〕
◎34番(黒沼良光 議員) 通告されました質問について順次お答えいたします。
本来は委員会でというのももっともだと思います。せっかくの通告ですので、順次ご丁寧に申し上げたいと思います。
まず最初に、大田区企業情報掲載中小企業に限定しているようであるが、一方で、「その他これに類する法人」に加えてあるのはどのようなことを想定しているのかという質問です。お答えいたします。大田区企業情報掲載中小企業に限定している企業は、大田区内企業ということが明確ですが、3463社中、全てが掲載されているわけではなく、振興協会では2500社程度であり、振興協会は、悉皆調査でぜひ掲載をと説得も含め、今年度も区内全ての企業が掲載されるよう努力中です。よって、掲載されていなくても、類する法人として、できるだけ救済する立場で想定してあります。以上です。
なぜ3年以内に限定するのかですが、本条例は、中途採用ではなく、新卒者を基本に就職してもらうことを目的にしています。いまだ就職氷河期状態が克服できていない今日です。卒業した年に就職できないこともしばしばです。また、特に高校生の場合は、就職するか、大学に進学するか、迷ったりもしますので、猶予期間を持たせました。そのような事態を考慮して、ハローワークでは、卒業後3年間を新卒扱いにしています。よって、若い人に入ってもらい、後継者としても育成できる機会にしようとするもので、3年間が適当としたものです。
支給について、3年間だけという根拠は何かについてお答えいたします。限定したくはないのですが、限られた財源です。独自に調査し、聞き取りをしました。約100社の町工場の調査ですが、業種にもよりますが、NC旋盤などは約1年、3次元加工ぐらいで3年でどうにか仕事を任せられるということです。原子力や4次元加工となると5年くらいかかるという業種もありましたが、一応3年ほどでひとり立ちできると考えました。何しろ支援金を受け取ることで、なお積極的になり得ると考えます。
月1万円という金額の根拠は何かについてですが、実は2014年度の実態調査の前に、日本共産党大田区議団も加わっている不況打開実行委員会として、産経部に労働条件も調査項目に加えるよう申し入れをしましたが、実現しませんでした。それで、緊急に独自に調査した際のデータがありますので、参考にしました。区内町工場の仕事の時間単価は、2000円から3000円が5割近く、最多で、2000円以下も4割近くでした。実際は最低3500円程度でないと社長の給料が出せない状況ということでした。全体の平均値は2400円程度でした。調査では、経営者の給料は、従業員の平均給与24万円、年収290万円より低い平均21万円という驚くべき実態でした。ここから工場家賃、税金、借入金の返済などを支払う中で、若い人を雇用するとなると、正社員扱いとしても、いくらの初任給を出せるのでしょうか。これが日本の宝、ものづくりの技術基盤の実態です。ここにせめて月1万円の保障をすることがどんなに励ましになるかとの思いで、心を込めて提案させていただきました。
給料の多寡にかかわらず1万円なのかについても、前述の答弁にかえさせていただきます。
労働契約締結前の区民税の滞納について、どう扱うのかという質問ですが、お答えいたします。新卒であれば、質問の心配はないはずです。さらに、3年間については、正社員として就職した人は、この制度を使えません。活用する人は、無職のまま休職中の人か、非正規で働きながら、正規で働ける就職先を探している人です。それらの人は原則住民税非課税者ですので、働き始めて収入を得てから発生するであろう課税者としての条件とさせていただきました。以上です。詳しいことは委員会にてよろしくお願いいたします。(拍手)
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、所管地域産業委員会に付託します。
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○大森 議長 日程第10を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第10
議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書
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○大森 議長 提出者の説明を求めます。
〔43番荻野 稔議員登壇〕(拍手)
◎43番(荻野稔 議員) ただいま上程されました議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書につきましては、案文の朗読をもって提案理由の説明にかえさせていただきます。
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地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書
地方議会議員年金制度は、平成23年6月1日に廃止された。
しかしながら、平成24年5月24日に第104回市議会議員共済会代議員会において、廃止された地方議会議員年金に変わる新たな地方議会議員の年金として、市町村長や勤労者が加入する基礎年金に上乗せの報酬比例部分のある公的年金制度への加入を求める決議がなされた。
また、平成28年7月及び平成29年8月には全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会において、同様の決議や要望を採択し、国や国会の関係方面に要請活動がおこなわれている。
議員年金制度は、廃止されたものの、元議員等の既存支給者への給付はこの先約50年続き、その公的負担累計総額は、約1兆1,400億円にものぼる巨大な額となる。その原資はすべて税金であり、国や各地方自治体の財政運営に少なからず影響を与えている。
国民の日常生活は依然として厳しい環境に置かれている中で、国民年金制度の課題の解決の無いまま地方議員だけを特別扱いすることは許されない。
地方議会議員年金制度廃止後も、莫大な税金投入が続いており、この制度を新たな形で復活させれば、さらなる公費負担が必要になり、到底国民の理解を得られるものではない。国民目線から遠くかけ離れた議長会の決議・要望は許容できるものではない。
よって国におかれては、各議長会が進める
地方議会議員年金制度の復活には断固反対し、制度復活しないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
年月日
衆議院議長
参議院議長 宛
内閣総理大臣
総務大臣
大田区議会議長名
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以上でございます。ご審議いただき、ご賛同賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○大森 議長 質疑に入ります。
本案については、金子悦子議員から通告がありますので、これを許します。
〔35番金子悦子議員登壇〕(拍手)
◆35番(金子悦子 議員) 日本共産党大田区議団の金子悦子です。
議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書について質問します。
まず、平成の大合併により、3232自治体から1718自治体に減って、議員定数が激減したのが議員年金の廃止につながりましたが、合併には賛成したのか、反対したのか、お答えください。
次に、地方議員の年金を廃止する地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律に3項目の附帯決議がされています。この附帯決議では、国民の政治参加や地方議会における人材確保の観点を踏まえた新たな年金制度について検討を行うとしています。これは、つまり、経済的に余裕のある人しか議員になれないので対策が必要ということで、全会一致でした。この附帯決議についてはどう考えているのですか。
最後に、「国民年金制度の課題解決の無いまま議員だけを特別扱いすることは許されない」とありますが、国民年金制度の改善のために提案をしているのですか。質問は以上です。(拍手)
○大森 議長 提出者の答弁を求めます。
〔43番荻野 稔議員登壇〕
◎43番(荻野稔 議員) 金子議員からいただきました事前の発言通告書により通告をいただいた3点の質疑について、順次お答えさせていただきます。
さて、1点目でございますが、平成の大合併によって議員定数が激減したことが議員年金の廃止につながった。合併には賛成したのか、反対したのかというご質疑をいただいております。まず、平成の大合併についてでございますが、総務省のホームページに平成22年3月に発表された「『平成の合併』について」の公表という文書がございます。国は、平成11年(1999年)に地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律を公布して以来、基礎自治体の行政財政基盤確立のため、全国的に市町村合併を推進してきました。10年が経過した平成22年4月に、国や都道府県の積極関与を廃止するとともに、自主的な合併の円滑化のための特例措置を内容とする合併特例法改正法案が提出され、可決されました。平成の大合併は、このあたりのことを指しているのだと思いますが、これは国での議論のことであり、賛否には関与をしておりません。
2点目につきましては、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律の附帯決議について、賛成したのか、反対したのか、どう考えているのかというご質疑をいただいております。この法律につきましても、平成23年(2011年)3月に閣議決定がされ、5月20日に参議院本会議で可決をされております。こちらにつきましても、国会での議論ということでございますので、差し控えさせていただきます。
最後に、3点目でございます。「国民年金制度の課題解決の無いまま議員だけが特別扱いすることは許されない」とあるが、国民年金制度の改善のために提言をしているのかという質疑をいただいております。こちらも国政政党等の話ではありますけれども、こちらの会派としての区議会の議論としての話とはまた違う話となっておりますので、答弁は差し控えさせていただきます。ありがとうございます。
○大森 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
お諮りいたします。(発言する者あり)静粛に。本案については、会議規則第38条第3項の規定に基づき、委員会への付託を省略したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
討論に入ります。
本案については、大竹辰治議員、三沢清太郎議員、馬橋靖世議員、奈須利江議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、29番大竹辰治議員。
〔29番大竹辰治議員登壇〕(拍手)
◆29番(大竹辰治 議員) 日本共産党大田区議団を代表して、議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書について、反対の討論を行います。
地方議会議員年金制度は、平成の大合併により急激に財政が悪化し、廃止に至ったものであり、その対策こそ必要です。
反対の第1は、現在、議員年金がないもとで、将来の保障がないことから、経済的余裕のある者しか地方議員になれない状況です。ですから、全国町村議会議長会が「地方議会議員が安心して議会活動に専念し、かつ、将来の町村議会の議員の人材を確保するには、退職後の生活安定のための年金制度が不可欠であるとの考えから、かねてより地方公務員共済年金へ加入できるよう、国に働きかけを行ってきたところである」と要請しています。また、制度廃止法案の委員会採決に際し、衆参両院議員の総務委員会において、
地方議会議員年金制度廃止後、おおむね1年を目途として、地方議会における人材確保の観点を踏まえた新たな年金制度について検討を行う旨の附帯決議が全会一致で可決されたものです。
第2に、今意見書では「国民年金制度の課題の解決の無いまま地方議員だけを特別扱いすることは許されません」と述べていますが、国民年金制度も議員年金制度もどちらも課題の解決が必要であり、一刻も早く課題の解決のために力を合わせていこうではありませんか。
日本共産党は、「地方議員がその役割を果たすために、議員在職中の生活収入を得るための就業に制約があることは考慮すべきであり、経済的余裕のある者しか地方議員になれない状況を避けるためにも、議員退職後の何らかの生活保障の検討が必要である」と考えています。また、現在、国会において、厚生年金を活用した議員の年金制度の検討を行っていますが、これは、地方議会議員のみの特別な制度を設けることを求めるものではなく、内容的によく検討されているもので、考えられる案であり、党区議団は否定するものではありません。
今回の意見書は一切の年金制度を否定しているものであり、反対です。以上です。(拍手)
○大森 議長 次に、44番三沢清太郎議員。
〔44番三沢清太郎議員登壇〕(拍手)
◆44番(三沢清太郎 議員) たちあがれ・維新・無印の会は、ただいま上程されました議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書に賛成の立場から討論をいたします。
地方議員の年金を復活させる法案が今国会で提出されようとしております。そもそもなぜ地方議員に年金が必要なのでしょうか。二つの理由があるようです。
まず一つ目、地方議員のなり手を増やすためだそうです。ですが、果たしてこの方法が最適解なのでしょうか。ほかにも地方議員のなり手を増やす手段はあるのではないでしょうか。地方議員の兼業は禁止されておりませんから、サラリーマンの議員兼業を推進するために、議会を夜間や土日に開催することは検討の余地があると考えております。また、地方都市で議員のなり手が少ないところでは、隣接市町村からの立候補を認めれば、政治に関心のある方がよりチャンスをつかめるようになるのではないでしょうか。
そして、二つ目、国民年金だけでは地方議員の老後が不安だからだそうです。しかし、これもおかしな話です。まず、国民年金にしか加入されていない自営業者や非正規社員の不安を取り除くほうが先ではないでしょうか。そして、推計1400万人いると言われております国民年金のみで細々と暮らしていただいている受給者の不安を取り除くほうが先ではないでしょうか。国民数千万人の不安を放置して、全国に数万人いる地方議員の年金アップの制度設計にいそしむ姿はあまりにも滑稽に感じます。しかも、国民の年金をカットする、いわゆる年金カット法案が成立したばかりだというのに、あまりにも国民をないがしろにしているのではないでしょうか。今すべきことは、地方議員の年金をアップすることではなく、国民の不安を抜本的に取り除く年金制度の大改革なはずです。
論語に先難後獲という言葉がございます。訓読みにすると、「難きを先にして獲るを後にす」ということですが、まず人のために困難なことを行って、自分の利益になることは後回しにすることが政治の根幹なはずです。
大田区議会が良識ある政治家の集団として、率先して議員特権復活に反対することを心から期待し、
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書に賛成の討論とさせていただきます。(拍手)
○大森 議長 次に、50番馬橋靖世議員。
〔50番馬橋靖世議員登壇〕(拍手)
◆50番(馬橋靖世 議員) ただいま上程されました議員提出第3号議案につきまして、反対の立場から討論を行います。
私自身ですね、まず訴えたいのは、平成23年に廃止された当時の
地方議会議員年金制度については、制度創設時の環境の変化が大きく、その公費負担分の大きさや保険料納付期間の短さ、返還率の高さなどから反対をしていたことをまず訴えたいというふうに思っています。
ただ、そのうえで、今回の意見書に反対する主な理由を以下2点に絞って述べさせていただきます。
まず1点目が、この間、全国の地方自治を取り巻く環境にも様々な変化があり、国も地方創生を推進する中、地方の自治体では、議員のなり手がいないところも多く、その主な要因として、議員の待遇面が課題となっています。欧米諸国では、無償で地方議会議員を務めるケースも珍しくありませんが、当然、専業を持ちながらの仕事になるため、なり手には一定の条件が必要になり、敷居は高くなっています。また、日本と諸外国では、当然、議会の拘束時間も違うため、一概にこれを比較して、まねできるものではありません。また、そもそも問題の根幹には、「地方議員は職業なのか」という議論が常にあります。今回の一連の動向は、こうした側面をはらんでいると考えており、今後もさらなる議論の深度化が必要であります。
それから2点目ですが、そもそも現在議論されているこの制度については、過去に廃止をされた制度と全く同種のものではないという部分であります。したがって、意見書の題名にある「復活」という捉え方には見解の相違を感じます。
以上の理由などから、現時点で本意見書を提出するべきではないと考え、反対討論といたします。(拍手)
○大森 議長 次に、47番奈須利江議員。
〔47番奈須利江議員登壇〕(拍手)
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
議員提出第3号議案
地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書に、提出者の一人として、賛成の立場から討論いたします。
私は、議員の報酬は低いほうがいい、数は少ないほうがいいという論調には即座には賛成しかねます。しかし、こうした論調を私たち議会は重く受け止める必要があると考えています。なぜなら、そうした論調の多くは、区民、国民の議会や政治不信からきていて、その不信の原因をつくっているのは、直接、間接問わず、結局は私たち議会だからです。私たち議会が今行わなければならないのは、区民、国民からの信頼を得ることです。
こうした議員年金復活の声がなぜ地方議会から上がるかといえば、今の国民年金制度で受け取れる年金だけでは不十分だからということもあるのではないでしょうか。議員だけの制度改正を求めることが区民、国民の理解を得られるとは到底思えません。逆に、区民、国民の心は私たち議会から離れ、議会不信、政治不信はますます募るばかりではないでしょうか。なぜ全体の奉仕者として務めるべき議員が、自分たちだけが保障される議員年金制度を望み、同じ年金制度に悩む区民に思いをはせることができないのでしょう。
私たち議会が行うべきは、区民が誰もが歳をとっても安心して生活を維持できる年金制度改革であり、地方議員だけの年金制度には反対し、意見書の提出に賛成いたします。(拍手)
○大森 議長 以上をもって討論を終結いたします。
〔38番山崎勝広議員、39番黒川 仁議員棄権〕
○大森 議長 採決に入ります。
本案を起立により採決いたします。
本案は原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大森 議長 起立少数であります。よって本案は否決されました。
〔38番山崎勝広議員、39番黒川 仁議員入場〕
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○大森 議長 日程第11を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第11
30第6号 東京都シルバーパスを「たまちゃんバス」でも利用できるよう求める陳情
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○大森 議長 お諮りいたします。本件については、交通臨海部活性化特別委員会に付託したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
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○大森 議長 日程第12を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
△日程第12
30第10号 オープンハウス型の他に
教室型住民説明会開催を国に求めていただきたい陳情 ほか1件
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○大森 議長 お諮りいたします。本件については、いずれも羽田空港対策特別委員会に付託したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
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○大森 議長 次に、請願・陳情の付託について申し上げます。
今回受理しました請願・陳情は、ただいま特別委員会に付託しました3件を除き、お手元に配付の付託表のとおり、それぞれ所管常任委員会に付託します。
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平成30年第1回定例会 請願・陳情付託表【第1号】
平成30年2月23日付託
総務財政委員会
29第58号 市町村民税・都民税特別徴収税額の決定・変更通知書への個人番号記載中止を求める陳情
30第7号 選択的夫婦別姓制度の法制化に賛成する意見書の提出に関する陳情
30第9号 政府の改憲発議の動向を踏まえた大田区の憲法にかかわる取り組みに関する陳情
30第12号 国民健康保険料負担軽減を求める請願
地域産業委員会
30第1号 (仮称)新蒲田一丁目複合施設に音楽ホールを求める陳情
30第4号 馬込文士村記念館(仮称)開設のご検討への陳情
健康福祉委員会
30第2号 生活保護基準引き下げの「見直し案」に対し、国に撤回を求める意見書に関する陳情
30第8号 大田区は総合事業の実施にあたり従来のサービスの継続と単価を切り下げしない事の陳情
都市整備委員会
30第3号 大森町商店街道路改修に関する陳情
30第5号 池上駅に集会室等区民利用施設の設置を求める陳情
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○大森 議長 以上をもって本日の日程全部を終了いたしました。
お諮りいたします。明2月24日から3月4日までは委員会審査のため休会とし、来る3月5日午後1時に会議を開きたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時16分散会...